畳の提案を通じて暮らしを整えるプロ
森吉久志
Mybestpro Interview
畳の提案を通じて暮らしを整えるプロ
森吉久志
#chapter1
「古来より日本の家屋で重宝されてきた畳を現代風にアレンジし、暮らしを快適に整えます」と話すのは、徳島県阿南市の「森吉商店」の3代目・森吉久志さん。古くなった畳表などを一新する畳替えや新調を手掛け、2024年からは「森吉プレミアム」のブランド名を掲げ、オリジナル商品も開発しています。
「弾力性が高い、独自のリビングエアー構造の『あなん』は、小さいお子さんや高齢の方が転んだ際のダメージを和らげ、走り回る音を吸収します。耐水性もあり、食べこぼしなどを拭き取ることができます。また、畳床やクッション材などを縫い付ける従来の縫着工法では針穴から水が浸入するため、各層を圧着・接着することで内部に水が入り込むのを防ぎ、丸洗いもできます」
豪雨や台風による水害が増えていることから、防水性能を備えた「めっちゃ洗える畳」も展開。軽量で強度に優れたガラス繊維強化ポリプロピレンという素材を用い、耐摩耗性や防滑性にもたけているのが特徴です。
「いずれの製品も、ピンクやグレー、ネイビーなどカラーバリエーションは幅広く、縁なしや半畳タイプもあります。単色でシンプルモダンにしたり、琉球畳のように市松模様にレイアウトしてポップな雰囲気にしたり、デザイン性も豊かです」
リビングの一角に畳コーナーを設けるほか、ホテルや旅館、料亭の小上がりや座敷にも採用。衝撃を抑え、保育園や福祉施設、ヨガ教室でも導入されています。
「断熱材も施し、足もとの冷えを抑えることもできます。柔らかく、温かみのある畳を、ぜひ日常に取り入れてほしいですね」
#chapter2
森吉さんは1970年に阿南市で生まれました。大学卒業後はタイヤの販売会社へ就職し、営業に従事します。
「当社は1948年に創業し、畳床の製造や材料の卸売り、敷き込みの下請けをしていました。私は次男だったこともあり、家業に入るつもりはありませんでした」
転機が訪れたのは29歳のとき。父から「長男が実家を継がないので、戻ってこないか」と声を掛けられました。
「悩みましたが、最終的には事業を手伝う決断をしました。セールスで忙しい日々だったのも理由の一つですが、『自分がやらなければ家を守る人がいない』という思いの方が大きかったですね」
入社後は卸販売と並行して畳の製造や施工に携わり、技術を習得。最初は取引先から叱られる日も多かったそうですが、納得してもらえる商品を納めるべく、現場に出て腕を磨きます。
「ピーク時は年間で1万枚ほど畳を製造、数をこなすうちに勘所が分かるようになってきました。畳はお部屋の形状に合わせるのですべてオーダーメードで、同じ家は一つもありません。お客さまをお待たせすることなく正確に作るため、どうすればもっと早く精度を上げられるか。毎日が実験のようでした」
作業に打ち込み、畳職人としての探究心が芽生えた森吉さん。縫製や修理などのノウハウを蓄えます。
「仕事に厳しい元請けの方がいたのですが、『あなたは本当にうまい。何も言うことがない』とほめてくださって。一人前として認められたようでうれしかったですね」
#chapter3
森吉さんは2010年に父・稔さんの後を継ぎ、3代目に就任。卸売りや下請けから業容を広げ、個人客から直接依頼を受けるようになりました。
「無数の小さな穴を持ち、湿気を吸収してダニやカビの発生を抑制し、抗菌・消臭性も兼ね備えた竹炭シートを下地に敷けばペットの臭いも吸着します。畳はサイズに合わせて裁断し、角の処理や縁の張り具合までミリ単位で調整します」
これまでに約10万枚の畳の現場に携わってきた森吉さん。中でも、80代の女性から「人生最後の畳替えをしたい」と頼まれたことが、印象に残っていると言います。
「築50年のお宅で、3部屋の畳は一度も張り替えをせず、上敷きを重ねて生活されていました。お客さまのご希望にじっくりと耳を傾け、素材を吟味して納品したところ『見違えるようにきれいになった』と喜ばれました」
子どもが遊んだり、寝転んで読書をしたり、昼寝をしたり。湯を沸かすいろりを据える置き炉用の畳を入れ、茶室をしつらえることもできます。
「踏み心地がよく、室内が新しい畳の香りで満ちるとすがすがしい気持ちになります。お客さまから『部屋が明るくなった』『空気が清らかになった』という言葉をいただくと、とても励みになります」
ふすまや障子の張り替えにも対応。経年により黄ばみが出て、色あせた建具もリニューアルします。
「保証サービスも用意し、期間中に不具合があれば無償でお直しします。末永いお付き合いを通じて、皆さまの住まいをお手入れいたします」
(取材年月:2025年10月)
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Profile
畳の提案を通じて暮らしを整えるプロ
森吉久志プロ
畳製造業
有限会社森吉商店
長年にわたり畳の材料卸や畳工事を手掛けてきた。その経験を基にじっくりとヒアリングを行い、依頼主が和室で過ごす姿を思い描きながら、一人一人の暮らしに適した畳を仕上げる。
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