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製造現場や解体現場のスクラップを回収し、分別・加工してリサイクル

誠実をモットーに掲げるリサイクル企業の三代目

徳山健将

徳山健将 とくやまけんしょう
徳山健将 とくやまけんしょう

#chapter1

リサイクル・産業廃棄物収集運搬業を営み、持続可能な社会の実現に貢献

 1955年に、栃木県足利市で創業した「徳山」では、リサイクル業と産業廃棄物収集運搬業を展開。工場や解体現場で出た鉄や銅、ステン、アルミなどのスクラップを回収し、分別・加工した上で建築資材メーカーや鋳造メーカーに原料として納入しています。

 シャーリングマシンという専用の切断機を保有していることから、サイズや形など各メーカーが提示する規格に沿って処理を施すことが可能。ハガキ大のカットにも対応しています。

 「ごみを扱っているように見えるかもしれませんが、きちんと分けて適切に再生すれば立派な資源になります。持続可能な社会の実現に向け、私たちに貢献できることはたくさんあるのです」

 そう話すのは、代表の徳山健将さん。約70年続く同社の3代目として事業を率いています。「当方が提供した鉄が、自動車のブレーキ部品の材料として使われることもあります。精密な働きを担い、企業の信頼性に関わりますから、粗悪品をしっかり取り除き、お客さまの求めるものだけをお届けすることを使命としております」

 徳山さんは2022年、顧客の期待に応えるべく新たに蛍光X線分析機を導入しました。この機械は、対象にX線を照射すると瞬時に成分分析や材料特定ができるというもの。顧客の側で品質を確認する手間が省けるので、より早く、そして質の高い素材を供給することができるようになると言います。

 「私たちの取引先の大半は、工程の多い製造業です。少しでも効率的に進めていけるよう工夫し、現場の方の負担を減らしていくことも心掛けています」

#chapter2

祖父、父から受け継いだ「誠実な商い」をモットーに迅速かつ丁寧に対応

 1982年、5人兄弟の長男として生まれた徳山さん。いずれは会社を継ぐつもりでいましたが、子どもが好きだったことから、大学卒業後は小学校教員として2年間教壇に立ちます。その後、24歳で家業に入ると共に代表に就任しました。

 「学生の頃から手伝っていましたから、業務内容や流れは把握しているつもりでしたが、考えが甘かったですね。知らないことだらけで本当に大変でした。あまりのふがいなさに、逃げ出したくなったことさえあります」

 苦戦する徳山さんをサポートしてくれたのが、先代社長である父の達根さんでした。仕事のやり方から顧客との接し方まで全てを教わりました。「自社の利益だけを追求しているようではお客さまが離れていきます。父も、そして創業者の祖父も誠実な商いをモットーにしてきました。私もその気持ちを大切にしています」

 時には、廃業を決めた業者からスクラップを引き取ってほしいと頼まれることも。一度切りの発注で継続はありませんが、「他の全ての依頼と同様、迅速かつ丁寧に対応します」と強調します。「同じ経営者として、事業をたたむ決断の重さはよく分かります。作業している間も胸が熱くなりました。最後に、『あなたにお願いしてよかった』という言葉を頂けたときは本当にうれしかったですね」

 社を引き継いでから15年以上が経過。苦労も多かったそうですが、「少しずつ自分に自信が持てるようになりました。今は仕事が楽しくて仕方ありません」と笑顔を見せます。

徳山健将 とくやまけんしょう

#chapter3

資源を再利用することをやりがいに家業から事業へ転換。社会性を高めていきたい

 昨今、日本全体でカーボンニュートラル(脱炭素社会)を目指す動きが活発化しています。環境への配慮から、鉄鋼業界では生産体制を、燃料を燃やして熱源を得る高炉から、電炉へ切り替えるメーカーが増えています。太陽光など再生可能エネルギーも活用できる電炉は、製鉄に伴うCO2の排出量を低減することができるからです。

 また、鉄鉱石から鉄を取り出す高炉に対し、電炉では鉄くずを溶かし精練します。資源を再利用する視点からも、スクラップの需要は増加傾向にあります。

 徳山さんは、「リサイクル業に携わる者として非常にやりがいを感じています」と語りつつも、将来を楽観視していません。「例えば脱炭素の一環で、電気自動車が従来のガソリン車に取って代われば、エンジンが不要になるなど、当方の主要取引先である部品サプライヤーから出るスクラップが減っていくかもしれません。今後は、いかにスクラップを確保していくかが課題。とはいえ、競合他社のお客さまのもとへ土足で踏み入るわけにはいきませんから、新規顧客の開拓は慎重に行っていかねばなりません」

 弟2人と共に働き、現状は家族経営ですが、新たな人材の確保にも力を入れていきたいとか。「会社を存続していくためにも社会性を高めることが重要で、家業から事業への転換がどこかで必要になります」

 その一方で、今後は現状に満足せずに多岐にわたってチャレンジしていきたいという。「私はチャレンジが好きなのです。全てが自分の経験になりますからね」

(取材年月:2023年4月)

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専門家プロフィール

徳山健将

誠実をモットーに掲げるリサイクル企業の三代目

徳山健将プロ

リサイクル業

有限会社徳山

製造現場や解体現場で出たスクラップを回収し、高性能成分分析機を使って分別。それらを丁寧に加工してリサイクルします。リサイクルの推進によるCO2削減を通じて、持続可能な社会づくりに貢献します。

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