不登校支援で教育と地方に新しいスタンダードをつくるプロ岩田あずさ

不登校支援で教育と地方に新しいスタンダードをつくるプロ

岩田あずさ

完全マンツーマン×家庭伴走で、子どもの自立と可能性を育む「PreNeé」

　少子化や価値観の多様化が進む中、全国で不登校の子どもたちが増加しています。文部科学省の「令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」によると、不登校の小中学生は過去最多を更新し、30万人を超えました。

　「学びの機会を失った子どもたちが自信や将来の希望を取り戻す支援は差し迫った課題となっています。私たちが目指すのは、従来の再登校や居場所提供にとどまらない再出発の支援です」

　そう語るのは、「タラレバ」の代表・岩田あずささん。長崎市を拠点に地方企業や介護・福祉業界の採用支援を行う同社では、2025年11月より新たに教育支援事業「PreNeé（プレニー）」を立ち上げました。不登校の中学生とその保護者を対象に、「学習」「生活」「モチベーションケア」「家庭支援」を一体化した包括的サポートを提供するオンライン型の教育サービスです。

　これまでの人材育成・採用支援で培った知見を生かし、教育とキャリアの垣根を越えた支援モデルを構築。完全マンツーマンのオンライン指導を中心に、日々のデイリー報告、月次の成果レポート、保護者面談を通して家庭と連携しながら成長を可視化します。入会金なし・追加費用なしのオールインクルーシブ設計も特徴です。

　「学び直しを『やり直し』ではなく『自分の可能性を見つける時間』として位置づけ、子どもが自分らしく未来を描ける社会を目指しています」と岩田さん。タラレバの教育支援事業は、長崎から全国へと広がる共育の新しい形を示しています。

人手不足が深刻な地方・福祉現場に、柔軟な採用支援で新風を吹き込む

　地方や介護業界では人口減少や若手人材の都市部流出により、年々人手不足が深刻化。現場の慢性的な人手不足により、採用業務にまで手が回らないなど課題が多く、結果として採用コストの増大やミスマッチによる早期離職を招くケースが後を絶ちません。

　こうした悪循環から脱却するために、同社の採用アウトソーシング事業では、コンサルティングの枠に留まらず、SNS採用マーケティングや現場のリソースを確保するための採用実務代行まで、幅広く支援。コンセプトは「-必要なときに、必要なだけ-マチの人事部タラレバ」。必要に応じて柔軟にを活用してほしいと呼びかけます。

　「自社の課題が分からない」という悩みにも応え、第三者の視点で企業の理念や魅力を客観的に分析。「どんな人に来てほしいか」を明確にし、ターゲット像に基づく求人を行います。

　「大切なのは、『この職場で働きたい』と思ってもらえる魅力をどう伝えるか。理念や世界観を、デザイン・コピーライティング・写真といったクリエイティブの力で形にし、音楽やキャプションの一つ一つにまで思いを込めて発信します」

　SNS運用代行も行い、投稿の反応をインサイト分析。保存数やクリック率を可視化して戦略に反映します。面接官向け研修にも対応し、ミスマッチが起こりにくい質問の仕方や見るべきポイントなど実践的なノウハウも伝授。ある社会福祉法人では、SNSの運用サポートを始めて1カ月で、2名の採用に成功。施設長からは「変化を感じる」との声も届きました。

　「企業の理念に共感する意欲の高い人材が入れば、職場の雰囲気も自然と良い方向へ変わっていくのではないでしょうか」

誰もが自分の“タラレバ”をかなえられる社会を、長崎からつくる

　岩田さんはニュージーランドの大学を卒業後、学習塾の教室長として、教室運営をはじめ人材マネジメントや海外新規事業の立上げとして、台湾現地の日本語学校運営に携わりました。
　「教育や福祉、人材業界など他業種での経験・実績があるからこそ、私たちの事業展開にもそれが生きていると感じています」

　共同経営者の渡邊美香さんは、学習塾時代の元同僚で、もともとは17年に渡り、通信制サポート校や公立中学校の英語教員としての経験を積んできた、いわば教育のエキスパート。将来的には、地元企業や教育機関と連携しながら、子どもたちの中から起業家を生む「地方創生×起業型プロジェクト」を発足したいと考えています。そして、一人でも多くの子どもたちが自身の可能性を広げられる取り組みを長崎から発信していくことを目指しています。

　性別・国籍・年齢・障がい・LGBTQ・住む場所など、あらゆるボーダーを超え、誰もがありのままの個性（=強み）を生かして、それぞれの“タラレバ”をかなえる社会を実現するために起業を決意した岩田さん。
　「私自身がLGBTQ（性的マイノリティ）当事者として生き辛さを抱えていた過去があるからこそ、常識や枠にとらわれず、一人一人が自分の強みを発揮できる社会をつくりたい。事業はそのための手段です」

　採用を通じて企業の魅力を引き出し、教育を通じて未来を育てる。岩田さんは、地方から新しい人材の循環と社会変革を生み出そうとしています。

（取材年月：2025年9月）

教育支援と人材支援を通して描く、誰もが自分らしく生きられる社会

完全マンツーマン×家庭伴走で、子どもの自立と可能性を育む「PreNeé」

人手不足が深刻な地方・福祉現場に、柔軟な採用支援で新風を吹き込む

誰もが自分の“タラレバ”をかなえられる社会を、長崎からつくる

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