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空調機のノンフロン化を進め、企業のエネルギーコスト削減とSDGsに貢献

空調機のノンフロン化でSDGsに取り組むプロ

岸正義

岸正義 きしまさよし
岸正義 きしまさよし

#chapter1

既存空調機にノンフロン自然冷媒ガスを入れ替え、電気料金と温室効果ガス排出を軽減

 モノを冷やす冷媒の主流を占める代替フロン(HFC)。地球温暖化をもたらす温室効果ガスの一つとして、世界で使用や排出規制など対策が進められています。

 「日本政府は代替フロンを含む温室効果ガスの排出量を、2030年度に、2013年度から46%削減、2050年には実質ゼロを目標にしています(※)。早めの対策をおすすめします」※環境省「地球温暖化対策計画」(2021年10月閣議決定)より。

 そう話すのは、「e-コンサルティング沖縄」代表取締役の岸正義さん。沖縄県内で、業務用空調機や冷蔵冷凍機のノンフロン化を推進しています。

 国際的に代替フロンの生産・使用の削減スケジュールが示されたのは、2016年10月に採択された「モントリオール議定書」のギガリ改正です。
 「植物の光合成によって循環する二酸化炭素に比べ、フロンガスは大気中に留まるため、温室効果が非常に高いことが分かっています。北欧など環境先進国では、代替フロンから自然冷媒ガスへの転換が進んでいます」

 岸さんのもとでは、既存機器からフロン類を回収し、環境に配慮したノンフロン自然冷媒ガス「GF-08」に切り替える施工を行い、省エネを導きます。
 「沖縄は、石油や石炭など化石燃料に頼る火力発電が中心で、送電線がつながっていない他地域から電力供給も受けられず、全国で電気料金が高い地域です。ノンフロン化により、空調機の動力部分であるコンプレッサーの負荷を軽減し、消費電力を平均35~38%削減(沖縄県内実績値)し、コストダウンにつなげます。また、設備を買い替える必要がないため、先行投資を抑えられます」

#chapter2

「おきなわSDGsパートナー」として、企業利益につながるSDGs活動を提案

 岸さんが取り扱う自然冷媒ガス「GF-08」は、丸八空調工業が国内で開発・製造を手掛け、特許を取得しています。
 「『既存機器の冷媒ガスを入れ替えて問題ないのか』という質問をよくいただきますが、冷媒用として開発・精製され、安全性や機器との相性なども検証されています。また、工事施工完了後1年間は無償保証期間とし、空調設備会社と連携して不具合やメンテナンスに対応します」

 ホテルや商業施設、飲食店、金融機関、オフィスなどで導入実績が増えているそう。また今後は「行政機関や病院・学校なども手掛けていきたい」と話します。
 「導入した企業からは『エアコンの室外機の運転音が静かになった』と言われることが多いですね。コンプレッサーの負荷が下がることで、機器の経年劣化を遅らせることも期待できます」

 岸さんの事業は、SDGs達成につながる活動として、2022年に「おきなわSDGsパートナー」の認証を受けています。
 「今やSDGsに取り組むことは、大手企業との取引要件の一つとなっています。高騰するエネルギーコスト対策としても有効ですが、企業イメージを高める視点からも考えてほしいですね」

 ほかに、産業廃棄物の処理に役立つ磁器熱分解装置「MG22Eh」の販売も手掛けます。プラスチック類から木材、医療用、農業用まで、有機物を熱分解して減容化します。
 「燃焼しないためダイオキシンや二酸化炭素はほとんど発生せず、無菌化された廃棄物残渣は肥料として使用できます。取り扱いが難しい産廃の処理費用を抑えられると好評を得ています」

岸正義 きしまさよし

#chapter3

次世代の技術を取り入れ、地球環境のためにできることを

 社名の「e」は、「地球・環境・エネルギー・エコ」を意味し、地球環境の問題に向き合いたいという決意が込められています。東京出身の岸さんは、30歳の頃、沖縄に移住。沖縄の海が好きで、スキューバーダイビングを楽しむためだったとか。
 「事業とは関係なく、沖縄の美しい海を守り、子どもたちに残したいという思いがベースにあります。温暖化により海水の温度が上がると、生態系も変わるでしょう。海の中に限らず、当たり前にあった身近な環境が失われてしまうかもしれません。一人一人が真摯(しんし)に向き合わなければ、変化は食い止められないと気付いてほしいですね」

 岸さんは、会社設立以前、約20年にわたり営業職に就いていました。泡盛やシークワーサージュースといった沖縄県の特産品を全国に流通させる業務などを担当。培った経験や人脈が今につながっているそう。
 「省エネ意識の高まりから引き合いが増えているので、販売や施工を共に担ってくれる事業者も歓迎します。今後は、宮古島や石垣島などの離島にもサービスを広げ、将来的に台湾をはじめとしたアジアでの展開も見据えています」

 「新しい技術を先駆けて取り入れることに抵抗感のある経営者は少なくありません。世界の動きから、蛍光灯がLED照明へと置き換えが進んだように、代替フロンから自然冷媒ガスへの入れ替えは一般的になると考えています。地球の未来のために自分ができることを進めていきたいですね」と決意を語ります。

(取材年月:2023年11月)

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空調機のノンフロン化でSDGsに取り組むプロ

岸正義プロ

空調機ノンフロン化のコンサルタント

株式会社e-コンサルティング沖縄

環境に配慮した国産のノンフロン自然冷媒ガス「GF-08」を利用し、空調機など既存機器のノンフロン化をサポート。自然冷媒入れ替え工事により、電気代のコストダウンとSDGsの取り組みにつなげます。

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