絵画教室を通じて思考力を養い子どもの才能を開花させる指導者松田智子

絵画教室を通じて思考力を養い子どもの才能を開花させる指導者

松田智子

受験やコンクール対策のほか、発達に特性がある子に向けたクラスを開講

　「花や動物、乗り物といった好きなもの、心に残るシーンを描いたり、粘土細工をしたり。のびのびと創作する中で、お子さまの才能と可能性を引き出すお手伝いをいたします」

　そう語るのは、「才能教育アカデミー世田谷デザイン」の松田智子さん。都内3カ所で絵画教室を開講。実技試験に備える「小学校受験クラス」、各種コンクールに対応する「低学年・高学年クラス」、内申点対策や美術系高校・美大受験対策に特化した「美術攻略クラス」を展開しています。

　「授業では細かく指示をせず、子どもたちが発案したアイデアを膨らませることで思考力と表現力を養います。芸術をはじめ、理系、文系と多様な分野で役立つ能力を磨くことを趣旨としています」

　また、コミュニケーション、読み書きや計算が苦手、こだわりが強いなど発達に特性がある児童・生徒を対象にした「小さなピカソクラス」も開設。保護者もレッスンに参加できます。

　「私の子どもがバイオリンを習っていたスズキ・メソードは、生徒、家族、指導者が一体となって音楽を楽しむ心を育てます。私どもも、子育ての不安や悩みをお伺いしながら、保護者さまと一緒にお子さまの新たな一面を開花します」

　個別・グループ、オンライン授業のほか、夏期・冬期・春期講習も実施。個々に寄り添い、コンクール入賞も多数。受賞をきっかけに自信を深め、さらに挑戦し、成長していく好循環が生まれていると言います。

　「興味があること、得意なことに注ぐエネルギーと集中力は目を見張るものがあります。子どもの才能の芽を見つけ、伸ばすことが私の役割だと思っています」

プロダクトデザイナーと子育ての経験を生かし、個性を伸ばす絵画講師に

　松田さんは大学で工業製品の美観や機能性を設計するインダストリアルデザインを学び、卒業後は音響メーカーでプロダクトデザイナーとして従事。女性のクリエイターが少ない時代にあって、繊細な感性が高く評価され、オーディオや家電など各種機器を手掛けました。

　「幼い頃から絵を描くことが日常でした。父が自動車会社のデザイナーで、身近にロールモデルがいたことも美術の道を志す後押しになりました」

　出産を機に会社を退職。キャリアを中断することに悩み父に相談した際、「子育てこそ、最もクリエイティブ」と言われ、気持ちを切り替えることができました。

　「いろんなことを吸収して育ちゆく様子は、驚きや発見の連続でした。子どもたちの柔軟で自由な発想力や創造力に感銘する毎日でしたね」

　のびやかでみずみずしい感受性に刺激を受け、不思議な縁に導かれるように絵画講師を始めます。 

　「プロダクトデザインとは、単に『形をつくる』ことではなく、ユーザーの課題を見極め、最適な形で解決する過程です。作品づくりにおいて改善点を見いだし、完成度を高めていく構造にとても似ていて、指導する上で培った知見が生きています」

　一人一人の個性を大事にしている松田さん。その子ならではの作風、世界観をかなえる技法を丁寧に手ほどきしています。

　「最初は何を描いているのか分からなかった子が、豊かな表現をするようになるんです。時間はかかりますが、変化を見守れることにやりがいを感じています」

ゼロから生み出し、暮らしや心を豊かにする「デザインの力」を伝えたい

　松田さんは例年、ギャラリーを借りて作品展を開催。卒業生にも声をかけ、再会の場としても活用しています。

　「教室では一言も話さなかった子が演劇部に入ったり、時間をかけて色覚の特性を克服した生徒が医療系への進学を目指したり、報告を聞いたときは大きな感動がありました。どの子にも、それぞれの輝きがあると改めて実感する機会にもなっています」

　これまで数多くの生徒と向き合ってきた松田さん。近頃は、子どもたちが生活の中で接する色彩環境について危機感を抱いています。

　「流行の影響もあるのかもしれませんが、黒やグレー、白といった無彩色のものばかり。子どもが持っている本来の明るさや華やかさが、少しずつ失われていくようで寂しさを感じます。せめて絵の中では思いきりカラフルな色彩と触れ合ってほしいと願っています」

　教室以外に、JIDA（日本インダストリアルデザイン協会）の正会員として活動。インダストリアルデザインの啓発にも取り組んでいます。

　「造形的にも機能的にも、これまでに存在しなかったものをゼロから生み出すのが、デザイナーの仕事です。良いデザインは、暮らしを便利にするだけでなく、人の心を豊かにしてくれることを伝えていきたいですね」

　好奇心と探究心をもってチャレンジする姿を応援する松田さん。プロダクトデザイナーとして培った構想力と、母として育んだ洞察力を掛け合わせ、子どもたちの中にある小さな芽に光をあて、大輪の花を咲かせるべく力を尽くしています。

（取材年月：2025年6月）

絵画のレッスンを通じて思考力や表現力を養い、子どもの才能を大きく開花

受験やコンクール対策のほか、発達に特性がある子に向けたクラスを開講

プロダクトデザイナーと子育ての経験を生かし、個性を伸ばす絵画講師に

ゼロから生み出し、暮らしや心を豊かにする「デザインの力」を伝えたい

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