多焦点レンズで生活の質を向上させる白内障手術のプロ
緒方正史
Mybestpro Interview
多焦点レンズで生活の質を向上させる白内障手術のプロ
緒方正史
#chapter1
「人生100年時代。今は60歳なんて若いし、歳を取れば取るほど身軽な方がいいよね」。そう話すのは「眼科オガタ医院」の院長・緒方正史さん。
人は感覚情報の多くを視覚から得ており、その機能を100年維持させる中で、出来るだけ精度良く、メガネなしで見える状態を維持できたらと、先進的な「アルコン社製ORA-V-Lynkシステム」を用いた白内障手術に力を注いでいます。
静岡県東部エリア唯一(2024年7月時点)の導入となる「V-Lynk」。従来の手術法は術前計測の予測値からレンズ度数を決めるため誤差が生じ、術後の見え方に影響を及ぼすことがありました。しかし、同システムを術中使用することで、度数決定の精度が高まり、その誤差を極限まで低減。選定療養 ※のため多焦点眼内レンズに係る費用は高額となりますが、白内障手術と近視・老眼・乱視治療を同時に行えるようになりました。白内障手術費用には健康保険がきくため、3割負担の人は57,500円程度(片眼)、1割負担の人なら17,500円程度(片眼)で治療が行えます。
「白内障手術の中でも、遠くも近くもメガネなしで見える多焦点眼内レンズに注力しています。乱視矯正をすると見え方の満足度も上がるんですよね。度数決定の精度を高め、レンズをきっちり合わせる。今はそこにフォーカスしてます」。
一般的に約9割が単焦点眼内レンズを使用、乱視矯正レンズは1割程度(日本眼科医療機器協会2022年統計による)ですが、同院の単焦点レンズは45%、逆に乱視矯正レンズは55%(2023年当院使用数による)と使用率が高く実績も豊富です。
白内障の原因は加齢によるものが多く、誰もが発症し得る病気。ゆえに手術の時期や選ぶレンズによって、その後のQOL(生活の質)にも差が出て来そうです。近視や老眼に悩む50〜60代でも手術は可能。脳機能の仮想性や柔軟性があり順応もしやすいそうです。
※ 選定療養:社会保険に加入していれば、追加費用を負担することで、保険適用外の治療を保険適用の治療と併せて受けることができるサービスの一種。
#chapter2
“眼を通じてWell-being(個人と社会の持続的な幸せ)”をスローガンに掲げるオガタ医院。眼を治療し良い状態を維持することはもちろんですが、同じような世代・症状だからと紋切り型に診るのではなく、一人一人の動作、なり振り、生活背景、趣味といった多角的な視点から情報を集め、その人の生活スタイルが快適になるようカスタマイズした治療の提案を心掛けています。
ならば情報収集が必要な分、診察時間も長いのではと聞けば、1人あたり1〜2分という短さ。患者の待ち時間が短いのも同院の特徴です。
「眼科で2時間も待たせたらダメ。患者さんのことは事前にカルテを読んで予習してるんですよ」。
慢性疾患での来院が多いため、症状に変化がなければ眼の話は極力せず、患者との会話に集中。カルテ記入もメディカルクラークが行います。
「月1回、年12回情報を得られるので、それを元に次はこの話を振ってみようとか。会話をしたい年配の方も多いので、どう声を掛けて欲しいか察するのも大事で。基本的に営業ですね」と笑います。
白内障手術は70代が中心。手術の所要時間は約15分と短いものの、不安はつきものです。同院では通常の点眼麻酔に加え、低濃度笑気麻酔を導入。ほろ酔い気分のようなリラックスした状態で手術に臨むことができ、術中もナースコールで意思表示ができるので安心です。
「眼は治せば良くなる、白黒はっきりしているので達成感があるんですよ。それが一番の魅力かな」。新しい情報を追いつつ新陳代謝させ、良いものだけをブラッシュアップする。進化する医療、知識や情報、時代のトレンドの標準的なものを常に提供したいと話します。
#chapter3
眼科治療に終始せず、眼を通じてコミュニケーションを取る。そこから見える課題、患者が抱える社会の背景、世の中の問題に対して、自分たちができるアプローチは何かと常に自問している緒方さん。保守的になりがちな医療業界の中でも、新しいものを取り入れ、世の中の流れや患者のニーズを掴んだ形で現在の診療を進められていると話します。
その一つが美容医療です。白内障手術を受け、視力が回復すると、顔のシミの多さに驚く人も多いそう。「先生これ、どうしよう」。美容医療を始めたきっかけも、その声に応えるものでした。
眼科医として瞼を上げる形成手術を行いますが、顔の印象が変わると服装や表情が明るくなり、周囲の雰囲気までも明るくさせることは経験として得ています。その流れから一人一人に合わせた施術を行うカスタマイズ肌治療を導入することになりました。
「最終ゴールはすっぴん生活」。これぞ本当のSDGsですね。いつまでも若々しくアクティブに過ごすこと、介助なく自分の足で歩けること、それが社会のさまざまなエネルギーロスを防ぐことに繋がるため、一人でも多く増やしていきたいと眼科医の立場から発信しています。
(取材年月:2024年7月)
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Profile
多焦点レンズで生活の質を向上させる白内障手術のプロ
緒方正史プロ
眼科医
眼科オガタ医院
県東部唯一(2024.7月時点)となる「V-Lynk」を導入した白内障手術に力を入れる。多焦点眼内レンズ、乱視矯正レンズを用いた手術で視力矯正を実現できるほか、笑気麻酔で手術への不安軽減を図る。
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