ドラムを入り口に音楽の楽しさを伝えるパーカッショニスト村上海人

ドラムを入り口に音楽の楽しさを伝えるパーカッショニスト

村上海人

「誰もが楽しめる」をコンセプトに、希望のジャンルや好きな曲をレッスン

　「ドラムは楽譜が読めなくても、たたくだけで良い音が出せる楽器。全身を使ってビートを打ち鳴らし、リズムを刻む爽快感を多くの人に体感してほしいですね」

　そう話すのは、「横浜市磯子区民文化センター杉田劇場」を拠点にドラム教室「SCRミュージック」を主宰する、パーカッショニストの村上海人さん。

　小中学生や初心者におすすめの週1、自分の予定に合わせて調整できる月1、音大を受験したい人やドラマーとして仕事がしたい人に向けた専門コースなどを展開。自宅から受講できるようにオンラインや、家族や友人らとのグループレッスンにも対応し、小学生から80代まで幅広い層を迎え入れています。

　「コンセプトは『誰もが楽しめる』こと。ピアノやギターのように練習しないと音が出せない楽器と違い、ドラムは月1回のレッスンだけでも上達を実感できます。もちろん練習は大事ですが、生徒さんに自主練を強制することはありません。皆さんのペースでステップアップを目指します」

　その人らしく、心豊かな音楽ライフをかなえるために、J-POPや洋楽、ロック、ジャズ、フュージョンなど、希望のジャンル、楽曲に応じているのも特長。「一人一人のレベルに合わせてオリジナルの楽譜を準備しますので、リクエストをお聞かせください」と呼び掛けます。

　「初回はスティックの握り方、腕の動かし方から始めて、60分で、音楽シーンで基本となる8ビートをたたけるようになるまで進みます。テクニックを細やかに手ほどきしますので、お気に入りの一曲や大好きなアーティストの曲を一緒に演奏しましょう」

恩師から学んだ姿勢で親身に寄り添い、生徒それぞれの個性を引き出す

　村上さんは小学校の鼓笛隊で太鼓を担当したのをきっかけに、中学、高校では吹奏楽部に入部。1000種類を超えるパーカッション(打楽器)の奥深さに魅了され、音楽大学へ進学します。

　「大学で出会ったのが、人生の師となる山口多嘉子先生です。技術を磨くだけではなく、内面を見つめ直すような導き方が印象的でした」

　悩みを抱えていたある日のこと、山口先生は1時間ただひたすら話を聞いてくれたそうです。先生の存在がなければ、今の自分はなかったと振り返ります。

　「在学中から、先輩や高校時代にお世話になった先生からレッスンを頼まれるようになりました。指導者の道は考えていませんでしたが、昔から『教えるのがうまいね』と言われることが多かったんです。じゃあ自分の得意を伸ばそうと思い、2021年に教室を立ち上げました」

　教室名のSCRとは、自身がネット配信するラジオ番組「Sweet Cocktail Radio」から取ったもの。恩師から学んだように生徒に親身に寄り添い、さまざまな表情を見せるカクテルのごとく、それぞれの個性を引き出し、生かしています。

　「生徒さんがやりたい曲を分析し、楽譜を作って一緒にたたくというプロセスは、自分の演奏にも良い影響を与えています。新しい曲を通じて世界が広がるのは大きな喜びです。小学生から通っている生徒が中学生、高校生へと成長し、最初の頃は想像もつかなかったような難しい技に挑戦する姿を見たときは感慨深いものがありました」

「音の力」を感じてもらうため、ドラムサークルや体験レッスンも開催

　村上さんは教室運営に加え、外部講師として吹奏楽部やオーケストラで打楽器の出張指導を実施。地域のNPO法人では障害を持つ人にレッスンを行い、コンサートなどをサポート。音を奏でる素晴らしさを分かち合っています。

　「教室では年に1回、ホールで発表会を開催しています。形式は自由で、1人でプレーしたり、ギターなどを弾ける生徒さんとバンドを組んだり、ご家族で出演されたり、歌と合わせたり。小さなコミュニティーだからこそ生徒同士のつながりが強く、みんな仲がいいんですよ」

　自らも「うみんちゅバンド」を結成し、ライブ活動や作曲・編曲に励み、アルバムもリリース。著名なミュージシャンとの共演経験も多い村上さんは、生徒にも自由に音楽を楽しんでほしいと考えています。

　「新たに取り組みとして、杉田劇場と『ドラムサークル』を共催しています。太鼓を一人ひとつ持って、その場で即興演奏をするもので、自分が感じたままに音を鳴らします。参加者全員が演奏者になれるのが魅力で、気軽に音楽に親しむ場をもっと増やしていきたいですね」

　今はスマホなどで音楽が聴けますが、村上さんは生の音に触れる価値を伝えていきたいと言います。

　「イヤホンやスピーカーとは異なり、繊細で多様な音が共鳴し、心の奥に響き渡る感覚を大切にしてほしいんです。音楽は五感で感じるもの。体調が悪いときでも、楽器をたたくと元気を取り戻せることがあります。そんな『音の力』を、ぜひ体験レッスンで味わってください」

（取材年月：2025年5月）

一人一人の「やってみたい」を応援。自分のペースで楽しみながらドラムの上達を目指す

「誰もが楽しめる」をコンセプトに、希望のジャンルや好きな曲をレッスン

恩師から学んだ姿勢で親身に寄り添い、生徒それぞれの個性を引き出す

「音の力」を感じてもらうため、ドラムサークルや体験レッスンも開催

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