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かかりつけ医の役割も果たしながら、患者が主役の糖尿病治療をチームでサポート

インスリンを分泌するβ細胞に着目して糖尿病を治療する医師

税所芳史

税所芳史 さいしょよしふみ
税所芳史 さいしょよしふみ

#chapter1

糖尿病は治療を続けることが何より大事。人生のパートナーとして伴走支援

 「医師、看護師、栄養士、検査技師、医療事務、それぞれが職責を果たし、患者さんが主役の糖尿病治療を支えます」と話すのは、「さいしょ糖尿病クリニック」の院長・税所芳史さん。

 糖尿病は症状をコントロールしながら付き合っていく病気で、治療を続けることが何より大事と考え、通いやすさと信頼関係の構築を重視。中野駅から徒歩約3分の場所に拠点を構え、長く寄り添う“人生のパートナー”として医療を提供しています。

 「駅から近い立地、待ち時間を短縮する完全予約制の診療、自動精算機の導入といったハード面の利便性と、スタッフの親身な対応などソフト面の快適性を追求しています。毎朝スタッフ全員で『清潔・笑顔・思いやり』を唱和し、患者さんに笑顔で帰ってもらうことを目標としており、再診率が高いのが当院の特徴です」

 糖尿病で怖いのは合併症で、歯周病との関連も深いと言われています。クリニックが入っているビル内や近隣には、泌尿器科や婦人科、歯科、眼科があり、各科の医院と連携しながら、患者の健康を守ります。

 さらに税所さんのもとでは、健康管理アプリも導入。スマホで血圧や血糖値、体重、食事の写真を記録できるため、きめ細やかなアドバイスが可能です

 「糖尿病治療は患者さんとのお付き合いが年単位になることも多く、当方はかかりつけ医の役割も果たしていると言えます。定期的な受診により、生活習慣全般を見直すことができますし、他の疾患が早期に見つかることもあります。一病息災といって、糖尿病があることでかえって健やかな生活を送ることも可能なのです」

#chapter2

糖尿病専門医として大学病院で治療と研究に従事。アメリカ留学も経験

 父方、母方の祖父が開業医、父が勤務医だったことから、税所さんにとって医師は身近な職業でした。

 「父が働く姿に接する機会は多くはありませんでしたが、体調を崩し病院に行った際に患者さんから感謝されているのを見ることがあり、人の役に立てる仕事だと感じ医師を志すようになりました」

 糖尿病内科を選んだのは、病気だけでなく「人」を診る点が自身に合っていると思ったからです。

 「糖尿病治療は、悪い箇所を処置するというよりも予防がメインなんです。数ある疾患の中でも、バランスのよい食事など、患者さんが自らの生活を整える過程で復調を目指すことができます。私は患者さんをサポートする役割が好きなんです」

 2002年に慶應義塾大学医学部内科学教室腎臓内分泌代謝内科に入局。糖尿病専門医として治療に従事する中で、なぜ糖尿病を発症し、なぜ治らないのか疑問を抱くように。

 「治療に真面目に取り組んでいるにもかかわらず、血糖値が下がらず、悪化してしまう方が一定数いるんです。ある時、アメリカで発表された論文を読んで、目からうろこが落ちる思いでした」

 論文では、血糖値を調節する役割を担うインスリンを分泌するすい臓のβ細胞量が、糖尿病患者では減少しているということが示されていました。論文を発表した研究室へ留学し、3年間にわたって研究に励みました。アメリカで得た知見を持ち帰り、母校の大学病院に13年間勤務。祖父のように患者に近いところで診療をしたいと、2022年に開業しました。

税所芳史 さいしょよしふみ

#chapter3

糖尿病を予防するには、生活習慣を整え細胞の「過労死」を防ぐことがカギ

 長年糖尿病の診療と研究に携わってきた税所さんは、β細胞が減る原因は、β細胞の働きすぎではないかと考えています。

 「肥満や過剰な栄養摂取があると、β細胞はインスリンを多く分泌し、血糖値を下げようとします。やがてがんばり過ぎて疲れてしまい機能が低下。自身がしっかりと働けていないと思うと、体を守るためにその細胞は死んでしまう現象が起きるのです。これを私は細胞の過労死と言っています。死滅すると、残ったβ細胞の負担がさらに増すという悪循環に陥るのです」

 糖尿病発症のメカニズムや、悪循環を早く止めるためには糖質を抑えた食事と適度な運動ですい臓への負担を和らげることが肝要ということを、丁寧に説明します。

 「食事や運動に気をつける目的が分かるので、モチベーションを維持しやすくなります。幸い、すい臓の機能を良くしβ細胞を守る薬も年々充実しています。必要に応じて薬を処方しながら血糖値を良好に保ち、患者さんに幸せな生涯を送っていただくことが、ゴールです」

 税所さんは、大量消費社会の中で、気づかないうちに体に負担をかけているのではないかとも指摘します。

 「血糖値や中性脂肪、血圧に表れた体のサインを見逃さず、自分の生活を振り返ることが大切です。例えば、食べ過ぎない、車を使わず歩くことを心掛けるのは、フードロス削減や車社会の是正に貢献できるはず。体に配慮することが、SDGs(持続可能な開発目標)にもつながるという思いで、糖尿病治療にあたっています」

(取材年月:2024年10月)

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税所芳史

インスリンを分泌するβ細胞に着目して糖尿病を治療する医師

税所芳史プロ

医師

さいしょ糖尿病クリニック

糖尿病の悪化はインスリンを分泌するβ細胞の働きすぎに原因があるとの考えのもと、患者自身で症状をコントロールし健康を維持することを目指します。また来たいと思ってもらえるようスタッフ全員で治療を支えます。

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