35歳からの新たなキャリア構築をサポートする専門家柳瀬浩之

35歳からの新たなキャリア構築をサポートする専門家

柳瀬浩之

適性を評価する「アセッサー」の経験を生かし、強みや特性を客観的に分析

　転職やキャリアチェンジは、人生の大きな岐路。年齢を重ねるほどに一歩踏み出すのにためらってしまうもの。「ビータップ」の代表であり、キャリアデザイナーの柳瀬浩之さんは、35歳からの新たなキャリア構築を支援するプログラムRYOMEIを提供しています。

　「『がんばっているのに評価されない』『身体的に限界を感じている』など、今の仕事に不満や不安があるけれど、自分が何に向いているのか分からない、本当にやりたいことが分からないという方が相談に来られます。ご自身の道のりを棚卸しして勝ちパターンや心が動いた出来事を洗い出し、転職や複業、副業、独立など、自分に合った働き方を見つけましょう」

　柳瀬さんはさまざまな企業で、管理職登用に際して適性を評価（アセスメント）する「アセッサー」として従事。個々が能力を発揮し、生きがいを感じるフィールドを導き出します。

　「今後のキャリアを考えるにあたって、自己理解を深めるのが常道とも言われます。当方でも自分の『好き』や『強み』を深掘りするワークを設けていますが、アセッサーの経験を生かして客観的に分析するので、『うまくいかなかった理由が分かった』という感想を多くいただきます」

　分析結果を伝えるレポートでは、その人を表現するキャッチコピーも提示。的確に特性を表し「自分のことがよく分かる」と好評だとか。

　「ご自身と第三者による分析を合わせて、向いている分野や成果を出しやすい仕事は何かを一緒に考えます。転職をご希望であれば、応募企業の絞り込みや職務経歴書の作成をフォローし、独立を望む際は案件獲得についてアドバイスします」

起業家を志し30歳で独立。強みを探り体験型社員研修、アセスメントに注力

　かつてプロ選手を夢見て野球に打ち込んでいた柳瀬さん。切磋琢磨したいと、首都大学野球連盟1部に所属する筑波大学に進学します。

　「周囲のレベルを見て自らの実力を悟り、次の目標を起業家に定めました。NPO法人に参画したり、ベンチャー企業でインターンをしたり、経営を学んだり、興味を持ったものには飛び込んでみるという学生時代を過ごしました」

　卒業後は、経営コンサルティング会社とスポーツマーケティング会社に勤務。2013年、30歳で独立しました。

　「在職中もビジネススクールに通うなど勉強を続けていたものの勤めが忙しく、このままでは次のステップに進めないと、思い切って退職したんです。学生時代から関心があった教育系を基軸にいろいろな仕事にチャレンジし、手ごたえをつかんだのが体験型社員研修の講師でした」

　野球を通してあまたの学びを得たことを背景に、体験を通して人が変わっていくことにやりがいを感じた柳瀬さん。研修をブラッシュアップすべく、コーチング、ファシリテーション、発達心理学、認知科学、教育理論などを学習。個や集団が主体的に思考し、行動するための知見を養いました。

　「小学生から大学生、社会人まで、幅広い年代に向き合う中で、自分は人材育成のプロとして何で勝負できるか考えた結果、アセスメントに注力しました。アセッサーとして自分の道を探る人たちに寄り添い、ご本人も気づいていない潜在的な資質・個性を引き出し、自分らしく輝くお手伝いがしたいと思っています」

企業と個人、双方にアプローチし、誰もがビジョンをかなえられるようサポート

　暗中模索の起業から、研修やアセスメントという強みを見いだした自身の道筋と重ね合わせRYOMEIを開発した柳瀬さん。重視しているのは、生涯年収や人生の幸福度を見据えた長期的なキャリアデザインです。

　「例えば目先の収入アップを目標にすると、それまでのキャリアの延長線上から離れることが難しくなります。多様な可能性を追求することで、その人ならではのキャリア戦略を提案したいと考えています」

　プログラムでは、10年後に自分のインタビュー記事が載るとしたらどのように掲載されたいかをイメージし、2ページにまとめるプロセスも用意。具体的に書き記すことで目指すべき未来の理想像が鮮明になると言います。

　「いずれは、支援プロセスのすべてを可視化することを検討しています。新しい仕事を見つけたという結果だけではなく、どう考えてこの結果に至ったのかをいつでも振り返ることができるからです。これから先も、自分でキャリアを設計できる力を身につけてもらうのが目的です」

　一人一人のビジョンをかなえるため、柳瀬さんが取り組みたいのは、企業が従業員のキャリア形成を支援する組織づくりです。大学教授や企業の人事、マネジメント職に就く人たちと共同で研究を進めているそうです。

　「もっと成長したいと思った時に、どんな環境、組織で働くかが重要なファクターとなるでしょう。企業と個人、双方にアプローチすることで、誰もが働く意味を感じられる世界を切り開けるようサポートしていきたいですね」

（取材年月：2025年6月）

目先の収入アップではなく生涯年収や幸福度を考えた、35歳からのキャリア支援

適性を評価する「アセッサー」の経験を生かし、強みや特性を客観的に分析

起業家を志し30歳で独立。強みを探り体験型社員研修、アセスメントに注力

企業と個人、双方にアプローチし、誰もがビジョンをかなえられるようサポート

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