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Mybestpro Interview

「好き」を仕事に。ダンスを憧れの職業に変える指導者支援

ダンス講師の自立と地域展開を支える支援家

北島憲一朗

北島憲一朗 きたじまけんいちろう

#chapter1

「ダンスで食べていく」を可能にするスクールマスター制度

 「ダンスが好き。でも、仕事として続けるのは難しい」。そんな悩みを抱えるインストラクターたちに、安定した働き方を届けたい。そうした思いから、「ドリーマーズユニオン」代表・北島憲一朗さんが立ち上げたのが、講師の自立と成長を支援するスクールマスター制度です。

 この制度では、集客・会員管理・決済といった煩雑なバックオフィス業務をすべて本部が代行。講師はレッスンと会場運営に専念でき、その成果は会費収入の約7割という高いインセンティブとして還元されます。
 この仕組みを可能にしているのが、北島さんらが長年磨き上げてきた集客力と、無駄をそぎ落としたオペレーションの効率化です。会員管理や出欠確認などの日常業務をシステムで自動化することで、コストを最小限に抑え、その分を講師に還元しています。

 たとえば、スクール募集用のWEBページは何度もテストを重ね、反応率を最大化する導線を構築。体験申し込みから入会手続き、会費決済までをLINE上で完結できるようにし、保護者の負担を軽減しながら入会率を着実に高めました。

 「ダンスを教える人が、誇りを持って長く活動できる環境をつくりたいんです。スクールマスター制度を通してキャリアや収入面での安定も目指しており、中には年収1,000万円に届くほど成長している講師もいます。大人が夢を追う背中こそが、次の世代に希望を届け、ダンス文化を未来へとつなぐ力になると信じています」

#chapter2

スポーツ教育で培った「技術より先に人を育てる」姿勢と仕組み化の発想

 「好きなことを仕事にする人が、安心して活躍できる仕組みをつくりたい」と北島さん。その思いの原点には、自身の長いスポーツ指導経験と、現場で感じた課題意識があります。

 野球好きの父の影響でバットを握り、やがてサッカーにも夢中になった少年時代。2004年、スポーツマネジメント会社に入社すると、翌年には同僚とともに起業し、子ども向けのサッカースクール運営や、プロ野球球団のキッズベースボールスクールの設立に携わります。指導の根底には、スポーツを通じて子どもたちに「好きなことを選ぶ自由」を届けたいという信念がありました。

 そして2013年、サッカーの練習にダンスを取り入れたことが転機に。
 「体幹やリズム感、人前で表現する強さを育てたいと考えて取り入れましたが、子どもたちの反応は想像以上でした。音楽に合わせて生き生きと踊る姿を見て、ダンスの持つ可能性に確信を持ちました」

 2014年にはシャイニーダンスアカデミーを設立。北海道から九州まで教室を展開し、設立10年を迎えた今では、全国90スクール・会員約4,700名へと成長しました。しかし、その過程で痛感したのが、指導者の働き方の不安定さ。「良い先生ほど生活の不安から辞めてしまう」「このままではダンス文化が根づかない」という危機感こそが、スクールマスター制度を生み出す原動力となったのです。

 「大切なのは、華々しい経歴よりも子どもの気持ちに寄り添える人間性。子どもの心を育てようと接する先生が、結局一番生徒に信頼されます」
 北島さんがスポーツ教育の現場で学んだのは、技術よりもまず人を育てることの大切さ。その姿勢が今の指導者支援にも生きています。

#chapter3

ダンスがつなぐ人・地域・家族。幸せの循環を広げたい

 2019年、北島さんはドリーマーズユニオンを設立。「ダンスを通じた地域文化の発展と指導者の自立支援」を使命に掲げます。非営利型法人としたのは、公共施設の利用や自治体との連携を進めやすくするため。地域の体育館や公民館などを活用したスクールづくりが各地で広がっています。

 地方では、人口2〜3万人規模の市町村でも安定した運営を実現し、「この町で唯一のダンス教室」として親しまれているケースも少なくありません。また、東京など都市部で活動していたダンサーが地元へ戻り、指導者として新たな拠点を築くUターン型の展開も進んでいます。
 「地方の方が会員数が多いケースもあります。習い事の選択肢が少ない地域では特に、ダンスが子どもたちにとって大きな楽しみになる。そういう場を各地に広げたいですね」と北島さん。3人の子を持つ父親としても、ダンスの力を実感しているといいます。
 「娘たちがダンスを始めてから、家の中で会話が増えました。家族で踊ったり、笑い合ったり。ダンスには、人をつなぐ不思議な力があります」

 ドリーマーズユニオンが目指すのは、講師・生徒・家族がそれぞれに幸せを感じられる循環を生むこと。
 「ダンスは家庭や地域をつなぐコミュニケーション。子どもが楽しめば保護者が笑い、先生が誇りを持てる。そんな幸せの連鎖が全国に広がれば、ダンスインストラクターは憧れの職業になれるはずです」
 好きなことを仕事にしながら、地域に貢献できる。北島さんは、スクールマスター制度を通じて、その理想の未来を一歩ずつ現実へと変え続けています。

(取材年月:2025年10月)

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Profile

専門家プロフィール

北島憲一朗

ダンス講師の自立と地域展開を支える支援家

北島憲一朗プロ

ダンス講師開業・自立支援

一般社団法人ドリーマーズユニオン

長年のスポーツ教育と事業経験をもとに、集客・運営を仕組み化。北海道から鹿児島まで全国100スクールを展開するノウハウを生かし、指導に専念できる環境と還元の制度で、ダンス講師の開業と自立を支援します

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