パーティーやディスプレーを彩る空間コーディネーター川本幸代

パーティーやディスプレーを彩る空間コーディネーター

川本幸代

パーティーやオフィス、自宅など、シーンに合わせてフラワーやスイーツで演出

　「当方では、人生の晴れの日を飾る『ウエディングのすてきを日常に』をテーマに、空間をトータルにコーディネートしています」

　そう話すのは「ミルハピネス」の代表で、空間コーディネーター、フローリストの川本幸代さん。東京都目黒区でフラワーショップ＆カフェを運営しながら、結婚式・披露宴をはじめ、企業のパーティー、オフィスや個人宅の内装、店舗のディスプレーなどを演出しています。

　「生花や造花・ドライフラワー、ケーキやアイシングクッキーなどを使って、シーンをプロデュースします。パーティーなどの特別な機会に限りません。例えば『お店でこの場所をちょっとかわいくしたいけど、どうしていいか分からない』とか、『社内に従業員が居心地のいい場所を作りたい』といったお声に応えています」

　クライアントは外資系の大手IT企業や国内メーカー、写真スタジオ、飲食店などさまざま。川本さんは、それぞれの場面、要望に応じた世界観を作り上げるため、事前に細やかに打ち合わせをしてイメージ図を提示します。
　「お店の雰囲気や客層、企業カラー、会のテーマ、季節なども踏まえてデッサンを描きます。フラワーやインテリアのアレンジメントは私が担当し、スイーツは私が考案したメニューをパティシエが作ってケータリングします」

　あらゆる場を多彩にオーダーメードする柔軟な感性は好評で、依頼の多くはリピーターだとか。
　「完成品を見る前にご決定いただくことが多いので、お客さまは不安もあるかと思いますが『想像以上の出来栄えでした』と言っていただけることが多く、うれしいですね」

花について学び、500組以上のウエディングで幸せな場面をスタイリング

　川本さんはウエディング業界に15年間従事し、キャリアを積みました。
　「お花を扱う専門部署でチーフデザイナーを務め、フランスの花の学校に1年間留学もしました。帰国後はプランナーやバイヤー、撮影ディレクターなど、いろいろな立場で皆さまの新たな門出に携わり、500組以上のカップルの幸せな瞬間をお手伝いしてきました」

　イベントや空間を総合的にスタイリングするスキルを身につけ、2015年に独立。記念日を彩るプロ“パティシエ”の友人と一緒に、フラワーショップを併設したカフェをオープンし、草花をあしらったおしゃれな店内は訪れる人を魅了しています。

　「お店でも『幸せ』を感じてもらえるように、空間、モノ、人をコーディネートして、私の作品を知っていただく場にもなっています。花材は、ギフトのためだけに厳選して仕入れ、常に新鮮なものをご用意して、お祝いや送別、お悔やみなど、用途やお相手に合わせて1点1点丁寧に仕上げています」

　専門性を要するウエディングでは、ブーケや会場の装飾、フラワーケーキなど全体のバランスを考慮した演出が花嫁の笑顔を生み出しています。

　花束一つから披露宴まで幅広く手掛ける川本さんは、お花教室も開催しています。
　「資格や技術の取得を目指すようなものではなく、四季折々の素材でリースなどを制作するワークショップです。コロナ禍を機に『自分で何か作ってみたい』『家の中を彩りたい』という傾向が高まっているようで、ご自宅や企業で出張教室も開いています」

自由に取り組む「花育」で子どもたちの感性を解き放ち、「創造性」を育む

　花のある日常を多方面で提案する川本さんが力を入れているのが、子どもたちに向けた「花育」です。自由に取り組んでもらう中で「創造性」を育んでもらうことを目的としています。

　「使うお花の種類も色のバランスも指導したりせず、子どもたちの思うままに創作してもらいます。手助けするのは『ここに木の実をつけたいけど、うまくいかない』というような作業的な部分だけ。現代は、決められた形を目指そうとするお子さんが多い気がしていて、感性をもっと解き放ち、自分の表現を語れるようになってほしいという思いで始めました」

　会社員時代、アイデアや意見を持ちながらも会議の場では発言しない若手の後輩が何人もいて「クリエイティブ力」や「プレゼン力」が必要だと感じたことが、「花育」につながったと言います。

　「教室に参加する子どもたちが、お花の知識を得なくても、将来クリエイティブな仕事につかなくてもいいんです。『人と違うことを恐れない』『間違っても当たり前』とか『工夫をする楽しさ』を感じるトレーニングになればいいかなと思っています。多くの子どもたちに自分で発想し、伝える力を身につけてほしいですね」

　事業を通じて、心豊かな空間や癒やしの時間を届ける川本さんは語ります。
　「少しのこだわりで、いつもの生活が特別なものになると、気持ちも穏やかになる人が増えるのではないでしょうか。お花やインテリアのアレンジなど、『とにかくすてきにしたい』という方はぜひご相談ください」

（取材年月：2024年8月）

「ウエディングのすてきを日常に」をテーマに、空間をトータルにコーディネート

パーティーやオフィス、自宅など、シーンに合わせてフラワーやスイーツで演出

花について学び、500組以上のウエディングで幸せな場面をスタイリング

自由に取り組む「花育」で子どもたちの感性を解き放ち、「創造性」を育む

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