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小規模事業者の海外展開を成功に導き、長野と世界をつなぐ

小規模事業者や個人事業主の海外ビジネスを支えるプロ

畠山菊花

畠山菊花 はたけやまきくか

#chapter1

海外展開の成否は準備で決まる。実務に落とし込む伴走支援

 「海外ビジネスの成功は、準備で8割決まります。海外との取引を始める土台づくりから始めましょう」。そう語るのは、「エーワン」代表の畠山菊花さん。アメリカや香港での業務経験をはじめ、20年以上にわたる英語での渉外歴をもとに、長野県内の中小企業や個人事業主の海外展開をサポートします。重視しているのは、商談や展示会前の「準備段階」。事業内容や強みを整理し、実務に落とし込むまでを、海外営業担当の一員のような立場で伴走支援しています。

 得意とする分野は、長年携わってきた製造業をはじめ、農業や食品などのものづくり業界。海外バイヤーが集まる商談会で通訳を務める機会も多く、出展企業の会社説明や商品紹介が十分に伝わっていないと感じる場面が少なくないといいます。

 「言語の問題というより、海外の取引相手に向けた準備が重要です。商品への思いや工夫など、自社ならではの強みを言語化し、文化や商習慣の違いを踏まえて整理した上で、商談で伝えられる形に落とし込みます」

 こうした視点は、製造業での海外営業の経験で培われました。海外市場が日本製品に求める品質や安全性など、他国との差別化ポイントに精通し、これまで住宅機器商社や薪火ストーブメーカーなど、幅広い業種で支援実績があります。

 例えば、スリランカ産紅茶の輸入販売を始めた事業者の新規事業では、3年にわたり継続して支援しています。ビデオ会議での契約条件の代理交渉から通関手続き、不具合発生時の対応まで一貫して担当。「海外の勝手が分からない中、壁打ち相手となり難しい交渉もまとめてくれた」との声が寄せられています。

#chapter2

海外との取引を自ら実践。経験から生まれた新規事業

 畠山さんの大きな特徴は、独立前の経験にとどまらず、現在も自ら海外ビジネスを実践している点。その一つが、スペイン発のパエリアスープ専門メーカー「El Paeller(エル・パエラー)」の輸入販売です。事業のきっかけは、食品展示会で通訳を務めた際、創業者から「伝統の製法を次の世代に受け継ぎたい」という思いを聞き、強く心を動かされたことでした。

 世界情勢の影響で海外販路の開拓が難しい状況を受け、日本市場向けに味つけを調整し、容量を2人用にサイズダウンするなどのローカライズを提案。薪火調理との相性に着目し、キャンプ飯としての可能性も打ち出しました。2025年夏からは、オンラインショップに加え、アウトドアショップやキャンプ場へと販路を拡大。商品説明や容量設計、販売チャネルまで一貫して関わることで、海外ビジネスの実務を現場で積み重ねています。

 こうした取り組みを通じて、外国人向けの情報発信や受け入れ対応には大きな負担が伴うことを実感しました。そこで生まれたのが、それらを支援するサービス「Tokoin」です。2026年3月の正式リリースを予定し、画像とキーワードを入力するだけで英文コンテンツを自動生成し、Instagramへの投稿までをワンストップで行える英語発信支援アプリを軸に、接客英語や受け入れ体制づくり、外国人モニターの誘致まで幅広くサポートします。

 「現在は、長野県内の温泉旅館など観光業を中心にβ版を導入しており、今後は製造業の商品紹介などへの活用も提案していく考えです」

#chapter3

「英語が好き」を原点に、グローバルな環境で生産管理や海外営業を経験

 中学生の頃から英語が好きだったという畠山さん。アメリカの大学に進んだ後、ニューヨークにある人材紹介会社に就職し、7年半滞在しました。帰国後、地元の長野に戻り、写真用品の外資系大手メーカーで、生産管理や調達業務に従事します。

 「アメリカや中国、シンガポールなど、多国籍なメンバーと働く環境でした。父が工場を営んでいたこともあり製造業は身近でしたが、製品づくりの上流から下流まで学べたのは貴重な経験でした」

 その後、電磁石メーカーでセールスエンジニアとして海外営業を担当。海外顧客と現場職人の双方をつなぐ役割を担い、大口顧客との信頼関係を築きました。その結果、海外販売比率を3年で30%増加させ、女性初の駐在員として香港営業所に1年半赴任しています。こうした経験を経て、仕事と家庭の両立を見据え、海外営業支援での起業を決意しました。

 「特に小規模事業者では、海外事業に対応できる人材を確保することが難しいのが現状です。私自身も、英語が話せるという理由で多くの業務を任され、苦労した経験があります。だからこそ、属人化しない業務の仕組みづくりを支援したいと考えました」

 海外事業の成功には、慎重な準備が欠かせないと強調します。
 「とりあえず展示会や商談会に出展するのではなく、市場分析や、契約・物流面の条件設定など、実務に落とし込んで計画しておくことが、スピーディーな成果につながります。完璧を求めず、無理のないところから世界とつながる環境づくりを一緒に始めましょう」

(取材年月:2026年1月)

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畠山菊花

小規模事業者や個人事業主の海外ビジネスを支えるプロ

畠山菊花プロ

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エーワン

小規模事業者や個人事業主の海外ビジネスを、スタート前の準備段階から実務まで伴走して支援。社内の海外営業担当の一員のような立場で、商談準備や交渉、貿易・契約実務まで実践的に支えます。

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