遺族の気持ちに寄り添い心を込めて対応する遺品整理の専門家石田毅

遺族の気持ちに寄り添い心を込めて対応する遺品整理の専門家

石田毅

遺品の形見分けや買い取り、供養などを通じて思い出の品を丁寧に整理

　「かけがえのない方を亡くし、気持ちが追いつかないまま故人さまの面影が残る品を片付けるのは精神的にも、体力的にも負担が大きいものです。私たちは、心身ともにつらい思いをされている方の心情をくみ取り、癒やしの一助になればと、温かみのある仕事を信念にしています」

　そう語るのは、大阪市に本社を構える「遺品整理プロスタッフ」代表取締役社長の石田毅さん。関西・関東・東海エリアに営業拠点を展開し、遺品整理、買い取り、清掃、仏壇の供養・処分、家屋の解体などを手掛け、約18万件の用命に応えてきました。

　「月末までに退去しなければならない」「滞在時間が限られている」など、制約がある状況に配慮し、365日無料で見積もりを実施。エリア内であれば最短60分で現地に駆けつけます。

　「モットーは『丁寧に』『スピーディーに』『より安く』です。遺品を扱うための知識やマナーを習得したスタッフを中心に、お客さまのご要望を細やかにヒアリングしてスタッフ間で共有。貴重品の探索や形見分け、当社が引き取る荷物を分別し、スムーズに作業を進めます」

　リユース・リサイクルを徹底し、不用品の処分費を圧縮して価格を抑えているのも特徴だと言います。

　「自治体のルールに即して適切に処理するのはもとより、海外で需要がある品物は輸出しています。従業員が輸出先の国へ出向き、流通の現状やニーズを視察。必要とされる場所で再び役目を与え、廃棄物が減るよう努めています」

　仏壇や神棚、故人の愛用品は、提携寺院の僧侶による「お焚き上げ」や「魂抜き」など、作法に従い浄化しています。

祖母の遺品整理で味わった苦い経験が、遺族に寄り添うサービスの原点に

　石田さんは大学卒業後に不動産会社に就職するも、「自分のやりたいことではなかった」と退職。その後、不用品回収や遺品整理の会社を立ち上げた元上司と偶然にも再会します。

　大学生の頃、祖母が逝去した際に途方にくれた記憶がよみがえり、運命のようなものを感じ一緒に働くことを決めました。

　「祖母にとてもかわいがられていたので、亡くなった時はとても悲しくて名残惜しさでいっぱいでしたが、住居の退去日が迫り急いで片付ける必要がありました。情報もなく戸惑うばかりの中で、なんとか探した業者さんに連絡しました」

　見積もりを取ったところ「80万円」と告げられ、他の選択肢もなくお願いすることに。祖母の布団や食器が粗雑に扱われるのを見て、母が涙を浮かべていた姿に心を痛めた石田さん。「故人に敬意を払い、思い出が詰まった家財を丁重に扱い、遺族に寄り添う存在でありたい」と強く決意します。

　2年間、元上司の会社で経験を積んだ後、2015年に独立。一つ一つの現場に家族のストーリーがあることを実感しています。

　「ある時、娘さんからお父さまの遺品整理を承りました。幼い頃に娘さんが書いたお手紙なども大切に保管されており、それをお渡ししたとき、娘さんは涙を流されていました」

　たとえわだかまりがあったとしても、遺品を仕分ける過程で家族の絆を感じる場面に立ち会うこともあります。一家の歴史や記憶が刻まれた品を届け、依頼主から「ありがとう」と感謝される瞬間が何よりのやりがいです。

ゴミ屋敷専門の会社も手掛け、不安を和らげるため作業動画も配信

　石田さんは「遺品整理プロスタッフ」のほか、不用品回収と、ゴミ屋敷を専門に片付ける会社も経営しています。それぞれを業界トップクラスの企業に育てることが目標です。

　「自分一人では手に負えない、誰にも相談できないと悩んでいる方がたくさんいらっしゃいます。どんな業者を選べばいいか分からないという方に、少しでも弊社のことを知ってもらいたくて動画配信を始めました」

　作業前の現場の様子から完了までを、依頼主の許可を得て撮影。意思確認をしながら分別し、数人のスタッフが連携して手際よく進めるプロセスを公開することで、問い合わせが増加しています。

　「どんな人が来るか心配だという方も、スタッフの明るい応対や誠実な姿勢をご覧になり不安を和らげてくださいます」

　全国展開を目指す石田さんですが「急がずに、理念をしっかり浸透させたい」と従業員教育に力を入れます。努力が報われる昇格制度や、充実した待遇を用意することで、従業員のモチベーションを高め、ひいては顧客満足にもつながっています。

　今後は、整理を終えた後のクリーニングなどにも注力。土地・建物の扱い、相続トラブルへの対応として弁護士や不動産鑑定士といった専門家も紹介し、さまざまな困りごとに手を差し伸べる体制を整えます。

　「私たちは、お客さまのご事情をおもんぱかり、心の重荷を少しでも軽くするために誠意を尽くしたいと考えています。皆さまが笑顔を取り戻し、前向きになれるよう精いっぱいお手伝いします」

（取材年月：2025年4月）

遺族の心情に寄り添い、事情に配慮し、温かみのある仕事で癒やしの一助に

遺品の形見分けや買い取り、供養などを通じて思い出の品を丁寧に整理

祖母の遺品整理で味わった苦い経験が、遺族に寄り添うサービスの原点に

ゴミ屋敷専門の会社も手掛け、不安を和らげるため作業動画も配信

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