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プロの撮影技術で、感動を未来へ

「演技者全員が主役!」マルチカメラによる舞台映像制作の専門家

増田宏司

増田宏司 ますだひろし

#chapter1

音声の記録にもこだわって、誰もが主役になる映像制作を追求

 「晴れの場に立つ誰もにスポットライトを当て、演者さんやそのご家族の一瞬の感動を未来につなぐお手伝いをいたします」

 そう語るのは、大阪府豊中市を拠点に活動する「映像工房ビデオFIX」代表の増田宏司さん。1981年、20歳の時からあまたのイベントを撮影。学校や幼稚園、保育園、音楽教室、吹奏楽やコーラスの音楽団体などから引き合いがあり、入学・入園、卒業・卒園式、発表会や運動会、式典、コンサートなどさまざまな場面を捉えています。

 「当方は一人一人が主役という思いで、舞台の端から端まで全員が輝いて映るための画角や光量など、撮影技術を追求しています。『端っこの子は自分の子どもと思って』を合言葉に、『もうちょっと画面の真ん中に持ってこられるんじゃないか』と、ひな壇やステージの隅々まで目を配り、個々にフォーカスすることを意識しています」

 近年は、ホールや習い事教室といった主催者向けの案件に注力。会社組織ではないからこそ顧客の細かいニーズに応えることが可能で、融通が利き、配慮が行き届く点が強みだと言います。また、増田さんが絶大な信頼を寄せるカメラマンをアサインするため、クオリティーにムラが生まれないのも特徴です。

 「いずれの現場でも複数台のカメラを使用し、躍動的でバリエーション豊かなシーン展開をかなえています。音にもこだわり、演奏会などでは会場に装備されたものだけでなく、自分でマイクを立てて収録します。手間もコストもかかりますが、利益よりも二度とない唯一無二の時間を形にしてあげたい一心で取り組んでいます」

#chapter2

一流ホテルマンと同じ立ち居振る舞いも学び、大規模イベントのマルチカメラによる中継・配信技術を習得

 増田さんは工業高校を卒業後、映像系の専門学校に進学し、在学中からビデオ撮影のアルバイトをスタート。20歳でカメラマンとして独り立ちすると、バブル期の盛大な結婚式や企業の大規模催事、社葬など多岐にわたる現場で経験を積みました。

 婚礼に際しては、15年以上大阪の一流ホテル専属のカメラマンを経験し、ホテルマンと同じマナーや立ち居振る舞いも学び、同時に数多くの大規模イベントでの複数台のマルチカメラによる中継(配信)技術や、ロングショットやクローズアップといったカット割りなど、映像制作の基礎を徹底的に身に付けました。
 また、学生時代の吹奏楽部で養った音楽センスは、独自に収音マイクを設置するなど、音楽関係のイベント撮影・収録に大変役立っていると言います。

 「友人の紹介で卒園記念の映像を任せてもらったのが、学校関係の案件を受けるきっかけとなりました。実は起業してから営業をしたことはないんです。特に学校や各部活動、音楽教室などでは、先生が異動しても『引き続き増田さんに』と指名されることがほとんどで、諸事情で一度離れたお客さまでも翌年度には『やっぱり増田さんでなければ。。。』とご連絡いただいた事も数件あります。長きにわたり付き合いが続く背景には、顧客に丁寧に寄り添ってきた賜物だと思います」

 「数多くの機材を投入し、何人もカメラマンを入れれば、良いものができるのは当たり前。でも予算がない場合もありますから、お客さまの事情をくみ取りベストを尽くすことを心掛けています」

 カメラマンのギャラが一番高いため、人を使わずに自分で3台のカメラを操作することも。培ったテクニックと長年の経験知を駆使し、みんなが主人公になれる物語へと仕上げるのが、最大の目標と胸を張ります。

#chapter3

かけがえのない記憶として刻む記録映像の技術と意義を次の世代へ

 映像業界は常に変化の波にさらされています。好景気に沸いた華やかなウエディングから、子どもたちの成長や日頃の学習の成果を披露する催しへと、増田さん自身も40年以上のキャリアの中で、時代のニーズに合わせて柔軟に事業の軸を変化させてきました。デジタル化やカメラ機材の進化、若手クリエイターの多様化など、大きな変貌を遂げています。

 「今、ビジュアルの世界は若手が頑張っています。私たちが手掛ける記録とはまた別でアート色が強い印象です。用いるのもビデオカメラではなくて、一眼レフで動画を撮るのが主流です。同じ映像制作でも、目的で撮り方も違いますね」

 増田さんは自社の事業拡大は望んでいないものの、自分の技術や理念を伝えられる後継者を育てたいと考えています。

 「この仕事は絶対に必要なんです。記録映像は、その時、その瞬間をかけがえのない記憶として刻むもので、次代に継承する意義を理解してくれる若い人が出てきてくれるとうれしいですね」

 良い思い出を作品として残したいという増田さんのビジョンに共感してくれる仲間とともに、今後も誠実に被写体と向き合いたいと力を込めます。

 「今はスマホでも簡単に動画が撮れる時代。手軽に撮影できるのはいいことですが、たやすさゆえに撮りっぱなしのことがほとんどでしょう。プロの技が入ると、単なる記録が作品に変わり、ストーリーが生まれます。後に見返した時、当時の感動が鮮やかによみがえるような、臨場感あふれる映像を届けたいですね、そして皆さまが喜んでいただければ私の一番の幸せです」

(取材年月:2025年4月)

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専門家プロフィール

増田宏司

「演技者全員が主役!」マルチカメラによる舞台映像制作の専門家

増田宏司プロ

映像制作

映像工房ビデオFIX

40年以上にわたる経験と技術を生かし、イベントに参加するすべての人々が輝く瞬間を映像として形にします。予算や多様な要望にも柔軟に対応、音声等の細部に至るまで妥協せず、情熱を注いで仕上げます。

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