ユニフォームでチームの個性をデザインするブランディングのプロ
鈴木啓之
Mybestpro Interview
ユニフォームでチームの個性をデザインするブランディングのプロ
鈴木啓之
#chapter1
サッカー、野球、バスケットボールをはじめ、チームユニフォームをオリジナルでデザインする「L.P.Design 静岡」の代表・鈴木啓之さん。社名の「L」はロジカル(論理的)、「P」はポリバレント(枠にとらわれずフレキシブルにこなす)を意味し、「静岡」を加えることで地域への思いを込めています。
「私自身も10年近く野球に打ち込み、その後も各種競技を観戦し続けてきた筋金入りのスポーツ好きです。国内外のチームや選手が着用する数万種類ものウェアを観察してきた経験が、デザインの発想の源になっています。既存の柄や配色パターンを変えるのではなく、チームに合った一着を形にしています」
制作前には、依頼チームと同地域にある他チームのユニフォームを調査。年代や競技を問わず幅広く確認し、柄や配色の重複を避けるよう配慮しています。
「チームの伝統や方針についても丁寧にヒアリングし、必要に応じてチームの練習や試合を現地で見学することもあります。実際の雰囲気を見ることで、ロゴや背番号、選手名の見え方なども確認できます」
現在は野球やバスケ、ハンドボール、ソフトテニスなど11ものチームを擁する川口市の総合スポーツクラブの専属デザイナーも務め、依頼は東京や神戸、愛媛など全国各地から届きます。プリント用データの制作まで一貫して担うことで中間コストを削減し、手頃な価格に抑えられるのもフリーランスならではの強みだと説明します。
#chapter2
鈴木さんは焼津市で生まれ育ち、幼い頃から絵を描くことに親しんできました。写生大会では景色や船の形に着目した作品が評価され、小学1年生から6年生まで継続して受賞。一部の作品は見本として長期間保管展示されていたといいます。
「小学校の修学旅行でも、周囲が観光を楽しむ中で国会議事堂をデッサンしていました。将来は美術大学への進学も考えていましたが、中学時代から専門的に学ぶ必要があると知り断念しました。その後、ものづくりの道を志し、大学では建築学科に進みました」
さらに、内装分野への関心が高まり、専門学校へ進学。卒業後は設計事務所に勤務し、展示会ブースのレイアウトや商業施設の設計、現場管理などに携わりました。
「幕張メッセなどの会場全体のレイアウトを手掛ける所長の下で腕を磨き、私自身もベトナム・ハノイで開かれた催事などを担当しました。さらに池袋のビルのフロア設計や現場監督も経験し、幅広い実務を積み重ねていきました」
その後、家庭の事情で静岡に戻り、地元の設計会社に転職。約20年にわたり店舗や住宅の設計からロゴデザイン、アミューズメント施設の企画開発、屋外広告物の申請支援まで多様なプロジェクトに携わります。
「ユニフォームを手掛けるきっかけは息子が所属するサッカーの少年団です。長く変わらなかったユニフォームの刷新を任され制作したのが最初。以降、ユニフォームデザインしたフットサルチームの対戦相手から『なかなか他で見かけないのでうちのも作ってほしい』と問い合わせをいただくようになりました。こうして副業を続けていた中、会社の方針転換を機に独立し『L.P.Design 静岡』を立ち上げ、今に至ります。やはり新しいウェアに袖を通し、喜ぶ選手の表情を見るのが好きですね」
#chapter3
自らのデザインが選手の意欲につながることにやりがいを感じていると話す鈴木さん。メディアを通じてチームの活躍を知ることも、仕事への意欲につながっているといいます。
「ユニフォームのロゴとエンブレムのリニューアルを手掛けた高校サッカー部が、その年の全国選手権に出場しました。また、大阪の高校ボクシング部が国体を制した際には、私が担当したTシャツ姿で中継に映ったこともあります。そのボクシング部とは現在も交流が続いています」
さらに、独立前の経験を生かし、看板の企画から制作、施工まで対応することも。ロゴデザインから設置まで一貫して請け負うことで、コンセプトの統一を図っています。
「看板制作のお客さまは主に飲食店で、特に居酒屋からのご依頼が多いです。熱海の旅館に、墨書き文字を彫り込んだ一枚板の看板を納めたこともあります。『道行く人に店名を覚えてもらえるようになった。デザインがブランドを支えていると実感した』といった声をいただくこともあります。担当した店舗に足を運び、来店客が『この店、看板がいいよね』と話しているのを耳にすると、うれしくなりますね」
今後については、ユニフォームデザインの分野における担い手の広がりにも目を向けています。
「ユニフォームデザインを専門とするデザイナーはまだ多くありません。チームや選手の個性を引き出す取り組みが広がっていけばと考えています。これからも一つ一つの依頼に丁寧に向き合っていきたいです」
(取材年月:2026年3月)
リンクをコピーしました
Profile
ユニフォームでチームの個性をデザインするブランディングのプロ
鈴木啓之プロ
ブランディングデザイナー
L.P.Design 静岡
スポーツ好きを原点にユニフォーム制作を中心としたデザイン事務所を設立。チームのポリシーを反映させ、競合カテゴリーをリサーチし独自性のある一着を提案。設計業務で培った技術で看板デザイン制作も手掛ける。
\ 詳しいプロフィールやコラムをチェック /
掲載専門家について
マイベストプロ静岡に掲載されている専門家は、新聞社・放送局の広告審査基準に基づいた一定の基準を満たした方たちです。 審査基準は、業界における専門的な知識・技術を有していること、プロフェッショナルとして活動していること、適切な資格や許認可を取得していること、消費者に安心してご利用いただけるよう一定の信頼性・実績を有していること、 プロとしての倫理観・社会的責任を理解し、適切な行動ができることとし、人となり、仕事への考え方、取り組み方などをお聞きした上で、基準を満たした方のみを掲載しています。 インタビュー記事は、株式会社ファーストブランド・マイベストプロ事務局、または静岡新聞社が取材しています。[→審査基準]