瓦・屋根工事全般のプロ
植木徹郎
Mybestpro Interview
瓦・屋根工事全般のプロ
植木徹郎
#chapter1
「瓦って日本では1400年前からあるんです。そのころ作られたものは、奈良の元興寺というお寺の屋根に今も現役で使われています。瓦というのはそれくらい丈夫なんですよ」。瓦の良さについて熱く語るのは「株式会社 植木」代表取締役の植木徹郎さん。明治5年創業の同社は、仙台市内に店舗を構える数少ない瓦工事の専門会社です。
「今、瓦以外にも新しい屋根材は色々出てきていますが、耐久性で実際に長い実績があるのは瓦だけです。また瓦葺きの家は、瓦と屋根面の間の空気層のおかげで夏涼しく冬暖かいという利点もあります」。さらには、見た目の美しさも瓦屋根の大きな特長。近年、和風建築が減少していることから、和風の瓦を用いる屋根工事は減りつつあるものの、代わりに洋風瓦や現代風瓦の屋根が増えている、と植木さん。瓦の人気には根強いものがあるのです。
「耐震性について心配される方が多いのですが、宮城県では1978年の宮城県沖地震を受け、全国に先駆けて独自に耐震施工の開発を進めており、当社でも東日本大震災の10年以上前から最新の耐震工法で施工を行っていました」。その工法で施工していた屋根は、東日本大震災ではほとんどダメージが無かったそう。瓦屋根=震災に弱いというイメージは、どうやら過去のもののようです。
#chapter2
耐久性の面において他の屋根材と一線を画す瓦。その瓦で葺いた屋根は10年おきの点検、30年おきのメンテナンスを行うことで、50年、60年を超えても美しい状態で残ります。
「自社の仕事が残る、見えるのはうれしいことだと感じますし、それがこの仕事の魅力ですね。車で道を走りながらでも『あ、あれはうちがやった屋根だ』と分かります。以前、松島の円通院さんの屋根をやらせていただいたんです。紅葉の時季などに友人がSNSで円通院の写真を上げているのを見て『それうちの屋根だよ』なんて言うこともあります(笑)」。
そのようにして長年残っていく仕事だからこそ手抜きはできない、と話す植木さん。そこには、歴史の長い会社ならではの責任と誇りが感じられます。たとえば、屋根を葺く上でいちばん重要なのは雨の流れを考えること。その中でも〝谷〟と言われる合わせ目は、職人の技術の差が出るところだと植木さんは言います。「屋根に降る雨をしっかり流すというのは、屋根のもっとも大事な役目のひとつです。家が建っている土地の形によっても屋根の形は変わりますから、現場ごとに大工さんたちとも相談しながら臨機応変に修正して、最終的に雨どいへ雨がスムーズに落ちるようにおさめる。そういった基本の技術や知識を常に磨きながら、昔ながらの屋根作りを大事にしていきたいと思っています」。
#chapter3
(株)植木は今年(2017年)で創業145年を迎えます。現在、瓦屋根工事技師(3人)、一級瓦葺き技能士(2人)に、瓦屋根診断士(1人)と、腕の確かな技術者も在籍し、長年にわたって実績と信頼を積み上げてきました。そんな同社が大切にしていることの一つに、施工主の方や、工事をする家の近隣へのあいさつをしっかりする、ということがあります。
「家同士が密接している街中での仕事が多いので、施主さんにもお隣さんにもご迷惑をおかけしないように、気持ち良く仕事をさせていただけるように、若い社員たちへも指導を心がけています」。老舗企業らしいそんな細やかな気配りもまた、信頼へつながっているのだと感じました。
「ひと口に145年といっても、ここまでやって来られたのは地元の皆さまにお仕事をいただいたから。今後も地域に根差した仕事をしていきたいし、地域のために私自身も会社も貢献していきたい」。そう話す植木さんは、現在2人のお子さんが通う小学校のPTA会長も務めています。「地元でずっと続いてきた会社の人間として、町内会のことや学校のことなど地域の活動で声をかけられたらできるだけ引き受けようと思っています」と植木さん。
「仙台という地が良くならないと企業も立ち行かないし、企業が潤っていかないと仙台の町も活気づかない。人と会社と地域、それぞれがうまく栄えていくよう、地元の企業として努めていきたいですね」と表情を引き締めて話してくれました。
(取材年月 2017年4月)
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Profile
瓦・屋根工事全般のプロ
植木徹郎プロ
職人
株式会社 植木
創業以来、地元に根差してきた瓦屋根工事の会社です。地域の皆様の信頼にこたえ、どんな仕事も手を抜くことなく取組み、町の活性化にも積極的に貢献できる企業を目指しています。
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