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「暮らし」に寄り添う支援をチームで実現。地域とともに歩むケアマネジャー

「暮らし」に寄り添い在宅支援を導くケアプランのプロ

渡久地一太郎

渡久地一太郎 とぐちいちたろう
渡久地一太郎 とぐちいちたろう

#chapter1

人と制度をつなぎ、「自分らしい暮らし」を支える支援を設計

 介護を家族まかせにせず、社会全体で支え合うための介護保険制度。同制度の中で、ケアマネジャーは利用者・家族・医療・介護事業者をつなぐハブのような存在です。支援の出発点は、まず利用者や家族の声に耳を傾けること。生活の中で何に困っているのか、どんな暮らしを望んでいるのかを丁寧に聞き取りながら、一人一人に合わせた支援計画(ケアプラン)を立てていきます。

 「介護に直面するまで介護保険のことを知らない方も多いので、まずは制度の説明から始めます。でも本当に大切なのは、制度の枠に当てはめることではなく、その方が自分らしく暮らすための道筋を描くこと」と、合同会社ひとえ代表の渡久地一太郎さんは話します。

 居宅介護支援事業所「ケアプランセンターひとえ」には、渡久地さんをはじめ9名のケアマネジャーが在籍。浦添市を拠点に、沖縄県中部から南部までをカバーしています。主任ケアマネジャーが経験の浅い職員をサポートしながら、チームでケースを共有し、複数の視点から支援内容を検討します。

 「介護保険制度が変化し続ける中、いかに施設やサービスなどの地域資源を活用し、利用者さまの暮らしを守れるかがケアマネの腕の見せどころ。利用者さまが最後まで住み慣れた自宅で生活できることを目指し、深い制度理解とチームワークで、より適切なケアプランを目指します」

 また、同社では福祉用具の貸し出しや販売を行う「福祉用具サービスひとえ」、通所介護事業所「湯~らっくすひとえ」も運営。地域の介護関連事業所とも連携し、利用者の状態に応じてサービスを組み合わせて、在宅生活を支える多面的な支援を行っています。

#chapter2

介護保険制度と歩み、公正中立の理念を形にした独立への道

 2000年に介護保険制度が始まった翌年、渡久地さんは介護福祉士として現場に立ちました。制度がようやく動き出したばかりで、利用者も職員も手探りの時期。「教科書どおりにはいかない現実に向き合う毎日でした」と振り返ります。

 2006年の法改正で介護予防が打ち出されると、支援のあり方が変化。翌2007年、渡久地さんは介護支援専門員の資格を取得し、ケアマネジャーとして新たな立場に立ちます。病院や事業所で経験を積みながら、地域の多職種と連携を深めていきました。

 そして2013年、同じくケアマネジャーの妻とともに合同会社ひとえを設立。当時はまだケアマネジャーの独立が珍しく、周囲からは「本当にやっていけるのか」という声もありましたが、「自分たちらしいケアマネジャー事務所を作りたい」との思いに突き動かされての起業でした。
 「利用者さまやご家族の目線に立ち、真にニーズに合ったサービスとマッチングするには、ケアマネジャーとして公正中立であることが大切です。どの事業所にも偏らず、利用者本位の支援を貫くために居宅支援事業を核として法人化しました」
生活者目線に立った女性の福祉用具専門相談員が相談に乗る福祉用具サービスも、ほぼ同時に立ち上げます。

 やがて渡久地さんの志に共感する仲間が一人、また一人と増え、事業は拡大。利用者への誠実な対応ぶりが医療・行政関係者の信頼を得て、浦添市だけでなく那覇市・宜野湾市・北谷町の病院や診療所からも直接依頼が入るようになりました。

#chapter3

現場で必要とされるサービスを形に。若手とともに描く次世代のケアマネジャー像

 渡久地さんは2023年、福祉仲間らとともに合同会社トリニティを設立。浦添市で展開するデイサービスには、それぞれ特色があります。「デイサービスひいの港川店」には言語聴覚士が在籍し、言語や口腔機能に特化したリハビリを提供。「ひいの伊祖店」は半日型デイサービスで、理学療法士による運動機能回復に力を入れます。
 「仲間と経験や知見を持ち寄ることで、今地域に必要なサービスを形にすることができました」

 2025年6月からは、合同会社ひとえの事業としてデイサービス「湯~らっくすひとえ」を開所。入浴支援を中心とした半日型デイサービスで、在宅生活を続ける上で負担の大きい入浴介助を専門的に支えます。要支援認定の軽度者の方だけでなく、車いすユーザーや寝たきりの利用者も湯船に入れるよう、リフトやストレッチャーを設置。利用者や家族からは喜びの声も届いています。

 地域との関わりも重視する渡久地さん。沖縄県介護支援専門員協会浦添支部の役員を務め、資格更新講習の講師として若手ケアマネジャーの育成にも力を注いでいます。
 「私自身の若い頃を振り返ると、制度の理解に苦労し、不安が尽きない日々でした。けれども、今ではこの仕事が心から好きだと胸を張って言えます。生涯現役で現場に立ち続けると決めています。ケアマネジャーは人に寄り添う仕事ですが、同じケアマネジャー同士も寄り添い合うことで成長していける。若い世代と学び合いながら、介護が必要になっても安心して暮らせる地域をともにつくる仲間を増やしていきたいですね」

(取材年月:2025年10月)

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専門家プロフィール

渡久地一太郎

「暮らし」に寄り添い在宅支援を導くケアプランのプロ

渡久地一太郎プロ

ケアマネジャー

合同会社ひとえ

介護保険制度の創成期から現場に立ち、利用者・家族・医療・介護事業者をつなぐ支援を実践。制度理解とチーム連携を強みに、地域で安心して暮らし続けられるケアプランを提案しています。

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