生涯スポーツとしてテニスの普及に尽力するプロ花谷昌典

生涯スポーツとしてテニスの普及に尽力するプロ

花谷昌典

初心者から上級者まで、個々のレベルに合わせて指導するテニススクールを運営

　「テニスは何歳からでも始められて、何歳になっても続けられる生涯スポーツです。テニスを通じて体を動かし、仲間と触れ合い、体も心も健やかに過ごしてほしいですね」と話すのは、徳島市で「テニスサロンローランギャロス」を主宰する花谷昌典さん。

　会員制クラブやテニススクールを運営し、施設内には洗面所やシャワー、ロッカールームを完備。屋内で雨天でも使える全天候型コートも貸し出しています。

　「スクール単体のプランもありますが、多くの方は月会員を選ばれます。自主練習のためにコートを無料でレンタルできるほか、回数の制限なくレッスンを受講でき、空いた時間に自由に参加してもらえます。中には、毎日のように通う熱心な会員さまもいらっしゃいます」

　スクールは、中学生以下を対象にしたキッズ・ジュニア、一般向けのクラスを展開。いずれも、初めてラケットを握る初心者から、試合で使える実践的なスキルを磨く中級・中上級、トーナメントに出場する上級まで、レベル別にコースを用意しています。最年少は小学2年生、最高齢は66歳。幅広い世代を迎え入れ、花谷さんはコーチとして、一人一人の技術や目標に合わせてサポートしています。

　「同じクラスの方に、一律に同じテクニックを教えるわけではありません。個々の悩みや課題に寄り添った指導を心掛けています。また、当サロンが掲げるモットーは『楽しくテニスをしよう』です。アマチュアテニスは男女の力の差もさほどなく、年齢を問わず長く親しめるスポーツです。体力アップや友達づくりでご利用いただくのも大歓迎です。気軽に遊びに来てください」

野球からテニスに転身し、国体やインターハイに出場するプレーヤーに

　小学生のときは少年野球に明け暮れていた花谷さん。成果を求められる強豪チームでプレーする中で心身ともに疲弊し、中学生になる頃には燃え尽き症候群になっていました。

　野球を辞め、家にこもる様子を見かねた兄が勧めてくれたのがソフトテニスでした。兄から譲り受けた古びたラケットを手に、再び白球を追う日々を送ります。

　「高校では硬式テニス部に入部しました。素養を備えた同級生に勝ちたい一心で、毎日朝練や自主練に励みました。野球ではキャッチャーをしていたので、グラウンドを見渡して相手の動きを把握する観察力や、野手らに的確に送球する肩の強さ、コントロール力が生かされ、国体やインターハイ出場を果たすことができました」

　東京の大学に進学し、スポーツ理論などを学びながらプレーヤーとして活躍。卒業後は大手企業が運営するテニスクラブに入社しました。その後、家庭の事情で生まれ故郷の徳島へ戻り、高等学校で体育教員として勤務。指導者も務めるようになり、数多くの生徒を全国大会へ導き、2006年にローランギャロスをオープンしました。

　「実は大学時代に、テニスを辞めようと思いラケットを処分したことがあるんです。でも一週間もたたないうちに我慢できなくなって、またコートに立っていました。スマッシュを決めたり、ボールを打ち合ってラリーしたりするのは爽快で、『結果にとらわれず、一生テニスを楽しみたい』と情熱が再燃しました。サロンでは、テニスの魅力を多くの人に伝えたいと考えています」

「打てた」という感覚をつかみ、「できる」を少しずつ積み重ねることを重視

　花谷さんが大学時代に行ったアンケートによると、テニスを始めるきっかけについて、約8割の人が「自分にもできると思ったから」と回答。裏を返せば「自分にはできない」と感じると、テニスをやめるきっかけにもなり得ると気づきます。

　「当方では、初心者の方にはまず、弾みにくくスピードの出にくいボールを使ってもらい『打てた』という感覚をつかんでもらいます。グリップも、その人が握りやすい方法で構いません。少しずつ『できる』を積み重ねていくことを大事にしています」

　仲間や友人が増えるのもうれしいメリット。「うまくなりたい」「健康維持のため」など目的は人それぞれですが、コートで一緒にプレーしているうちに、自然と会員同士の絆が深まります。サロンで出会い、結婚に至ったカップルも2組いるそうです。

　「会員の皆さまの仲が良いのが特長で、サロン全体の雰囲気が明るく、居心地の良さやモチベーションの向上にもつながっています。中には、月1回の徳島出張に合わせて通ってくださる方もいらっしゃいますし、初心者からわずか4年でトーナメントに出場するほど上達された方もいます」

　今後は、ジュニア選手の育成にも力を入れていきたいと語る花谷さん。基礎から丁寧に手ほどきし、ボールをたくさん打つことで興味ややる気を引き出します。

　「目の前の勝敗に一喜一憂せず、どんな状況にも向き合えるしなやかな心を育みたいと考えています。楽しむ気持ちを忘れず、のびのびと取り組んでほしいですね」

（取材年月：2025年10月）

何歳からでも始めることができ、何歳になっても続けられる生涯スポーツ「テニス」の魅力を発信

初心者から上級者まで、個々のレベルに合わせて指導するテニススクールを運営

野球からテニスに転身し、国体やインターハイに出場するプレーヤーに

「打てた」という感覚をつかみ、「できる」を少しずつ積み重ねることを重視

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