絵画・骨董品など、美術品買い取りの専門家小林大祥

絵画・骨董品など、美術品買い取りの専門家

小林大祥

絵画や焼き物、茶道具、掛け軸などを買い取り、出張サービスも展開

　「皆さまがコツコツと収集されたコレクションを手放されるにあたり、深い作品知識をもとに価値を評価いたします」と話すのは、東京、名古屋、大阪、広島、福岡で「美術品買取専門店獏」を運営する小林大祥さん。絵画や焼き物、茶道具、掛け軸、日本刀、鎧（よろい）などを個人や店舗、企業から買い取っています。

　「店名は、悪夢を食べる伝説上の生物『獏』にならい、お客さまの悩みを解消したいとの思いで付けました。美術品を売却するのは初めてという方がほとんどで、『適正価格が分からない』『低く見積もられるのでは』といった不安を抱くのは当然のことです。当社の提案を聞いていただき、一つの目安としてお役立てください」

　点数が多い場合や遠方の人に向けて出張買い取りも実施し、全国を対象に訪問。まずはホームページからメールやLINEで連絡し、作者やタイトル、サイズなど品物の概要や画像を送って、無料査定を受けることからスタートです。

　「作品の詳細は分からないけれど、価格を知りたいという場合は出張査定も行います。金額に納得できなければその場でお断りいただいても、ご家族と話し合ってからお返事してもらっても構いません。じっくりご検討ください」

　制作の背景や作家の生い立ちなどの関連情報を調べ、愛好家に向けたオークションに出品したり、百貨店で委託販売したり、販路を確立しているため、多少のリスクを負ってでも高額で買い取っているとのこと。

　「中でも取り扱いが多いのは絵画です。現代アートに分類される作品は1点1500万円で購入したこともあり、高値が期待できます」

学生時代から美術館めぐりが趣味。作品に触れる買い取りの道で起業

　小林さんは学生時代からファッションに興味を持ち、大学卒業後はアパレル業界に就職。洋服を“作る側”を志望し、繊維メーカーの営業として従事します。

　「若さもあり、華やかな世界に憧れました。今も国内外で展開している日本発のブランドの商品を手掛けたこともあります。しかしコスト高などを理由に輸入繊維が市場を占め、会社や業界に暗い影を落とすのを感じました」

　将来について思案していた折に知ったのが現在の仕事。大学生の頃からアルバイト代は洋服と美術館めぐりに使い、「いつか作品に触れられるようになりたい」と考えることもあった小林さんは、買い取り会社との出合いで転職を決意します。

　「営業スタイルも私に合っていました。お互いに納得した上で取引が成立するのが魅力ですね」

　買い取り会社には9年ほど勤務し、独立して「美術品買取専門店獏」を設立。経営者になるのも長年の夢だったと語ります。

　「祖父も父も自営業者で、幼少期から『社長ってかっこいい』と思っていました。しかも父は古着店を営んでおり、洋服が好きなところも起業家を志したのも2人のDNAが流れているのを感じますね。『このまま会社勤めをしていたら社長になれる可能性はごくわずか。一度の人生だしチャレンジしてみよう』と事業を立ち上げました」

顧客の思いをくみ取り、意思決定に寄り添う姿勢で信頼関係を構築

　仕事でやりがいを覚えるのは顧客を重圧から解放できた時。美術品は希少性が高く、意図せず相続で所有した人には「災害や盗難の被害に遭ったらどうしよう」「保管方法が分からず劣化させてしまうのでは」といった負担も与えやすいと小林さんは言います。

　「『子どもが作品の価値を理解しておらず、回収業者に処分されないか心配』と相談される方も少なくありません。当方にお任せいただければ大事な財産を守り、後世に受け継いでいきます。相続が発生する場合は買い取り額の見積書を送ることも可能です」

　顧客からは「わが家の一員だった絵画を大切に扱ってくれ、作者への造詣も深く家宝を託す良き仲人と確信できた」といったコメントも。小林さんのもとでは、クーリングオフ制度を導入して顧客の意思に柔軟に寄り添うほか、YouTubeで情報発信するなど信頼構築に努めています。

　「多くのニーズに応えるため、関東エリアでの店舗展開も強化したいですね。現在は東京店のみですが、この1店舗で全国の仕入れシェアの半分以上を占めています。周辺の神奈川や千葉、埼玉などにも多くの美術品が眠っていると想定されます」

　買い取り店の国内ナンバーワンを目指し、その先に描くのはギャラリーのオーナーとして作品を販売すること。美術品コレクターはジュエリーや高級時計も収集していることが多く、買い取りの幅も増やしたいと考えています。

　「今後も皆さまの思い出の品を次の方へバトンタッチする役割を果たしていきたいですね」

（取材年月：2024年11月）

美術品の価値を適切に評価し、大切にしてくれる次の人にバトンタッチ

絵画や焼き物、茶道具、掛け軸などを買い取り、出張サービスも展開

学生時代から美術館めぐりが趣味。作品に触れる買い取りの道で起業

顧客の思いをくみ取り、意思決定に寄り添う姿勢で信頼関係を構築

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