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全国各地で育まれてきた風味豊かな味噌を、それぞれの好みに合わせて提案

全国の味噌をそろえ、合わせ味噌も提供する味噌ソムリエ

高橋敏之

高橋敏之 たかはしとしゆき
高橋敏之 たかはしとしゆき

#chapter1

40種類以上をそろえ100gから量り売り。独自の合わせ味噌も販売

 「大豆由来のタンパク質や食物繊維、乳酸菌などを含み、『医者いらず』と称されるお味噌(みそ)は、日本が世界に誇る発酵食品です。ぜひ多くの方にご賞味いただきたいですね」

 そう語るのは、神奈川県座間市の「まさきや」の代表で、みそソムリエの高橋敏之さん。店内には全国各地から直送される新鮮な味噌を40種類以上そろえ、作り手の味を届けています。

 「少量でいろいろ試したい」という人のために、量り売りは100gから。味噌を選ぶにあたり「まずは香りに触れてほしい」と提言します。

 「包装されたパックでは本来の香りが分かりません。お味噌汁のにおいが家中に満ちると『おふくろの味』を思い出すように、嗅覚と味覚は結びつきが強く、懐かしい記憶もよみがえるので、試食もして五感で感じてください」

 合わせ味噌も手掛ける高橋さん。複数の品をブレンドして、豊かな風味を生み出しています。

 「米、麦、豆など、こうじや産地が異なる品を用い、混ぜる量も考慮して奥行きのある味わいをかなえます。酵母の働きを促すために1週間ほど寝かせ、なじませることでコクやうま味を引き出します」

 近年は塩分を気にする人も多く、減塩志向の人に向けても満足感のある品をアレンジ。料理店や旅館、食堂運営会社や学校にも提案しています。

 「香りと味を比べると自分の好みが見えてきます。家族で好みが違うなら、だしで具材を煮た後に小鍋に移し、それぞれの味噌を溶くのも一案です。業務用の場合は、どんな料理に使うのか、どう仕上げたいかを聞いた上で味を組み立てています。必要量も含めてご相談ください」

#chapter2

多彩なハーモニーを楽しめる味噌の可能性を追求し、味噌餃子も展開

 高橋さんの実家は、祖父の代から味噌やしょう油を販売する商店を営み、幼い頃から味噌の知識や、保存・管理方法といった扱い方を教わってきました。身近だった味噌のさらなる可能性に気づいたのは、自動車メーカーに勤務していたとき。仕事でスペインに滞在したことがきっかけでした。

 「現地の人は、何種類ものチーズを組み合わせて多彩なハーモニーを楽しんでいたんです。味噌も発酵食品ですから、同じことができるはずだと思いました」

 退職後は1年間料理学校に通学。2001年、日本料理を修業した息子とともに、味噌と料理を提供する店をオープンしました。

 「開業当初は、企業の食堂に味噌を卸していました。バランスが取れたメニューを作成する栄養士さんの要請に応じて、塩分を細かく調整する必要があったんです。例えば塩分が12%の品と10%の品を同じ量で合わせれば、11%になる。調合次第で、香味だけでなく塩分もコントロールする経験が、合わせ味噌の技術につながりました」

 働く人たちの健やかな体づくりをサポートするべく尽力しますが、コロナ禍でリモートワークが普及すると、社員食堂の需要が減少。新たなサービスとして、味噌餃子(ぎょうざ)の開発に乗り出しました。

 「ニンニク入り、タマネギとミンチで作る肉団子のような商品があり、あんによって味噌も使い分けています。現在はふるさと納税の返礼品として好評を得ているほか、テレビ取材を受けるなど各方面から反響をいただいております」

#chapter3

体験教室や食育活動で、地域の味噌文化と日本の食文化を次世代へ継承

 「食生活が多様化し、最近は味噌を知らない子どもが増えているようです。学校給食でも味噌汁は週に1回程度、米食自体も減っていると聞きます。味噌とは何なのか、どんな効果があるのかなどを教える食育の機会を頂戴したこともあり、味噌文化の継承にも力を入れています。1000年以上続いた歴史を絶やすことなく、紡いでいくことが目標です」

 座間市商工会が主催する「まちゼミ」では、小学生の親子を対象に体験教室を開催。高橋さんは、健康の維持・増進に役立つ味噌の機能性を解説したり、誰でもおいしく味噌汁を作れるコツを紹介したりしました。

 「味噌は万能調味料ですから、どんな献立にも使えます。例えば、甘みがあり、まろやかな京都の白味噌や、塩気が強く、しょっぱい信州味噌など、甘口から辛口まであります。どの味噌を使うかでも、調理の幅が広がるんです。バリエーションに富む面白さや、一つ一つが持つ個性の奥深さを皆さんに伝えたいですね」

 味噌づくりは日々の食卓を支え、地域で育まれてきた慣習でもあると考える高橋さん。連綿と受け継がれてきた伝統を次世代につなぐことは、「自らの使命」と話します。

 「日本食の原点は、ご飯、汁物、漬物から成る一汁一菜。素朴だけど、素材をあますことなく生かした食事です。地域ごとに仕込まれた味噌は、その土地の気候風土を反映し、先人の知恵が詰まった文化そのもの。香りを確かめ、味見をして、一人一人に合う品を一緒に見つけるお手伝いができれば幸いです」

(取材年月:2026年2月)

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高橋敏之

全国の味噌をそろえ、合わせ味噌も提供する味噌ソムリエ

高橋敏之プロ

味噌販売

まさきや

北海道から九州まで、全国40種類以上の味噌を100グラムから量り売り。選ぶ際は香りと味を試すことができます。調合許可を持つ味噌ソムリエによる特製の合わせ味噌も販売。好みや料理に合った味噌を提案します。

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