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「繋ごう未来への襷」を理念に、米作りを通じて地域の農地を守り、次世代へ継承

次世代へと襷(たすき)をつなぐ米農業経営のプロ

阿部雅

阿部雅 あべひとし

#chapter1

農作業の受託やドローンによる農薬散布、粗飼料の買い取り・販売に対応

 「ご先祖さまから受け継いだ大切な水田に実りをもたらし、日本の農業を岩手から躍進させることが目標です」と話すのは、「阿部農園」の阿部雅さん。

 自社の田んぼで水稲を行うほか、一関市内で農作業の受託やドローンによる農薬散布を手掛け、稲わらなど粗飼料の買い取り・販売では東北一円へ足を運んでいます。

 「農作業は一部ではなく、一括で承ります。牛ふんに含まれる微生物やケイ酸カルシウムの働きで病害虫の繁殖を防ぎ、土壌の通気性、排水性、保水性を改善して作物の根張りを良くする土作りから、耕起、代掻き、田植え、水の管理、稲刈り、脱穀まで一貫します」

 自社農地と受託分を併せて、作付面積は約40ヘクタール。東京ドーム約9個分に相当する広さです。規模を拡充しながらも品質を追求し、阿部さんのもとで生産した「ひとめぼれ」は、2025年10月にいわて平泉農業協同組合へ出荷時の食味審査で84%を獲得。粒の形や色つや、味、食感などで高評価を得られたのは、仲間の存在があってこそと言います。

 「地元の若手生産者が集まる『いちのせき米クラブ』のメンバーと、生産者限定として『顔の見えるお米』として取り組み、農薬の使用量を慣行栽培より減らした『限定純情米』の生産を行っております。また、『いちのせき米クラブ』では独自の取り組みとして、食味値75以上、1等米比率100%を目標に掲げております。販売促進活動などを通じて販路拡大も進めています。最近では、お付き合いのある農家さんらが『米作りで困っているなら阿部農園に相談してみたら』と、周囲にお声がけくださることが増えました」

 冬季は個人宅や施設などで除雪を請け負い、カメラ付きのドローンで保育園を空撮したり、街の行事を撮影したり。農業と地域の暮らしをサポートしています。

#chapter2

自らが農業の担い手となり、もっちりと甘く、冷えてもおいしいお米を生産

 実家が兼業農家だった阿部さん。高校卒業後は、農業に必要な農業用水路や施設の整備、維持に従事しますが、厳しい現実に直面します。

 「せっかく整備をしても、農家さんが翌年に離農してしまうケースもあって。背景には、高齢化による労働負荷、後継者の不在などがありました」

 先人から脈々と紡がれてきた営みが途切れてしまう悔しさから、「自分が担い手になろう」と決意し、脱サラ。「繋ごう未来への襷(たすき)」を経営理念に、2017年に個人事業主として就農。2021年12月に法人化しました。

 「自然相手の仕事は、自分ではどうにもならない難しさがあります。不確定要素が多いですが、地域の農業を絶やしたくない一心でしたね」

 阿部さんが最もこだわるのは、土作りです。近年は、温暖化の影響で稲の生育不良などが生じ、従来の方法では通用しないと感じるように。試行錯誤の末にたどり着いたのが、土壌改良剤のケイ酸カルシウムでした。高温障害、冷害に強い稲にすることで根張りが良く収量が安定し、味も向上。もっちりとして甘みがあり、冷めてももちもち感が持続するのが特長だとか。

 「子どもが生まれたことも大きな転機でした。毎日口にするものだからこそ、おいしいお米を作りたいと思ったんです。子どもたちが、お風呂上がりにラップに包んだおにぎりをほおばる姿を見て、手応えを覚えました。また、耕作放棄地が増えると景観が損なわれますので、適切に活用して昔ながらの田園風景を残したい気持ちもあります」

#chapter3

自社米の販売にも注力し、注文を受けてから精米することで鮮度を確保

 社是に「感謝」の姿勢を掲げる阿部さん。人に対してうそをつかず、目の前の相手に誠実に向き合うことで信頼を生み、新たな縁を結んできました。

 「農作業委託のご要望があれば必ず現地へ赴き、田んぼの状態を確認します。水はけなど条件が悪くてもできる方法を探り、栽培・収穫をお手伝いします」

 自らが育てた米の販売にも注力。自社サイトのオンラインショップで展開し、LINEやSNSからも注文を受け付けています。酸化や乾燥を防ぐため、受注後に精米することで鮮度を確保。新鮮で豊かな風味により全国に顧客を持ち、毎月購入するリピーターも少なくありません。

 「お弁当に入れても子どもが残さず食べてくれた、作り手から直送されるので安心できるといった感想をいただき、日々の励みになっています」

 将来的には、農産物を加工して付加価値を高め、流通・販売を推進して経営を多角化する6次産業化にも挑戦すべく、自社米を使ったおにぎり屋さんの開業も構想。阿部さんは「食育」にも強い思いを寄せ、田植え体験なども検討。生産者と顔を合わせ、一緒に手を動かすことで日々の食卓を彩る農業の魅力や意義を伝え、次世代へとつなぐ循環を生み出したいと考えています。

 「農業の継続に不安を感じている農家さんも、食の安全性を求めている方も、私どもにお問い合わせください。地域の米作りを支え、子どもたちが日本のお米を当たり前に食せる日常を守るため、丁寧に工程を重ね、末永く愛される品をお届けします」

(取材年月:2026年2月)

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専門家プロフィール

阿部雅

次世代へと襷(たすき)をつなぐ米農業経営のプロ

阿部雅プロ

農業

株式会社阿部農園

自社農地と受託分を含め約40ヘクタールを管理。土作りから水管理、収穫まで一貫して担い、ドローンによる農薬散布や粗飼料(稲わら)の広域買い取り、冬季の除雪にも対応。地域の農地と暮らしを支えています。

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