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ISO認証をもっと身近に。「シンプルイズベスト」の精神で中小企業を支える

中小IT企業に寄り添うISO認証支援の専門家

羽田一彰

羽田一彰 はだかずあき
羽田一彰 はだかずあき

#chapter1

柔軟な働き方を実現するSES事業と、中小企業に寄り添うISO認証支援の二本柱

 東急東横線学芸大学駅近くに事務所を構える「S&A JAPAN」。事務所で働くのは取締役3名のみで社員は全員が顧客常駐作業というコンパクトな体制をとっています。主力事業であるSES(システムエンジニアリングサービス)について、羽田一彰さんは「各社員が技術を存分に発揮できる柔軟な働き方」と説明します。

 「当社のエンジニアはお客さまが指定する場所に常駐して、システム開発や既存システムの運用・保守を行っています。お客さまや常駐先の環境やニーズに合わせて対応できるため、即戦力としてプロジェクトに貢献できる点が大きな強みです。必要なときに必要なスキルを持つ人材を確保することで、企業は自社のリソースを効率的に活用でき、開発スピードや品質の向上にもつながります」

 もう一つの柱がISO認証コンサルティング事業です。対象とする規格はISO27001(情報セキュリティマネジメント)、ISO27017(クラウドセキュリティ)、ISO9001(品質マネジメント)。特に「従業員50名以下の企業が自分たちで運用できるようなシンプルで使いやすいものを提供したい」という思いで取り組んでいます。

 「ISOというと、多くのマニュアルや規定を作るイメージがありますが、中小企業ではそれを十分に使いこなすのは難しいと思います。だからこそ、実際の業務で運用できるように、必要最低限の内容にとどめるようにしています。弊社がISO27001の認証をお手伝いさせていただいた事例を紹介すると『マニュアル』がフローや表を中心に16ページ、それ以外に『適用宣言書』、運用で必要な文書や様式が10種類前後です」

#chapter2

多彩なキャリアで培った経験を糧に。技術と経営の両面から中小企業を支援

 羽田さんのキャリアは多彩です。1983年、情報処理企業に入社し、大手企業のコンピュータ室で汎用型コンピュータの管理・運用に携わりました。

 「当時はコンピュータ人材が不足していて、若ければ誰でも採用されるような時代でした。数学が得意だったので、理系の知識を生かせそうだと思い入社しました」と振り返ります。

 1987年には、建設会社向けの経営コンサルタント企業へ転職。システムエンジニアとして工事現場で運用する原価管理システム、人事考課関連のシステム、営業情報システム、LAN対応の立体駐車場施工会社向け工程作成支援システムなどの開発を手がけ、プロジェクトリーダーとして活躍しました。その後、経営コンサルタントとして地方の中小建設会社の経営支援に携わり、この時に初めてISOと出会います。90年代後半から2000年代前半にかけて、建設業界ではISO9001の認証がブームとなり、その波の中でISOコンサルティングに取り組むようになったといいます。

 2008年には中堅IT企業に転職し、情報セキュリティ責任者としてISO27001認証プロジェクトの責任者を務めます。しかし会社は1年で倒産。その後、事業譲渡先の中国系IT企業に移籍しますが、文化や価値観の違いに直面します。

 そして2011年12月、東日本大震災の対応をめぐる考え方の違いをきっかけに、前職で出会った2人とともに「S&A JAPAN」を設立。豊富な業界経験と幅広い視野を生かし、中小企業の成長を支援する現在の事業へとつながっていきました。

羽田一彰 はだかずあき

#chapter3

認証支援を通じて中小企業の成長を後押し。AI時代のISOも視野に

 「ソフトウェア開発は、元請けから下請けへと重層化する構造になっています。大手企業と取引するにはISO27001の認証が条件になっていることも多い。だからこそ、認証という活動を通じて、中小企業が生き残れるようなお手伝いをしたいと思っています」

 印象に残っている事例として、他社のコンサルティングで挫折した企業から再チャレンジの依頼を受けたケースを挙げます。「社員20人ほどの会社でしたが、百科事典のような分厚いマニュアルに辟易してしまったそうです。そこで必要最低限の文書に整理し、シンプルな構成で支援しました。無事に認証を取得できたとき、『これなら自分たちで運用できます』と言ってもらえたのが本当にうれしかったですね」と笑顔を見せます。

 今後の目標について羽田さんは、業界の高齢化と新技術への対応という二つの視点を掲げています。
 「ソフトウェア業界の第一世代は70歳前後。年齢を重ねると対応できる案件が限られてきます。だからこそ、シニア世代でも活躍できる仕事やビジネスの受け皿を作りたいです」
AIの活用が進む現代においては、AIに関する国際規格「ISO 42001」がJIS版として発行されるなど、ITとAIは切り離せない関係。これからの時代に合った支援を見据えています。

 現在は、コンサルタントとしてだけでなく、審査員としても活動し、審査機関のブログ監修も務める羽田さん。多角的な視点から、中小企業の発展をこれからも支え続けていきます。

(取材年月:2025年10月)

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専門家プロフィール

羽田一彰

中小IT企業に寄り添うISO認証支援の専門家

羽田一彰プロ

ISOコンサルタント

S&A JAPAN株式会社

中小IT企業を中心に、ISO9001、ISO27001やISO27017などの認証取得を支援。少ない文書で現場コンサルタントの力を借りずに運用できる仕組みづくりを重視。企業の成長を後押しします

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