デザインリフォーム・リノベーションのプロ井上健大

デザインリフォーム・リノベーションのプロ

井上健大

海を感じるデザインやインテリアで住む人の暮らしを豊かにしたい

　日の光が注ぐ、青と白を基調とした明るい室内。木目調の家具や観葉植物、そして、ひときわ存在感を放つサーフボード。カジュアルでありながらも、洗練されたカリフォルニアスタイルに仕上げるのは、那覇市を拠点にする「井上工務店」の代表、井上健大さんです。

　「見た目をきれいにしたり機能性を高めたりするだけでなく、インテリアなどから、南国の沖縄らしさを感じてもらえたら、『住む人の気持ちが豊かになるのでは』と思っています」

　海辺の街ならではの開放感を醸し出すデザインリフォーム・リノベーションを得意とし、一戸建てやマンションといった住宅のほか、店舗なども請け負う井上さん。心掛けているのは、顧客が期待する以上のプランニングをすることです。お客さまの要望通りには誰でもできます。その上をいく提案ができなければ、プロにお任せいただく意味がありません」

　ベランダ改修を頼まれた時のこと。現地に赴くと、物干し場ほどの面積しかない上、高い手すりのせいで目の前のオーシャンビューが見えない状態でした。
　「解体して可能な限りスペースを広げ、手すりも透明なアクリル製に変えました。眺望を確保するのはもちろん、アウトリビングとして使ってもらえるようにしたところ、大変喜んでいただき、うれしかったですね」

　井上さんによれば、台風が頻繁に上陸する沖縄では、躯体が頑丈で、耐久性が比較的長い鉄筋コンクリート造りの建物が多いとのこと。柱と梁以外にほとんど骨組みがないため、間取りの自由度が高いのが特徴だと言います。

勤務先の沖縄撤退を経て独立を決意。実家と同じ社名を掲げ活動

　井上さんは1975年、奈良県で工務店を営む家に生まれました。建築系の専門学校を経て、地元のハウスメーカーに入社。30歳を過ぎた頃に、転勤で沖縄にやって来ました。

　「私の故郷である奈良は、内陸部に位置する『海なし県』で、海というと夏休みにしか行けない特別な場所で憧れがありました。沖縄は、どこもかしこも絵はがきで見るような美しい海が訪れる人を迎えてくれます。すぐにこの島のとりこになりました」

　その後、勤務先が沖縄から撤退するのを機に退職し、県内の建設会社に転職することに。「青々とした大海原のほかにも、緑が深い山や森、涼しげな清流と自然に恵まれ、人柄も温かい沖縄から離れたくありませんでした。何よりも、『ここで、自分にできることがまだまだたくさんある』と考えていたので、残ることにしました」

　リフォーム事業部で約10年にわたって経験を積んだ井上さんは、2019年に独り立ちしました。「父が他界したことも、起業を決意した理由の一つです。人生の時間は有限だからこそ、やりたいことをやるべきだと。家族も応援してくれたことが後押しになりましたし、絶対に失敗できないと気が引き締まりましたね」と明かします。

　井上工務店という社名は、実家の屋号と同じ。父親の意思を引き継ぐつもりで、名前も継承したそうです。「父の背中を見て育ち、学生の頃からアルバイトで家業を手伝い、いろんなことを教わりました。この道に進んだのは、私にとってごく当たり前のことでしたね」

建築の仕事のすばらしさを伝え、人材育成にも努めていきたい

　沖縄に同業者は数多くいるため、自分の会社を立ち上げるにあたり、差別化を図ることにした井上さん。大好きな海の魅力を引き立てるアメリカの西海岸テイストをコンセプトとして定めます。しかし独立したものの、直後に新型コロナウイルス感染症がまん延します。「人の動きが制限されると共に経済も停滞し、一時はどうなることかと心配しました。幸い、前職でお世話になった方が案件を紹介してくれたのです」

　先が見通せない最中では、大金をかけてリフォームをしようとしいう人は少なく、かつてつむいだ縁に救われたと語ります。「とはいえ市場は厳しい状況で、コロナ禍においては私が望んでいたような活動ができていたわけではありません。大型の問い合わせが入るようになったのは2022年に入ってからで、ようやく『これから本稼働』といった心境です。実績を作ってホームページ上で公開し、新規開拓につなげていきたいと考えています」

　井上さんは現在一人で各依頼に対応し、忙しく過ごしています。今後は若い社員を採用し、人材育成にも力を入れていきたいと意欲を見せます。「水回りなどの住宅設備を整えたり、家事のしやすい導線を描いたり、人の暮らしに関わるため、実務においては覚えることがたくさんあります。でも、奥が深く、とても楽しくやりがいがあります。建築工事に従事する人が減っているので、なんとかして、若い人にこの仕事のすばらしさを伝えていきたいですね」と未来を見据えます。

（取材年月：2022年9月）

一戸建て、マンションを自分好みのインテリアテイストにリフォーム・リノベーション

海を感じるデザインやインテリアで住む人の暮らしを豊かにしたい

勤務先の沖縄撤退を経て独立を決意。実家と同じ社名を掲げ活動

建築の仕事のすばらしさを伝え、人材育成にも努めていきたい

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