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介護が必要な愛犬を老犬ホームで預かり、飼い主の心と体の負担を軽減

愛犬と飼い主双方の幸せを目指す老犬介護の専門家

堀内章

堀内章 ほりうちあきら
堀内章 ほりうちあきら

#chapter1

24時間体制で見守り、歩行や食事、排せつ、夜鳴きを細やかにケア

 「老犬ホームとして1200頭以上を受け入れてきた実績を生かし、大切な愛犬をお預かりします。飼い主さんが心身の疲れを癒やし、前向きな気持ちになっていただけるよう取り組んでいます」

 そう話すのは、神奈川県平塚市の「オレンジライフ湘南」の動物取扱責任者で老犬介護士の堀内章さん。気軽に活用してもらえるよう日中はホームで過ごし、夜は帰宅するデイケアや宿泊プランを展開。ここちよく過ごせるよう細やかにケアしています。

 「年齢を重ねたワンちゃんは筋肉量が減り、きちんと立てない、歩けないことが増えてきます。食事や水分をうまくとれない、排せつをコントールできないなど、目が離せない状態でも24時間体制で見守ります」

 堀内さんのもとでは深夜、早朝も施設内を巡回。預かり犬に異常がないか確認し、寝返りで床ずれを予防します。

 「日中は運動も取り入れ、ワンちゃんの健康維持と生きる意欲につなげています。状態に応じてハーネスや車いすで歩行を助け、できるだけ楽しく体を動かせるよう心掛けています」

 食事の姿勢がとれない場合は体を支え、スプーンで直接口に運び、うまく飲み込めなければ滑らかな流動食に加工することもあります。

 「腹筋が弱まって尿や便をうまく出せない、出すのに時間がかかる子はオムツを使ってフォローします。専任の獣医師が投薬や摘便、圧迫排尿を行うことも可能です」

 夜鳴きの究明にも注力し、犬の様子をつぶさに観察。認知機能の低下、できたことができなくなってくることへのストレスなど原因を探り、それぞれの子に合った対処法を検討し、改善、軽減に向けて試みます。

#chapter2

獣医師との連携や、短期・長期の預かりプランで愛犬と飼い主双方をサポート

 「最大の特徴は獣医師と連携し、医療を中心としたサポート体制を整えていることです。ワンちゃんのQOL(生活の質)向上を目指し、毎週の定期健診や日々の健康管理に力を入れています」

 堀内さんらは1泊、1週間単位の短期、1カ月単位の長期といった各種プランを用意。出張や家族の入院、行事などのニーズに応えています。

 「『老老介護』でお世話が難しくなった方には長期プランをお勧めしたり、できるだけ自宅でみたい方には短期プランをご提案したり。在宅介護の負担を減らすポイントをお伝えすることもあり、ワンちゃんと飼い主さんにとってより良い形を一緒に考えます」

 歩行や排せつが困難だった16歳の雌のシェルティーは、1週間の短期ステイを利用。車いすで歩行をアシストすると、生き生きと動き回るように。飼い主から「まだこんなに元気だったんですね」と喜ばれたそうです。

 「夜鳴きなどがあった15歳の雄の柴犬は寿命を迎えるまで預かりました。亡きお父さまが実家でかわいがっていたワンちゃんで、お母さまも高齢のため当方を利用されました」

 他の犬と触れ合う機会を設けたほか、歩行を補助し、夜鳴きに対応。柴犬は徐々に落ち着きを取り戻し、最後は穏やかな日々を過ごしたそうです。

 「一時帰宅もできますし面会用スペースもご用意していますので、ご家族はよく会いにいらして。『犬への思いやりと飼い主への優しさが施設選びの決め手になった』と言ってくださり、うれしかったですね」

堀内章 ほりうちあきら

#chapter3

老犬介護専門の講習を実施し、実践重視のカリキュラムで対処法を伝授

 山梨県内で動物好きの両親と姉の4人家族で育ち、犬や猫などのペットに親しんできた堀内さん。首都圏で企業の代表を務める姉から「老犬介護で悩んでいる人のためにペット部門を立ち上げたい」と協力を求められ、2015年のホーム開業時から事業を手伝っています。

 現在は預かりサービスのほかに、老犬介護を専門に指導する講習も実施。実習重視のカリキュラムで多様な症例への対応法を伝授しています。

 「老犬介護士の資格を取得でき、トリマーや動物看護師といったお仕事に役立ちます。一般の方も受講可能で、誤嚥を防ぐ給餌など『加齢に伴いどんな介助が必要か』といった知識を身に付けられますので、愛犬がシニア期を迎えてからあわてないよう、あらかじめ備えることができます」

 人間の介護同様、「家族がケアしてあげなければ」との思いから無理をし過ぎてしまうケースも。ホームの理念に「人も愛犬も最後まで幸せな毎日を」を掲げ、親身に寄り添います。

 「負荷がかかり、次に犬を飼うことをためらったり諦めたりしてしまうのは悲しいこと。動物と過ごすことで満たされるものがたくさんあります。介護サービスを上手に利用し、家族もワンちゃんも心に余裕を持って過ごしてほしいですね」

 獣医療やドッグフードの進歩、室内飼いが増えたことなどから犬の寿命は延び続けています。
 「いまや20歳超えも珍しくありません。飼育経験が豊富な飼い主さんでも初めての介護に直面すると戸惑うことが多いですから、私たちプロにお任せください」

(取材年月:2025年3月)

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堀内章

愛犬と飼い主双方の幸せを目指す老犬介護の専門家

堀内章プロ

老犬介護士

老犬ホーム オレンジライフ湘南

大切な愛犬を24時間体制で見守ります。歩行や食事、排せつをサポートするほか、夜鳴きにも対応。日帰りから1泊、1週間の短期預かり、1カ月単位の長期預かりまで豊富なプランをご提案いたします。

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