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高齢者の心身の衰えに配慮した整理収納方法を用いて安心で安全な住環境をサポート

高齢者に安心・安全な暮らしを届ける住環境サポーター

弘瀨美加

弘瀬様プロフィール写真
弘瀬様講座風景写真

#chapter1

モノを減らすだけでなく、高齢者が安全で快適に暮らしていくための整理収納を提案

 「整理収納というと、必要なモノとそうでないモノを分けて家の中をすっきりさせることをイメージしますが、私が行っているサービスは自立支援や介護予防につながることを主としています」
 こう語るのは、高齢者の心身の衰えに対応した整理収納方法で安心・安全な住環境をサポートしているcomfy living代表の弘瀨美加さんです。

 日本人の平均寿命と日常生活が制限されない健康寿命との差は、約10年とされていて、その間は何かしら介護を必要とする人が増える期間と言われています。弘瀨さんは、その期間をできるだけ短くして、高齢者が自立した生活を少しでも長く続けられるよう「モノを減らすだけではなく、高齢者が安全で快適に暮らしていくための実践的な整理収納」を提案しているそうです。
 例えると、「将来の衰えの進行を予測してモノを使い易い位置に配置すること」や、「ケースによっては、全部仕舞ってしまうのではなく、どこに何があるかを見つけやすくするために敢えてクローズでなくオープン収納にすること」だと、弘瀨さんは言います。

 「家の中の何が将来的に高齢者の生活を脅かす存在となるか、あるいは何が高齢者を転倒させ寝たきり状態にさせてしまう危険な存在となるか。それは長年同じ家に住み続けていると、当たり前になっていて気付き難いですし、そもそも体の衰えを想定してモノを配置している人は少ないでしょう」
 弘瀨さんは、自身の介護経験と資格の勉強や積み重ねた知識から得た視点で、高齢者の身体の変化や心理面にも配慮した整理収納をアドバイスしています。

 弘瀨さんのセミナーには高齢者や高齢の親を持つ子世代だけではなく、最近は建築関係者やホームヘルパーなどの介護従事者も増えていると言います。
「特に福祉関係の方には役立つ内容なので、ぜひ来ていただきたいです」

#chapter2

自身の在宅介護経験と、起業に至った想い

 弘瀨さんが現在のサービスを始めた理由には、ご自身の在宅介護の経験が影響していると言います。
「私が義理の祖父の介護を経験したのは、まだわが子が小さかった20代後半。約5年間家からほぼ出られず、毎日が辛かった」と話す弘瀨さんは、当時の様子を「まるで悲劇のヒロインになったような気分だった」と言います。さらに「福祉用具が増えるたびに、自分の負担も増えるという気持ちになり、ますます憂鬱になった」そうで、そんな時の唯一楽しみが「家の模様替え」。
「私の父は建築業を営んでいた関係で、幼いころから家の模様替えで家族を喜ばせてくれました。私も父を真似て介護の合間に模様替えをしたところ、土砂降りだった心模様に一筋の光が差し込むような穏やかな気持ちになれたのです。家の雰囲気を変え、自分の下向きな気持ちを上向きにすることができたことで、乗り越えられたのだと思います」
 弘瀨さんは、「いつか今の経験を生かして、介護している人・されている人、双方の負担を軽くするような福祉住環境の仕事に就きたい」と思っていたそうです。

 その後はCADオペレーターとして活躍し上京しましたが、勤めていた会社が突然倒産。しかし弘瀨さんは転職をせず、自分が今までやりたかったこと、つまり「福祉住環境の仕事」を選びます。整理収納アドバイザーなど、福祉住環境の仕事で役立つ勉強に精一杯取り組み、comfy livingを開業しました。

弘瀬様相談風景写真

#chapter3

地域や医療の関係者と高齢者の整理収納サポーターが連携した街づくりを

 「あれだけ辛かった義理の祖父の介護でしたが、その経験は今まさに私の仕事に生かされています」
 あの経験があったからこそ、セミナーの受講者へ現実を伝えることができ、逆に介護される側の辛さも理解できる。そんな弘瀨さんは、高齢者の方々の健康寿命を延ばし、自立した生活を長く送るための支援をして、万が一介護される立場になった場合には、介護する立場の人に対して気持ちが楽になるような住環境を提案して行きたいと言います。

 このように真摯な活動をする弘瀨さんのセミナーを受講した人たちからは、
「受講する以前は親の家の片づけの際に衝突していたが、セミナーで学んだことで、整理収納の方法だけでなく、親の人生や子を思う気持ち、親の現在の心身の状況を把握できて良かった」、「今80歳ですが、講座を受講して生きて動けるうちに頑張らねばと大変考えさせられた」などの声を、聞かれるそうです。

 「現状、高齢化が進む中、高齢者の方が家に引きこもることなく、住環境を整えることによって、アクティブで前向きに人とのコミュニケーションを取るのはもちろんのこと、地域や医療関係の方々と高齢者の整理収納サポーターが連携して、高齢者を見守れるような街づくりを目指したいですね」
 弘瀨さんが取り組んでいる、高齢者の自立した生活の質を高め、豊かな経験を活かし、いきいきと自分らしく過ごすことができるように後押しする街づくりの実現は、そう遠くないのではないでしょうか。

(取材年月:2017年2月)

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弘瀨美加

高齢者に安心・安全な暮らしを届ける住環境サポーター

弘瀨美加プロ

講師

comfy living

在宅介護経験者だから伝えられる実践的な整理収納スキルに強み。高齢者の心身の特性に配慮した収納のテクニックで安全で安心な住環境の整え方を提案。介護する人される人、双方の気持ちの負担も軽くなるよう努める。

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