ラテアートでカフェのブランディングを支援する専門家
吉場湊
Mybestpro Interview
ラテアートでカフェのブランディングを支援する専門家
吉場湊
#chapter1
ラテアートを軸にカフェのブランディングを支援する「3710coffee」の代表・吉場湊さん。技術はもちろん、カップやインテリア選び、情報発信の手法まで広くサポートしています。
「ラテアートは、エスプレッソの表面に温めたミルクを注いで描く表現技法です。酪農が盛んな国々で特に人気があり、近年は香港をはじめとするアジア圏のバリスタ(コーヒー職人)が世界大会で優勝するケースも増えています。単なる絵や模様ではなく作り手の思いや世界観を伝える役割を果たし、他店との差別化も図れます」
提供時に「あなたをイメージして作りました」「ご夫婦のために2つのモチーフを組み合わせました」といった言葉を添えると来店客とのコミュニケーションが生まれ、満足度も高められるとか。心を込めた一杯に感動した人がSNSで画像を拡散することも多く、知名度の向上も期待できます。
「カフェは参入障壁が低くコンビニよりも店舗数が多いとされる一方、10年後には9割以上が閉店するような厳しい世界です。乗り越えるためにも『バリスタとして限界を感じる』『エスプレッソマシンを使いこなせない』『店の“決め手”が見いだせない』など課題があれば、ぜひ解決のためにご相談ください」
実際にアドバイスした店が湘南エリアの地域誌で特集されるなど成果も多数。また、レクチャーを受けたスタッフが互いに切磋琢磨するようになり、人気店に成長したケースもあると言います。
「マンツーマンで皆さんのレベルに合わせ、日中にレッスンやコンサルティングを実施できるのも私の特長です。現在は関東を中心に活動していますが、全国対応のオンラインプログラムも提供予定です」
#chapter2
前職は地方公務員と、カフェ経営とは無縁だった吉場さん。結婚後、義父が兵庫県の瀬戸内海沿いでその名も「みなとコーヒー店」を営んでいたと知り、復活させたいとの思いが強まります。
「冷え切った漁師の体を温め、くつろげる素敵な純喫茶だと聞きました。後に夫が義父の形見のサイフォンでコーヒーを入れてくれた時、『私が思いを受け継いでみせる』と決心したのが起業のきっかけです。本当に味わい深い一杯でした」
その思いを胸に、公務員を辞めて飲食業界へ転身。ホールスタッフとして現場経験を積むなか、横浜市内のカフェに勤務していた頃、転機が訪れます。ある時、先輩バリスタが手掛けたラテアートの一杯を客席に運ぶと「どうやって作ったの?」「次からも注文するね」と次々にうれしい声がかかったのです。
「お客さまの言葉をバリスタに伝えると本人のモチベーションが高まるという連鎖が起こり『何て素晴らしいツールだろう』と驚きました。そして自分でエスプレッソマシンを購入して練習を繰り返し、ワンデーカフェを開業したりしました。やがて腕を上げ年間で200人以上を育て『ラテアートをオンラインで学べる珍しい講師がいる』と話題になりテレビ番組でも取り上げられました」
一方で、「ラテアートは特別な道具がなくても楽しめる」と吉場さん。インスタントコーヒーと100円ショップのグッズでも、趣味として気軽に始められるのだとか。こうした体験を通じて、店の魅力づくりにもつなげることが可能です。
「例えば売り上げが落ちる夏場のイベントとして、お客さまを店に招き、自宅で手軽に取り組めるラテアートの教室を開催してはいかがでしょうか。もちろん参加者への教え方や楽しませ方は丁寧に指導します」
#chapter3
吉場さんにとって仕事の醍醐味は、支援したバリスタが生き生きと働く姿を目にすること。恥ずかしそうな表情を浮かべながらも来店客と積極的にコミュニケーションを取り、双方が笑顔になるのを見ると全てが報われると続けます。
「世の中には黙々とコーヒーを入れる職人肌のバリスタもいますが、私がお手伝いしてきた方々はラテアートに描いたストーリーをお客さまに伝えたくてたまらないはずです。コンサルティング後には私もそれぞれの店に客として訪れますが、新しい常連さんがすでにできていたりして、成長を感じるたびにうれしくなります。売り上げが伸び、スタッフのモチベーションもますます高まって、末長く愛されるカフェになってくれたら幸せです」
なお近年では、アパレルショップをはじめとした異業種の店舗がカフェを併設するケースも増えています。全体的なコンセプトは固まっていても、ラテアートを提供する場合には自身のコンサルティングを試してほしいと語ります。
「お客さまへの見せ方や味は大切な要素であり、非常に繊細で専門的な領域です。皆さんがカフェの在り方に悩んだ時に『あの人に声をかけてみよう』と、真っ先に頭に浮かぶ存在になりたいですね。これからも義父の意志を継ぎ、皆さんとのネットワークを築いていきたいものです」
(取材年月:2025年6月)
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Profile
ラテアートでカフェのブランディングを支援する専門家
吉場湊プロ
ラテアート専門の教育×ブランドコンサルティング業
3710coffee
義父の思いを受け継いでカフェ業界に参入し、ラテアート講師や店舗ブランディングコンサルタントとして活動。テレビ番組にも取り上げられ、ラテアートを通じて店舗の導線・空間・発信まで一貫して整えることが強み
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