服作りの楽しさを伝える洋裁のプロ
ヒカオ
Mybestpro Interview
服作りの楽しさを伝える洋裁のプロ
ヒカオ
#chapter1
「ご自身の感性を生かしてのびのびと服を仕立てる生徒さんと向き合う中で、ものづくりは、さまざまな背景を持つ人が互いに違いを認め合い、共に生きる“インクルーシブな社会”の実現に役立つのではと考えるようになりました。洋裁の楽しさを多くの方に知っていただけたらうれしいですね」
そう語るのは、長野市を拠点にする「アトリエヒカオ」代表のヒカオさん。洋裁家として対面とリモートでクラスを開講するほか、会員制SNS「ヒカオのオンラインサロン」を運営。作り方のコツを解説した「ヒカオのワンポイント動画」や、制作風景をライブで配信しています。
「サロンでは他にも、洋裁談義に花を咲かせ質問もしていただける『ぺちゃくちゃトーク』を開いたり、ワークショップを開催したり。洋裁を身近に感じてもらい、コミュニケーションを深めるコンテンツをご用意しています。全国にいる仲間とつながりたい方、お好きな時間にレッスン動画を見て勉強したい方におすすめです」
高等専修学校で服飾造形の講師も務めているヒカオさん。学校や教室で数多くの人と出会ったおかげで、長年身を置いてきたミリ単位の正確さが求められる服作りとは異なる、新たな洋裁の世界が広がったと話します。
「個性豊かに表現する学生さんや、多少ずれても曲がっても『いいんです。私が着るんだから』と勢いよく縫い進める生徒さんの姿を見て、服作りに対する自分の常識が反転したというか。服ってもっと気軽に作っていいものだし、その楽しさを伝えたいと思うようになりました」
#chapter2
手芸好きの母の影響で、小学生の頃からものづくりに親しんできたヒカオさん。母の後押しもあり、デザイナーを目指して短大の服装科に進学。さらに知識や技術を磨きたいと、巣立った卒業生が国内外で活躍するファッション専門学校に編入しました。
「毎日が刺激的で、寝る間も惜しんで服作りに情熱を注ぎました。海外の服飾を学ぶため、在学中に1年間フランスに留学し、帰国後は専攻科で素材メーカーさまと連携して服を作るなど、実り多き時間を過ごしました」
専門学校を卒業後は、著名なファッションデザイナーの事務所に就職。その後独立し、衣装の制作、アパレル会社の経営など、洋裁を軸に多岐にわたる仕事に従事します。
「2005年に長野市に引っ越したタイミングで、『アトリエヒカオ』の活動を始めました。はじめの11年間は、デザインから縫製まで一貫するなど、オーダーメード作家としての案件が中心でした」
ピアノ奏者のドレスを作り、コンサートを聴きに行くこともあれば、格闘家のリングコスチュームを作り、試合を見に行くことも。「自分が頑張ったその先で、手掛けた衣装が輝いている様子を目の当たりにすると、心動かされるものがありました。みなさまのハレの日に私の作った服を選んでもらえたことは、本当にありがたく光栄でした」と振り返ります。
2017年からは講師業にも力を入れ、親子レクリエーションやフリースクールで講座を開いたり、テレビ番組に出演したり、多方面で活動の場を広げています。
#chapter3
「教室の生徒さんが先日、『ああ、今日はたくさん手を動かした。あっという間の時間だった』とおっしゃっていて。何かに夢中になると心が満たされるのだと感じました。慌ただしい日々を過ごし、ストレスなどを抱えていても、その時間だけは何もかも忘れて目の前のことに没頭すると充実感や達成感が生まれるのだと思います」
一生懸命作った服が出来上がった時に見せるうれしそうな顔が、ヒカオさんにとっても大きな喜びになっているとのこと。
また「自分で作った服は、みなさん確実に似合うんです。この素材で、この長さで、この幅でと、自分で決めるので、ご本人にとって“私好みのすてきな1着”になるんですよ」と笑顔を見せます。
理想を実現するため余計な口出しはせず、一人一人の「こういうものが作りたい」という思いをサポートすることを心掛けているそうです。
「似合う服を着たら気持ちが上がりますよね。自分で作った服でそんな喜びを感じられるのが服作りの魅力です」
自らを「洋裁マニア」と称し、30年以上服飾に携わってきたヒカオさん。「服作りは料理と似ている」と言います。
「各家庭の味があり、自己流にアレンジするように、毎日着る服も自分で作ることが当たり前になったらいいなと考えています。トレンドを取り入れることも、オリジナリティーを出すこともできますから、オンラインサロンや講演、セミナーなどを通じて、自分が着たい服を自由に作る楽しさを広く発信していきます」
(取材年月:2024年5月)
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Profile
服作りの楽しさを伝える洋裁のプロ
ヒカオプロ
洋裁家
アトリエヒカオ
著名ファッションデザイナーのもとでデザイナーとしてキャリアをスタートし、その後も洋裁を軸に幅広い仕事に従事。現在は洋裁講師として、培った技術力と経験知を生徒に惜しみなく伝え、洋裁の楽しさを広めている。
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