質・コスト・納期など理想の印刷物制作をサポートする専門家筒井幹雄

質・コスト・納期など理想の印刷物制作をサポートする専門家

筒井幹雄

全身全霊でコンサルティング

　「印刷物を作るのが初めてで段取りが分からない」「イメージ通りに仕上がるか不安」「費用を抑えたい」といった声に応えるのは、神奈川県川崎市の「マディライン」の代表・筒井幹雄さん。

　会社案内やカタログ、チラシ、ラベル、パッケージ、箔押しやエンボス加工を施す特殊印刷など、多種多様な仕様にも精通。用紙の選定・調達、スケジュール調整、デザイン・ライティングといった企画段階からサポートし、コストの見直しにも応じます。

　「ある制作会社からは、『低予算でリーフレットを発注したがクオリティーが低く、とても配布できない。何とかできないか』と要請がありました。コストも納期も余裕がない中でしたが、当方で原稿を印刷に適したデータに修正し、色校正で色味をチェックしてもらうことで、満足いただける成果物となりました」

　北海道に拠点を置く団体からは、高級感のある上製本を作りたいとの用命が。約500ページもあるため、本文に使う紙は薄くても丈夫で透けにくいものが要件の一つで、適した紙を複数見繕い、できあがりの厚みを確認するための束見本を3種類作って郵送しました。

　「遠方でしたが、電話やメールのやりとりで納品まで行いました。報連相が密で、細やかに希望をかなえてくれたと喜ばれ、次に制作する本もお願いしたいと言ってくださいました」

　多種多様な要望を的確に打ち返すのが自分の役割と語る筒井さん。ヒアリングを通じてクライアントが求める理想像をつかみ、製版会社などへ「技術的な橋渡し」をすることで完成度を高めています。

工程を効率化し、コストを下げながら質も確保するノウハウを習得

　筒井さんは1990年に製版会社に入社。当時は印刷情報をフィルムに焼き付けるのが主流でした。

　「製版フィルムは印刷の良しあしに直結し、写真再現などの品質を上げるにはどうすればいいか、徹底的にたたき込まれました。計4社に勤め、ディレクションや営業管理などにも従事し、技術面、企画面ともに学びました」

　中でも転機になったのは3社目の会社。自らの仕事観に大きな影響を及ぼしたと言います。

　「従来の私は長時間労働し、気合と根性で納品を間に合わせる働き方でしたし、周囲もそうでした。しかし、その会社では、印刷データを作るまでの仕組みを効率化し、コストを下げながら良いものを作る方法を確立していたのです」

　例えば通販カタログは、商品それぞれのスペックを記載しますが、発注元から修正が入るたびにデータの差し替えが必要になります。デザイナーが逐一対応していたため、校正作業の煩雑化など膨大な労力がかかり、印刷会社に入稿を待ってもらうことが頻発していました。

　転職先は、単純作業を大幅にカットできるシステムを構築したことでデザイナーが本来の業務に集中できるようになり、進行がスムーズになるとともにモチベーションアップも実現していました。

　「指定された期日にきちんと入稿されれば、業者さんも見通しが立てやすくなり、価格交渉に応じてくれる可能性が高くなるでしょう。ただ値下げや急ぎの作業を要求するだけでは解決しません。質を保ちながらコストや納期も適正化するノウハウを学んだことは、現職でも役立っています」

泥臭く、実直に、自分ができることに全力で取り組むのがモットー

　筒井さんは、印刷業界に三十余年にわたり携わった経験から、クライアントと印刷会社の間に立ち、工程をあますことなくフォロー。ビジネスマッチングサイトでは、印刷部門で優良企業として2期連続で表彰された実績もあります。受賞の大きな理由は、クライアントからの高評価だったとか。

　「他社との差別化といったことは眼中になく、自分ができることを常に全力でやることしか考えていません。お問い合わせをいただいたらすぐにご返信する、会える距離だったらすぐに伺い、直接話をすることを心掛けています。相手は紙なのだから、実物を見てもらったほうが早いでしょう」

　規模は小さくとも、臨機応変な態勢でがんばっている印刷会社とネットワークを持っていることが強み。さまざまなニーズに応えていきたいと意欲を見せます。

　「沖縄の離島にお住まいのおばあちゃんから、絵本を作りたいという依頼もありました。当方に連絡をいただくまで、各方面に掛け合ったもののうまく事が運ばずとのことでした。東京で編集関係の仕事をしているお孫さんに仲介役になっていただきました」

　どんな絵本を作りたいのか詳細に聞き取り、表紙に合う紙を求めて何度も業者のもとへ足を運んだ筒井さん。「muddy（泥臭く）line（まっすぐに）」という社名の通り、実直に取り組む姿勢をモットーにしています。

　「色やレイアウトはもとより、紙の質感からも世界観を描き、お客さまの思いを伝えるお手伝いをしたいですね」

（取材年月：2025年4月）

クライアントの思いを伝える印刷物をかなえるため、企画からサポートし理想を形に

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工程を効率化し、コストを下げながら質も確保するノウハウを習得

泥臭く、実直に、自分ができることに全力で取り組むのがモットー

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