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温かい食事を提供するキッチンカーを全国に普及させ、災害に強い国に

利他の心で災害に強い国を目指すキッチンカー製作のプロ

尭部直人

尭部直人 ぎょうぶなおと
尭部直人 ぎょうぶなおと

#chapter1

木材を用いたログハウステイストのキッチンカーをオーダーメード

 「いろんな場所に出掛け、地域の人たちと触れ合える移動販売を始めませんか?」と呼び掛けるのは、「GYOUBU」の代表・尭部直人さん。「キッチンカー製作所TIPPER」を立ち上げ、長野市を拠点に全国から寄せられるオファーに応えています。

 「冷蔵庫や調理器といった厨房機器、エアコン、アレンジ代や車両代を合わせてローンを組むことができ、月々3万円からのお支払いが目安です。頭金も必要ありませんし、初期費用を抑えることができるので、無理なく始めることができます」

 コンパクトで小回りのきく軽バン、立って作業できる軽トラ、ゆったり広めの1t、走る飲食店と言えるほど作業スペースを確保できる1.5tタイプを用意。新車・中古車ともに扱っています。

 「内装は木材を用いたログハウステイストで、『おしゃれでかわいい』と好評です。外装はブルーやオレンジ、ピンクでポップにしたり、黒や白でスタイリッシュにしたり、お好みのカラーを施します」

 尭部さんは自社工場で車両整備、組み立て、塗装までワンストップで手掛けることで価格を抑え、オリジナリティーあふれる1台をオーダーメードしています。

 「来店するお客さまの目線を大事にしていて、遠目でも他店と差別化できるようなデザインにしています。のぼりやパラソルを立てることもできますよ」

 カフェやスイーツ系、ソウルフード、ラーメン店など幅広い案件を請け負い、ピザ窯を備えたこともあります。

 「ご依頼いただくのは30〜40代の女性が多いですね。週末だけ出店するなど、サイドビジネスにもおすすめです」

#chapter2

「利他の心」を企業理念に、保健所ごとに異なる営業許可の取得もサポート

 尭部さんは工業高校を卒業後、航空自衛隊に3年間の任期制で入隊。退職後、社会課題を解決するために自分にできることを模索し、キッチンカーにたどりついたと言います。

 「災害時は被災地に行って、温かいご飯を提供できることに意義を見いだしました。ただ業者を調べたら、500万円から1000万円と高額でした。もっと手頃な価格になれば日本中にキッチンカーが増えて、災害に強い国になるんじゃないかと考えました」

 高校時代に学んだ土木や建築の知識をもとに自分で作ることを決意。屋号は「チップを置く人」という意味の「TIPPER」から付けたそうです。

 「頑張ってサービスしてくれる人にチップを贈るように、『キッチンカーを始める人を応援したい』との願いを込めています。自衛官時代に教わった、自分より他人を優先する『利他の心』を企業理念に掲げ、開業をお手伝いしたいと思っています」

 オーナーに寄り添う尭部さんは、納車後すぐに事業をスタートできる段階までサポートしています。

 「保健所で営業許可を取得するのは手間がかかります。自治体によっても異なるので、僕が問い合わせをして車両の仕様を伝えたりして、申請が通るところまで責任を持ちます」

 準備で忙しいオーナーの負担を和らげるため、メールの打ち合わせのみで納車まで完結できるケースもあるとか。

 「ご予算やどんな商品を販売するのかを伺い、内外装をご提案します。車の正面フェイスがレトロな雰囲気のフレンチバスタイプも承ります」

#chapter3

避難所などに赴く「トイレカー」と「ベビーケアルームカー」も製作

 国内各地から引き合いがあり、創業から3年ほどで約30の都道府県に納車してきた尭部さん。47都道府県すべてを制覇することを指標にしています。

 「全国に車両を届けて、災害が起きた際は速やかに救援に行ける状態にしたいんです。稼働数を増やすためにも、キッチンカーに挑戦しやすい環境をつくることも目標です」

 裾野を広げる一環として、1泊2日の勉強会のような催しを構想。興味はあるものの飲食業の経験がないという人に向けて、メニューのレシピや作り方などをパッケージ化したプランも検討しています。

 「例えば、クレープ屋さんやコーヒースタントなどに取り組んでいる方もいらっしゃいます。本業以外に副業で始める選択肢もあり、収入が得られるのはもとより、アルバイトを雇えば雇用が生まれ、経済も好転するのではないかと期待しています。出店場所を開拓するため、他社と協力しながら市場作りにも力を入れたいと思います」

 また、災害対策として、行政へのアプローチも視野に入れています。実際に行政と道の駅が共同し、交付金を利用してキッチンカーを導入した事例もあります。

 「避難所に赴く『トイレカー』と、小さいお子さんがいる方も安心して利用できるようオムツ替え台を装備した『ベビーケアルームカー』の製作も進めています。いずれも、イベント会場でも活用してもらえればと考えています。今後もカスタマイズを通じて、皆さんに喜ばれ、お役に立てる車を展開していきたいですね」

(取材年月:2025年1月)

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尭部直人

利他の心で災害に強い国を目指すキッチンカー製作のプロ

尭部直人プロ

キッチンカー製作専門業者

株式会社GYOUBU

自社工場で木材確保から組み立て、車両整備までワンストップでキッチンカーを製作することで、低価格を実現。ウッディなデザインで他社との差別化を図り、顧客の予算に合わせて1台ずつオーダーメードで仕上げる。

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