中小企業の自社商品をヒットに導く商品開発の専門家
松本奈緒美
Mybestpro Interview
中小企業の自社商品をヒットに導く商品開発の専門家
松本奈緒美
#chapter1
「自社でヒット商品を生み出したいが、どうすればいいか分からない」と悩む中小企業は多いでしょう。「発明ラボックス」代表取締役の松本奈緒美さんは、約25年にわたり、多くの発明品の商品化に携わり、〝主婦発明家〟としてメディアにも多数出演。その経験を生かし、商品開発から販売までをサポートしています。
同社が提供する「ビジしえん」は、アイデア出しから商品開発、試作、クラウドファンディングのページ制作までを一貫して支援。最短3カ月でクラウドファンディングの立ち上げを目指せます。
商品づくりのコンセプトは、「簡単な構造・特徴のある形状」。
「一目見て印象に残るインパクトと、利便性を両立させることが重要です。メディアで取り上げられたことで多くの商品が話題になった経験から、紹介されやすい商品づくりを意識しています」
加えて、消費者が買いやすい売れ筋の価格帯で設計し、ニーズをとらえます。大事にしているのは、得意な素材や生産現場など実際の様子を見て、企業の強みを把握すること。
開発した商品は、一気にクラウドファンディングまで支援し、マーケットニーズの把握や、資金回収を図ります。同社のXフォロワー約5万3千人に向け、クラウドファンディングページに誘導し売上を上げる施策も実施。「Wフォローキャンペーン」を通じて、顧客のSNSアカウントと連携し、フォロワー増加につなげる仕組みも導入。商品を出した後もPRもしやすい環境を整えています。
トータルなサービスを提供できるのが同社の特徴。商品化の成功の秘訣を伝えるオンラインセミナーも随時開催しています。
#chapter2
松本さんは、「ビジしえん」のサービス開始以来、約2年で50件以上のプロジェクトを手掛けてきました。最近も、シリカゲル乾燥剤メーカーから、自社ブランドの商品を開発したいとの依頼を受け、独自配合による靴用の消臭・吸湿剤「カラッとヒーロー」を商品化。クラウドファンディングで、700万円を超える支援が集まりました。
「主婦向けのテレビ番組で紹介されたほか、たくさんの販売店からの引き合いもありました。また、お客さまのSNSのフォロワーも0から3000人に増え、『一気に変革が進んだ』と喜ばれました」
商品化後のフォローとして、メーカーとしての実務を学べる学習システム「マイブランドの学校」も展開しています。バーコードの取得や管理方法、製造を依頼する際の契約書、プレスリリースの書き方など、1年を通じて基礎知識が身につきます。他企業との情報交換の場となる「グループコンサル」も開催。必要に応じて、同社のネットワークを生かした製造や販売のサポートも行います。
さらに、知的財産権を守るためのサポートも。運営する知財マッチングサイト「チザオク.COM」では、特許を保有する発明者と、権利を活用したい事業者との橋渡しを行います。また、知財の模倣リスクへの備えとして、当社会員専用「知財訴訟費用保険」(引受保険会社:あいおいニッセイ同和損害保険)もあります。他者から提起された訴訟だけでなく、自社権利が侵害された場合の訴訟費用も補償されるのが特徴です。
#chapter3
大学卒業後、建築事務所に勤務し、ハウスメーカーの商品開発に携わっていた松本さん。「もともとアイデアを出すことが好きで、プロダクト開発に進みたいと思い、独立しました」と話します。
独立後、世界的なコーヒーチェーンの什器やオブジェなどを手掛ける中、販売促進ツールとして考案した絵合わせパズル「紙パズル」が約100万枚の配布数を記録し、売り上げアップに貢献。
「デザインを保護する意匠権を取得し、ライセンス契約について理解を深める機会にもなりました」
その後も生活の中で感じた「ちょっとした不便」がきっかけで掃除機をかけながら拭き掃除もできたらいいな、と思いつき、拭き掃除ができる掃除機ノズル「ペン先すーぴぃ」を開発。掃除用品メーカーに採用され、14万個を販売するヒット商品となりました。
「家事が苦手な主婦が考えたというストーリー性も功を奏し、多くのメディアに取り上げていただけました」。そこから「ルーム耳当てマフラー」(寝具メーカー商品)や「おまとめハンガー」(ハンガーメーカー商品)など、多種多様なメーカーへ、暮らしに役立つ便利商品を次々提供しました。
自身の経験を誰かの役に立てたいと、2010年に「発明ラボックス」を設立。将来的に、アイデアはあるのに資金面で苦労している事業者のための新たな支援モデルも構想中だそう。
「アイデアを形にして、多くの人に喜ばれるものづくりの楽しさをもっと広げていきたいですね」と松本さん。多くの業種にて商品開発をしてきた経験とアイデア力により、企業に新たな価値をもたらします。
(取材年月:2025年7月)
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Profile
中小企業の自社商品をヒットに導く商品開発の専門家
松本奈緒美プロ
商品企画、開発、設計
株式会社発明ラボックス
約25年の日用品の発明経験をもとに、自社商品の開発から商品化、クラウドファンディングを活用した販売まで一貫サポート。「簡単な構造で特徴的な形状」をコンセプトにしたものづくりで、ヒット商品を導きます。
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