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心の知能指数「EQ」を活用したマネジメント研修で、健全な組織づくりを支援

組織のコミュニケーション活性化を図る経営コンサルタント

松山繁博

松山繁博 まつやましげひろ
松山繁博 まつやましげひろ

#chapter1

研修を通じて従業員を尊重するマインド、肯定的なコミュニケーションを醸成

 企業にマネジメント研修や階層別研修を提供している「自己成長支援ラボ」の代表・松山繁博さん。特にハラスメントやコンプライアンスに重点を置き、健全な組織づくりを支援しています。

 「例えば、日常の小さなミスを報告しない・できない組織は重大な法令違反を起こす可能性があります。データ改ざんなどの報道を目にすると、上長や経営者への不要な忖度(そんたく)や“事なかれ主義”の習慣化が想像できます。風通しの悪い社風や文化を変えるのが私の役目です」

 中でもEQ(心の知能指数)を活用したマネジメント研修は「社内に活気が無い」「離職率が高い」といった悩みを抱える経営陣からニーズが高いとか。

 「最初から方法論を説かず、従業員を尊重するマインド、肯定的なコミュニケーション、ボトムアップのマネジメントを段階的に醸成していきます。課題に対する答えは従業員の心の中に埋もれているため、自分の考えなどを自由に発言できる心理的安全性を確保し“耳の痛い”意見も引き出す手法を学んでもらいます」

 部下らと信頼関係を築く上で重要なのが本音。「なぜ目標を達成できないのか」という「怒り」は二次感情であり、「今月も未達だった。どうしよう」「誰にも相談できず途方に暮れている」といった一次感情に目を向け、伝えることが周囲の共感につながると言います。

 「不安やつらさを素直に表現できれば、従業員にも『上の立場にいる人も大変だから協力しよう』といった気持ちが芽生えるでしょう。無理に新しい仕組みや制度を導入する必要も無く、研修後に継続しやすい点も好評です」

#chapter2

うつ病や業績悪化を乗り越えた経験を糧に起業し、リーダーの悩みを傾聴

 かつて2度のうつ病を患った松山さん。無事に回復した経験を伝えるべく、2016年に「日本メンタルマネージメント協会」を設立します。2021年には、大手メーカーで赤字部門を業績アップさせた実績を看板に、人生を好転させる物事の捉え方を広めるため「自己成長支援ラボ」を立ち上げました。

 「配属された部署は自社製品に対する自信を失っていました。事業自体は長く続いてきたので、私は『一定数のお客さまから支持されているのは事実。流行は追わずに独自の魅力を訴求していこう』と戦略の切り替えを提案しました。するとメンバーが胸を張って堅牢性などを社外にアピールするようになり、黒字化に至りました。このエピソードも研修に取り入れています」

 管理職などを務め重圧に苦しんだ経験も現職の糧に。「信頼していた幹部が従業員を引き連れ辞めてしまった」「大事に育てた部下が相談も無く退職した」というリーダーたちの嘆きに耳を傾けています。

 「クライアントは会社の経営者、病院長、大企業の支店長など多岐にわたります。“どん底”を味わった方ほど他者に弱みを見せなくなる傾向にありますが、さらけ出す覚悟を決めれば組織も大きく変わるでしょう」

 プログラムでは「ポジティブとネガティブな心の動きを挙げる」「苦手とする相手の長所を探す」といったトレーニングを実施。受講者からは「営業担当の部下が何でも報告してくれるようになり、顧客の不満も小さいうちに芽を摘めた」といった感謝の声が届いています。

松山繁博 まつやましげひろ

#chapter3

新しいEQの解釈に触れたKindle版の自著「EQマネジメント革命」も参考に

 メーカーの海外支店や外資系コンサルティングファームで勤務した経験もある松山さん。諸外国の人々と交流する中で、かっ達自在に言葉を発し、自信をもって行動する様子を目にし、参考にしたいと思うようになりました。

 「私たちは必要以上に謙遜したり、短所の克服に焦点を当てたりしがちですが、特にアメリカなどでは『長所があるなら生かせばいい』という考え方が自然で主流です。日本企業も『いばらの道を進んでこそ美徳』のままでは、今の若者に支持されなくなるのは明白でしょう」

 最近の20代や30代は家庭や学校で褒められて育った傾向にあり、仕事においても「自身の強みを生かして楽しみながら成長すること」が大切な価値観になっているとか。自己肯定感を育み、個々の能力を引き出し伸ばす。そんなバックグラウンドを理解せず、トップダウンの一方的なコミュニケーションでは疑問を抱かせるだけだと話します。

 「余談ですが、近頃は息子が通う大学の駅伝部を後援するようになりました。仕事を定年退職した方々が集まって活動していますが、肩書にとらわれない、人間性がベースのお付き合いが始まっています。第二のステージで自分らしく頑張りたいという人も支えられる存在でいたいですね」

 組織の活性化を図ってきた内容はKindle版の自著「EQマネジメント革命」にも掲載。「感情や怒りを抑え込むポジティブシンキングやアンガーマネジメントとは異なる、新しいEQの解釈に触れてほしいですね」と語ります。

(取材年月:2024年9月)

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専門家プロフィール

松山繁博

組織のコミュニケーション活性化を図る経営コンサルタント

松山繁博プロ

経営コンサルタント

株式会社自己成長支援ラボ

EQ(心の知能指数)に基づくマネジメント研修を提供。経営者や上長による叱責の原因を振り返り、根本にある「悩み」や「もどかしさ」をオープンにするトレーニングを実施して、コミュニケーションの活性化を図る。

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