沖縄初、親子で参加できる道場を営む合気道のプロ玉城文雄

沖縄初、親子で参加できる道場を営む合気道のプロ

玉城文雄

夫婦ともに指導者。女性や親子も参加しやすい「合氣道教室浦添道場」

　「合気道は誰にでもできる武道です。男女や年齢、体格差など関係なく、誰しもが一緒に稽古ができることが特徴です」と話すのは「合気道教室浦添道場」を営む、玉城文雄さんです。那覇市出身の玉城さんは、若い頃から柔道や剣道などの武道に親しみつつ、「気功」に興味を持ちます。その流れで合気道と出会ったのだそうです。

　その時すでに30代半ばでしたが、始めてすぐに「自分は合気道の指導者になる」決意。わずか4年間で五級から二段へ昇進し、2008年頃、念願の指導者の道に入ります。現在は浦添市のANA ARENA 浦添（浦添市民体育館）を拠点に、県内各地の体育館やカルチャーセンターなどで合気道教室を展開しています。

　「合気道は勝ち負けも試合もない武道です。体と心の応用力を鍛え、楽な状態、そして自由な状態の自分自身を作るのが合気道なのです」と、稽古中の道場を案内してくださったのは大阪出身の奥様・仁美さん。文雄さんとは気功などの活動を通じて出会い結婚、沖縄では珍しい女性の合気道指導者であり、文雄さんとともに夫婦二人三脚で指導に当たっています。

　沖縄でメジャーな武道といえば、やはり空手。そんな中、合気道は沖縄では40年弱と歴史は浅いのですが、世界では136ヶ国に道場がある人気の武道。実際に、玉城さんが営む4つの合気道教室でも、徐々に生徒は増えてきているそうで、現在、下は子どもから上は80代まで、約60人の生徒さんが通っています。

沖縄初の「親子クラス」が人気。「念入りな準備体操」は、これだけでも価値があるとの声も

　「合気道教室浦添道場」では、一般クラス、子どもクラスなど、いくつかのクラスがありますが、中でも沖縄では初めてという「親子クラス」が非常に人気なのだそうです。「そもそもはお子さんを通わせている親御さんがきっかけでした。すごくやりたそうな顔をしている方がすごく多かったんです。でも、なかなか言い出せないような雰囲気でした。だったら、親子クラスを作ってみようと、3年前にスタートしたのですが、開始直後から人気になりました。これこそ、年齢、性別、体格など問わず、一緒に稽古できるという合気道の魅力の一つですね」（仁美さん）

　世の中に習い事は数あれど、親子が一緒に体を動かせるものは意外に少なく、子どもよりも親御さん、特にお父さんがハマるのだそうです。中には家族全員で通う方もいらっしゃるとか。「見ていると、親子関係や兄弟の仲がどんどん良くなっていくのがよくわかります。合気道を通して家での会話も増えているのではと想像できますね」（文雄さん）

　さらにもう一つ、道場の特徴は「念入りな準備運動」だと言います。「1クラス90分間なのですが、うちでは準備運動に30分かけます。ヨガやストレッチ、の要素も盛り込み、全身を丹念にほぐしていきます。この準備運動だけでも習いたいという方もいらっしゃるほど。さらに年に数回、整体の先生をお呼びして、セルフケアの講習を行うこともあります。合気道を習う以外にも、体が固い方、痛みがある方もぜひ来て頂きたいですね」（仁美さん）

合気道の要である「転換」という教え。体の使い方に加え、思考力の鍛錬にも応用可能

　玉城さん夫妻が合気道の指導を行う際、大切にしているの「転換」という考えです。これは合気道の要になっているもので、様々なものの根幹となりうる考え方だと言います。

　「合気道は動きの中で、適宜体を転換させていくことで技をかけていきます。逆に言えば、転換させていかないと技がかからない。角度や体勢を変えていくことの大切さを、自分の体を通して理解していくのです。これは体だけにとどまらず、例えば『発想の転換』、『考え方の転換』など、思考力を身に付けていくことにも繋がります。合気道が『心の応用力』を鍛えるものであることの所以ですね」（文雄さん）

　体だけでなく、自分の内面と向き合うことにもなるため、人間関係や職場の問題に悩む人たちにも、ぜひ道場に通ってほしいと言います。「合気道の考え方を通じて、悩みを抱えた方たちを『負のループ』に陥らせないようにしたいのです」（仁美さん）

　お二人は、合気道の精神である「和合（わごう＝仲良くすること）」を基に、思いやりのある社会を実現していきたいと話します。「合気道の『合』は『愛』という意味もあり、沖縄のこころにも共通しているはずだと思っています」（文雄さん）

　コロナの影響でしばらくお休みしていたものの、5月に再開。マスク着用や念入りな消毒を行うなど、万全の対策を心がけています。同時に全クラスで無料体験会も行っています。詳しくはHP（http://aikiwagou.okinawa.jp/index.html）を御覧ください。

　（取材年月：2020年6月）

沖縄初、親子で参加できる道場を営む合気道のプロ

夫婦ともに指導者。女性や親子も参加しやすい「合氣道教室浦添道場」

沖縄初の「親子クラス」が人気。「念入りな準備体操」は、これだけでも価値があるとの声も

合気道の要である「転換」という教え。体の使い方に加え、思考力の鍛錬にも応用可能

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