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空き家やインバウンド対策として民泊の未来を切り開き、オーナーやゲスト、地域に貢献

物件紹介から運営まで一括対応する民泊運営代行・管理の専門家

戸谷豪志

戸谷豪志 とやつよし

#chapter1

民泊運営を一括代行するサービスを展開し、物件の紹介、開業からサポート

 東京23区では、空き家数・空き家率が上昇し、住宅の空室問題が深刻化。一方で訪日客の急増により、観光地周辺では宿泊施設が不足しています。戸建てやマンションを、旅行者らに宿として貸し出す「民泊」は需給ギャップを埋める選択肢として注目を集めますが、申請手続き、外国語対応やトラブル処理と、稼働には高いハードルが立ちはだかります。

 不動産業と住宅宿泊業・旅館業を営む「アルゴレン」の代表・戸谷豪志さんは、物件オーナーや副収入を検討する個人らに向け、民泊運営を一括で代行するサービスを展開しています。

 「一般的に賃貸は転貸が禁止されているため、民泊を始めたい人にとって物件が見つからないことがネックになっています。当方は、民泊ができる賃貸物件を1300件以上取り扱っているのも特長で、自治体への届け出、開業からお手伝いします。所有している住宅を活用したい場合も、料金の設定やアメニティーの選定など、施設運営についてプランニングいたします」

 戸谷さんのもとでは、住宅宿泊事業法に基づき、安全面・衛生面の確保など適正な運営体制を構築。2020年から5年で累計300件以上の物件管理を手掛け、収益性の高い運用ノウハウを蓄えています。

 ゲストへの応対品質や法令順守、営業実績などが国際的に評価され、世界190カ国以上で利用されている民泊のプラットフォーム「Airbnb」の公認パートナー企業にも認定されています。

 「民泊を“思いつきの副業”ではなく、“着実に育てていける収益モデル”へ。私どもはオーナーさまが利益を作り、ゲストも滞在を楽しめる環境を作ります」

#chapter2

コミュニティーサイト「民泊総合研究所」やYouTubeで情報発信にも注力

 戸谷さんは、もともと神経科学の研究者。慶應義塾大学大学院を修了後、国立理化学研究所で発達障害に関する基礎研究に従事し、論文執筆や学会発表にいそしみます。

 「転機となったのはレンタルスペースの運営です。当初は学術活動と両立できる収入手段として始めましたが、収益化を試行錯誤する中で、マーケティングなどの面白さにひかれました。利用者との対話を通じてニーズを発見し、的確に満たして成果を得る。課題解決や目標達成の過程で、研究で培った『仮説・検証・改善』の思考法が生かされました」

 学問から事業にフィールドが変わっても、根底にあるのは“自分のできることを通じて人の役に立ちたい”という思い。戸谷さんは、「住宅を活用し、価値を再生する」という点で可能性を感じた民泊事業に参入。世界中の人を相手にするにあたり、国内トップレベルの研究所で多国籍な同僚と切磋琢磨した経験や語学力も、糧になっていると話します。

 2020年に法人化し、不動産仲介と民泊運営代行を融合したビジネスモデルを創出すると同時に、オーナーらのコミュニティーサイト「民泊総合研究所」やYouTubeチャンネルも立ち上げました。

 「行政の職員さんやお客さまから、対応が雑、連絡が取れないなど業界の実情を耳にするにつけ、何とかしたいと考えていました。業界全体のレベルを底上げし、お客さまが損をすることがないよう知見を共有する必要性を強く感じ、現場の声や正しい情報の発信にも力を入れています」

#chapter3

管理物件を災害時の維持時避難所として提供。民泊を社会インフラに

 戸谷さんが重視するのは、「持続可能で誠実な民泊運営の仕組みづくり」。従業員を多く抱えず、業務に応じて適切な人材に委託することで、コストを抑えつつ高品質なサービスを届けています。

 「英語や中国語といった多言語のコミュニケーションをかなえるため、海外スタッフを配し、水漏れは元水道業者が担当しています。清掃、緊急時のフォローも、役割ごとに経験豊富なメンバーが担います」

 また、「解約自由・違約金なし」という緩やかな契約条件を提示。柔軟で充実したサポート体制で、クライアントの多くが継続利用を選び、半数以上が乗り換えによる依頼だと言います。

 クライアントと信頼関係を築き、業容を拡充してきた戸谷さん。目指すのは、民泊を一時的なブームや副業の延長ではなく、空き家対策や地域活性化につながる“社会インフラの一端”として確立させることです。

 「不動産所有者の高齢化、空き家の増加、インバウンド観光の加速といった社会課題の解決策として民泊を打ち出していきたいと考えています。2024年1月に発生した能登半島地震の後には、当方が管理代行している物件の一部を被災者向けの一時避難宿として使っていただきました」

 災害で自宅を失った人、交通機関が停止し帰宅できない人を対象に、現在は東京都新宿区、豊島区、愛知県名古屋市内の物件を中心に避難宿として無償で提供。「地域社会に貢献する取り組みを通じて、民泊の未来を切り開きたいですね」と力を込めます。

(取材年月:2025年5月)

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専門家プロフィール

戸谷豪志

物件紹介から運営まで一括対応する民泊運営代行・管理の専門家

戸谷豪志プロ

民泊運営代行・管理

アルゴレン株式会社

東京23区を中心に民泊可能な転貸許可付き物件を1300件以上確保。宅建・住宅宿泊管理業の資格を生かし、開業から法令に則った安全な運営と多言語対応、清掃・トラブル処理まで一括で代行。収益化に伴走します。

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