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人であることが“価値”になる。AI時代に求められる通訳士を育てる養成講座を開講

AI時代に求められる通訳を養成する現役通訳士

轟義昭

轟義昭 とどろきよしあき
轟義昭 とどろきよしあき

#chapter1

大統領通訳経験とMBAを有する現役通訳士が、ビジネスに適した即戦力を訓練

 昨今はグローバル化が加速し、多言語を使いこなすAI(人工知能)技術が進化。英語が話せるだけでは通用しない時代が到来しています。

 「専門的な内容も正確に理解し、微妙なニュアンスもくみ取り伝えることが求められています。競争が激しい国際市場で勝つため、質の高い語学力を獲得するお手伝いをします」と話すのは、「日本通訳士協会」の代表・轟義昭さん。通訳として活動しながら、同協会が認定する通訳士資格者の養成事業も手掛けています。

 「養成講座は、入門科・基礎科・本科の3段階で構成しています。入門科はTOEIC600~900点程度の方を対象に、半年間のカリキュラムで実践的なビジネス英語を教授します。通訳志望者はもとより、能力開発のリスキリングにも適し、若手からエグゼクティブ層まで広く受講されています」

 基礎科・本科は、高度な通訳士訓練です。官公庁や大使館での同時通訳や企業の重要な商談など、プライオリティの高い案件で活躍する人材の育成を目標としています。

 最大の特徴は、大統領通訳の経験を有し、MBA(経営学修士)取得者としてビジネスにも精通する轟さんが生きた知識を提供していること。ビジネスに適した訳出技法や表現、現場で差がつく気遣いなど、現役通訳士ならではの視点を伝えられるのも強みとしています。

 「オンラインの1on1レッスンで受講生の課題に丁寧に向き合います。講義内容はご希望の業界やテーマを選択できるので、業務に直結するトピックスで訓練を積むことができます。限られた時間を有効的に使い、国際会議レベルの通訳能力の短期習得を目指しましょう」

#chapter2

相手に配慮するホスピタリティを備えた表現力で、世界に通用する人材へ

 通訳士である母の背中を見て育ち、幼少期から英語力を磨いてきた轟さん。外資系企業の営業を経て通訳事業に携わる中、WEBなどの翻訳サービスが登場します。

 「将来、業界を席巻すると危機感を持ちました。どんなにITが進化しても、心を持つ人間同士のやり取りを完全に代替することはできません。通訳士という“人の力”を次世代に引き継がなければと思いました」

 轟さんは自身で築いた通訳理論をもとに教育メソッドを構築。短期間で英語力を引き上げる、結果重視の内容が支持されています。

 「私が考える良い通訳の条件は五つあります。まず誤訳がないこと。二つ目は的確かつ分かりやすい訳出。三つ目は訳出漏れがないこと。四つ目は訳出までのタイムラグがない、または少ないこと。これらはクライアントの耳となり口となる上で当然のことですが、最も大切にしているのは五つ目。どの国の方が聞いても不快にならない訳出です」

 スラングや忌み言葉など、人種、宗教、文化によって“避けた方が望ましい”表現はあります。相手に合わせて心を配るホスピタリティに人としての価値が宿ると言います。

 「例えば“停電”は“blackout”と訳すのが一般的ですが、アフリカ系アメリカ人の方がいる場ではどうでしょう。black(黒人)out(排除)というイメージを抱かせないか瞬時に判断し他の語彙を導き出す。細やかな配慮と柔軟性を備えた人材が世界で通用します。一流の通訳士としての誇りと、国際的な視点まで養うのが当会の要と言えます」

#chapter3

「言葉の壁を取り除き、心まで通わせる」これからの通訳士の可能性

 法律がからむ司法の領域で同時通訳として従事する人、大手企業の社内通訳としてキャリアアップした人など、多方面に卒業生を輩出。轟さんも自らが同席してきた重要な国際会議を振り返り、AI時代でも通訳士の活躍の場は決してなくならないと確信しているそう。

 「政治や外交などの同時通訳では、国の発展に貢献できたと胸が熱くなることもあります。通訳士が言葉の壁を取り除くことで、国同士が心を通わせ、結果的に100年先の日本を変えるかもしれません。明るい未来を創造する一助となるべく、得たノウハウはすべて受講生に還元していきたいと考えています」

 提携先の通訳事業会社「アンクレア」では、最高ランクの証し「Sランク」に認定されるなど、国際コミュニケーションにおいて研さんを重ねる轟さん。

 英語のプロをパートナーに持つことは、国際業務を齟齬(そご)なく遂行したり、情報漏えいのリスクを減少したり、多くの利点があると提言。自社の英語力向上に課題を感じる企業へ、次のようにアドバイスを送ります。

 「『英語が堪能=通訳ができる』ではないので、訓練を受けていない担当者の誤訳などが大きなトラブルを招く恐れもあります。私が推奨するのは、用途に応じて専門性の高い通訳士を活用しつつ、組織に英語担当者を育てていくこと。養成事業と通訳事業を手掛ける当会がサポートしますので、社内リソースとして必要なスキルレベルを気軽にご相談いただければと思います」

(取材年月:2025年5月)

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専門家プロフィール

轟義昭

AI時代に求められる通訳を養成する現役通訳士

轟義昭プロ

通訳士

一般社団法人日本通訳士協会

AI時代に通用する通訳士の“人としての価値”を育む実践型講座。大統領通訳の経験を持つ現役通訳士が、国際会議レベルの英語力と現場で差がつく心構えを伝承。実務に則した内容で業界トップクラスの通訳を目指す。

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