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フォトグラファーとして、講演家として「自分らしく」生きることの大切さを伝えたい

自然体の“その人らしさ”を瞬時にとらえ写真を未来に残すプロ

坂元拓海

坂元拓海 さかもとたくみ
坂元拓海 さかもとたくみ

#chapter1

子どもの撮影に特化。「自分らしく」輝く瞬間を形に残すことの大切さを伝えたい

 「子どものキラキラとした笑顔と家族の幸せに満ちた写真は、子どもの自己肯定感や自己受容感を高め、家族の絆を深めます。写真をデータのみにとどめず、台紙や写真集といった形で残すことが、さらに自己肯定感を育むことにつながると考えており、そのため、個別の撮影プランにはデータのみの提供はありません。形に残すことの大切さを伝えていきたいですね」

 そう語るのは、「Ulacamelon(ユーラカメロン)」の坂元拓海さん。兵庫県高砂市を拠点にフォトグラファーとして活動する傍ら、カメラマンを育てる「継承塾」を運営。講演家として全国の学校や企業などにも赴いています。

 生まれて間もない時期のニューボーンフォトやお宮参り、七五三、入園・入学式といった成長の節目や、人生の門出に伴走。兵庫県が主催する「家族の日」写真コンクールで最優秀賞に選ばれるなど、確かな技術と、輝く瞬間を捉える感性が高く評価されています。

 「私自身が着物の着付けやポージングについても熟知しており、撮影前の手直しや、ロケーション撮影でもアシスタントに指示を出し、美しい写真を追及しています。撮影中は、お子さんとの心の距離を大切にし、声かけにも工夫を凝らします。例えば、刀を抜くポーズで『ヤー』と声を出してもらうと、お子さんの自然な笑顔や元気な表情が引き出されることが多く、その瞬間を逃さずに撮影しています」
 母音まで意識して声をかけることで、多様な表情を引き出せるのが坂元さんならではの技です。

 坂元さんは両親や祖父母らにも細やかに配慮し、効き顔を聞いて立ち位置などをレクチャー。そのプロ意識の高さから、世界的大企業での撮影や、ドローンを駆使したスケール感あふれる撮影も手掛けています。

#chapter2

ありのままを受け入れ、心からの笑顔を捉えるためフォトグラファーの道へ

 企業理念に「自己表現100%で、可能性にあふれた人生を生きることができる社会を創る」を掲げる坂元さん。女性として生まれ、性別適合手術を受けて戸籍上も男性となりました。

 「幼少期から性別に違和感を抱き、家族に認めてもらえなかったため、笑っている写真はほとんどありません。本当の自分を出せずに苦悩した経験から、ありのままを受け入れて、心からの笑顔を撮りたいという気持ちが強いんです」

 高校生のとき交通事故に遭い、ICU(集中治療室)に入るほどの重症を負います。
 「自分らしく生きたいと初めて思いました。友だちに喜んでもらいたくて、自分の存在を伝えたくて、写真を撮ろうと思ったんです」

 事故後、父親にカメラを買ってもらい同級生を撮影した際、坂元さんは強い衝撃を覚えました。
 「今でもその時のシーンを鮮明に覚えています。同級生の表情と差し込む光。その瞬間、反射的にシャッターを押しました」
この出会いが、坂元さんが自分らしく生きる未来を決断する第一歩となり、フォトグラファーとして、また、後の講演家の原点になりました。

 卒業後の進路として写真専門学校を志望しましたが、両親の希望で大学の児童教育学科に進学。しかし、フォトグラファーへの夢を諦めきれず、子ども写真スタジオに就職。やがて店舗経営を任されるようになりますが、「一人一人に寄り添い、ともに歴史を刻みたい」と独立を決意し、2018年に創業。以来、数多くの縁を紡いできました。

坂元拓海 さかもとたくみ

#chapter3

誰もが自分らしく生きられる社会づくりを目指し、行政や教育現場で講演

 「家族ってなんだろうと考え続けてきたので、幸せそうな家族の様子を見るだけで涙腺が緩んでしまいます。かけがえのない瞬間を収めるフォトグラファーは、僕にとって天職です」

 性別適合手術を経て結婚した坂元さんは、結婚できない人々がいる現状に憤りを覚え、2021年に高砂市に「パートナーシップ・ファミリーシップ制度」の導入を陳情。この行動をきっかけに、自治体や教育機関から声がかかり講演会などに登壇するようになります。

 「2022年には誰もが当事者であることを発信する『SOGIE協会』を設立し、2023年には絵本『らしーく』を出版しました。生きづらさを感じている人や、その保護者、行政や教育関係者に、差別や偏見のない社会をつくり、自分らしく生きる意義を伝えています」

 講演会の冒頭で、これまで撮影してきた、いきいきとした表情の写真が紹介されます。そして語られる、坂元さんのつらい幼少期や女性として男性として、フォトグラファーとしてのストーリーは、多くの人々の心を打ちます。

 また、運営する継承塾「そじCAME」では、子どもの成長を見守る「かかりつけカメラマン」の育成にも力を注いでいます。

 「子どもたちから『さかもっちゃん』と呼ばれています。『さかもっちゃんがいたからありのままの自分でいいんだ!』『家族の絆がより深まった』と思ってもらえるのが何よりうれしいですね。僕の使命は、さまざまな活動を通じて、その人らしく生きる素晴らしさを伝えることです」

(取材年月:2024年10月)

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専門家プロフィール

坂元拓海

自然体の“その人らしさ”を瞬時にとらえ写真を未来に残すプロ

坂元拓海プロ

フォトグラファー

株式会社Ulacamelon

フォトグラファー歴19年で延べ4万人以上のお子さんを撮影。「自分らしく生きること」を大切にし、自己肯定感や自己受容感を高め家族の絆を深める写真にこだわります。講演や継承塾を通じた活動も展開。

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