PROFESSIONAL
STORIES

Mybestpro Interview

「軽トラからベンツまで」 引き受けた車は必ず直す

「軽トラからベンツまで」引き受けた車は必ず直す車整備のプロ

稲田和彦

「軽トラからベンツまで」引き受けた車は必ず直す車整備のプロ 稲田和彦さん
へこんだ車の様子を見る稲田さん

#chapter1

ディーラーの信頼を得続けてきた、確かな品質の仕上がり 

 「うちで引き受けた車なら、どんな車でも直します」株式会社大進車輌代表の稲田和彦さんはまっすぐな目でそう語ります。

 同社は車の修理から車検まで幅広く手掛ける、いわば車のお医者さん。なかでも得意とするのが、創業以来技術を培ってきた「鈑金塗装」です。キズやへこみが発生する前の状態に限りなく近づけるため、パーツの付け替えはもちろん、へこんだ部分を元の形に戻し、車体に合わせた色で塗装をします。この「色」が大きなポイント。

 「例えば、ひとくちに『赤』と言っても、メーカーや車種によって色味が全然違うんです。さらに車の保管状態によっても微妙に風合いは変わってくるので、同じ車種でも全く同じ色は使えません」車種によって指定色の塗料配合データはあるのですが、それはあくまでも目安。実際は指定データをもとにしたオリジナルのレシピで、一台一台に合った色を作り出しています。別の色を一滴、二滴落とすだけでも、印象は大きく変わるそう。車体に合った色にならない時には、さらに配合を変えてみたり、塗る回数を変えてみたり…納得のいく色になるまで試行錯誤します。

 複数のディーラーの認定工場でもあるため、常に最新の知識・技術を取り入れた確かな品質を追求している同社。「車の技術は常に進歩しています。アルミやプラスチックのボディが登場したり、これまでにない色が開発されたり…。従来、白と黒ばかりだった日本の車の色もかなりカラフルになってきていますよね。日々勉強です」

#chapter2

輸入車の修理・整備もおまかせ。2代目社長の技と心

 20歳の頃、手に職をつけたいと考えた稲田さんは、知人の紹介で右も左も分からない自動車整備の世界に飛び込みました。「壊れた車を直して、お客さんが喜んでくれる。なんて素晴らしい仕事なんだと思いました。長野では車は生活の足で、なくてはならないものですしね。ビビッときたんですよ」

 以来、様々な車の整備に携わり28年。平成21年、当時創業30年近かった会社を閉じようとする先代の社長に会社の存続を説得し、2代目社長に就任しました。「先代の頃から頼りにしてくれているお客さんもいましたし、ぜひ自分にやらせてくれ、と」

 修理や点検を依頼される車のうち約50%が輸入車だという同社では、特にベンツ、BMWなどのドイツ車をはじめ、ヨーロッパ車の整備を得意としています。過去にはお客様が『どうしても修理してほしい』と依頼してきた古い輸入車の取り替えパーツがなく、海外に問い合わせて取り寄せたこともあるそうです。「フェラーリのように台数が少なく手作り感のある車だと、一台一台違うので新品のパーツがはまらない、なんてこともあるんです。その場合はピッタリはまるように加工をする必要があるんですよ」

 県内には輸入車を整備してくれる店舗があまりないため、長野市内にとどまらず、市外からの依頼も多いそう。「お客さんの車が動かないときには、ここから木曽や軽井沢、白馬、松本などへ積載車で迎えに行くこともあります」

事務所の看板猫、チョコくんと稲田さん

#chapter3

「お気に入り」を大切にする人の思いに応えたい

 消費社会の波にのまれ、車に限らず様々な「新しいモノ」があふれかえっている現代。稲田さんはそんな時代の中で、大切にしている車、気に入っている車に長く乗りたいという人の手助けがしたいと語ります。「ある人にとっては、車は単なる消耗品ではないんです。直せるものであればなんとかして直してあげたい」

 こまめにメンテナンスをすることで、新車であれば軽自動車でも30年近く乗り続けることができるとのこと。「少しでも『あれ?おかしいな』と思うことがあれば頼っていただきたいです。以前、お客さんから『車の調子に違和感がある』との連絡があったので点検をしてみたところ、実はかなり重大なトラブルを引き起こしていたということもありました。今の車は、ぱっと見でトラブルの原因を探すことは難しいですからね」
新しい車、古い車、日本の車、海外の車―。引き受けた車はすべて直してお客様に返すという車整備のプロのアドバイスは、ひと際頼もしく聞こえました。

 事務所のソファに座る、稲田さんの膝の上でくつろぐ愛猫のチョコくん。昨年、店舗前の道路でケガをして弱っていたところを稲田さんに助けられ、今では同社の看板猫として事務所でお客様をお出迎えしています。名前の由来は?と訊ねると、「この子の毛の色は“黒”じゃないんです。よく見るとブラックチョコレート色(笑)」との返答が。「どうしてもカラーは気になってしまうんです。これはもう、職業病ですね」と、稲田さんはチョコくんを撫でながら、照れくさそうに話してくれました。

(取材年月:2018年5月)

リンクをコピーしました

Profile

専門家プロフィール

稲田和彦

「軽トラからベンツまで」引き受けた車は必ず直す車整備のプロ

稲田和彦プロ

整備士

株式会社大進車輌

国産車はもちろん他社では敬遠されがちな輸入車まで、幅広い車種の整備を得意とする鈑金塗装工場。複数のディーラーから認定を受ける高い技術と最新の知識を持ち、車の整備にあたる。

\ 詳しいプロフィールやコラムをチェック /

掲載専門家について

マイベストプロ信州に掲載されている専門家は、新聞社・放送局の広告審査基準に基づいた一定の基準を満たした方たちです。 審査基準は、業界における専門的な知識・技術を有していること、プロフェッショナルとして活動していること、適切な資格や許認可を取得していること、消費者に安心してご利用いただけるよう一定の信頼性・実績を有していること、 プロとしての倫理観・社会的責任を理解し、適切な行動ができることとし、人となり、仕事への考え方、取り組み方などをお聞きした上で、基準を満たした方のみを掲載しています。 インタビュー記事は、株式会社ファーストブランド・マイベストプロ事務局、または信濃毎日新聞が取材しています。[→審査基準

MYBESTPRO