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「心の杖」として高齢者の暮らしを支え、見守り、安心感を届けるサービスを展開

“やってほしい”をかなえる「トータルシニアケア」の専門家

荒川竜治

荒川竜治 あらかわりょうじ
荒川竜治 あらかわりょうじ

#chapter1

公的介護保険と自費サービスによる「トータルシニアケア」で高齢者に伴走

 自律した高齢者を対象に、神奈川県川崎市と町田市で、訪問介護や通所型のデイサービス、ケアプランを作成する居宅介護支援事業を展開する「ロコモラボラトリー」の代表・荒川竜治さん。公的介護保険によるサポートにとどまらないトータルシニアケア「心の杖」で利用者と向き合っています。

 「特に一人暮らしの高齢者さまは、日常的に援護を受けなければQOL(生活の質)が低下してしまいます。住み慣れたわが家、地域で暮らせるように、通院や買い物の付き添い、病院などでの手続き代行、老人ホームへ入所する際の身元保証、月々のやり繰りといった財産管理など“かゆいところに手が届く”自費サービスも充実させています。重要な契約の際には弁護士などの専門家にも立ち会ってもらいます」

 法人名の「ロコモラボラトリー」は、自身が研究してきたロコモティブシンドローム(運動機能障害)に由来。荒川さんは国内でも先駆けてMCI(軽度認知障害)の予防を学び、先進の検査ツールなどを導入してきました。

 運営するデイサービス施設では、国家資格者である柔道整復師のマッサージ、鳥取大学医学部の教授が推奨するアロマセラピー、運動と認知トレーニングを組み合わせた「コグニサイズ」なども取り入れて体や脳の活性化を促し、老化防止につなげています。

 「私自身が生粋のビジネスマンだったこともあり、業界の常識に縛られない多様な取り組みを実施しているのが強みです。おかげさまで『家にいるよりも楽しい時間が過ごせる』『通うのを心待ちにする施設に初めて出合った』といった声をいただきます」

#chapter2

介護の実体験、保険業界での知見、整骨・鍼灸院関係者との人脈を糧に開業

 荒川さんは大学を卒業後、経済の仕組みや面白さを知ろうと投資会社に就職。その後、外資大手の保険会社に転職し、営業活動に専念します。

 「経験を積んで独立し、保険代理店を立ち上げました。時を前後して整骨院や鍼灸院の経営コンサルティングを始め、健康や体の構造に興味を持つようになりました。現在、私の施設で提供している機能訓練やリラクゼーションに関するプログラムの原点です」

 2015年に「一般社団法人ロコモラボラトリー」を設立。介護業界に参入したきっかけは父親が病気を患い、介護の現実を目の当たりにしたこと。制度や業界の知識を深めるにつれ「自分ならイノベーションを起こせる」と確信したことが後押しになったと振り返ります。

 「介護の実体験、保険業界での経験、整骨院関係者とのネットワークがあるからこそ独自の方針を打ち出し、利用者さまやご家族にご満足いただけると自負しています。今後も新しいアイデアで皆さんに喜んでもらいたいですね」

 仕事のやりがいは困っている人を支え、感謝されること。特に、病院を出て自宅で最期を迎えたいと望む101歳の高齢者をサポートしたケースは忘れられないと言います。

 「食事も取れなくなり、点滴で暮らしていましたが『どうしてもお風呂に入りたい』と聞いてうちの施設に招待しました。専用の入浴機器も無いのでスタッフの力を借り、私が抱きかかえながら湯船に入ってもらいました。気持ちよさそうに、うっとりとした表情をされていたのが印象的ですね」

荒川竜治 あらかわりょうじ

#chapter3

人生に寄り添い、昔話から機転が利かせて“奇跡の再会”を手伝ったことも

 長く高齢者を支援する中、時に奇跡も起こると語る荒川さん。利用者の情報を基に、およそ70年ぶりに友人同士を再会させたこともあるそうです。

 「富山出身の利用者さまが、戦後に女学校を卒業して故郷を離れたとおっしゃっていました。別の方も富山と女学校の話をされていて『ひょっとして』と2人を会わせたところ、同級生でした。互いに川崎に住んでいるとは知っていたものの、体力の衰えで年賀状のやり取りのみの交流になり、疎遠になっていたようです。あまりにも美しい光景に私も思わず涙がこみ上げ、地元紙にも掲載されたほどです」

 利用者の人生に寄り添い、思いや縁を紡いで生まれる感動を原動力に事業にまい進。小田急線沿線を中心に複数施設の新規オープンを考えているとか。高齢者の助けになるプロフェッショナルな会社や店舗のM&A(合併・買収)も視野に入れ、支援体制を強化していきたいと意気込みます。

 「ゆくゆくは出身の栃木に戻り、高齢者向けのサービスを手掛けることが目標です。お子さんに迷惑をかけたくない、身寄りがないなど、独居の方は少なくありません。誰も取りこぼすことなく手を差し伸べていきたいので、私どもと志を同じくし、一緒に頑張ってくれる方と出会いたいですね」

 自費サービスはエリアを問わず利用可能で、中でも意思を代理表明する身上保護は重要な役割を果たすだろうと話します。

 「緊急手術を受ける際など、本人に代わって書類にサインし、側にいて見守る“心の杖”となり安心感を届けたいですね」

(取材年月:2025年1月)

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荒川竜治

“やってほしい”をかなえる「トータルシニアケア」の専門家

荒川竜治プロ

介護事業者

一般社団法人ロコモラボラトリー

公的介護保険の範囲内のみならず、各種手続きの代行、買い物の付き添い、身元保証、財産管理などの自費サービスも充実させて高齢者と家族を支援。元ビジネスマンとしての嗅覚を生かし業界の“常識”に挑戦を続ける。

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