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100年住めるマンションへ、長期修繕計画を作成できるエクセルシステムの導入をサポート

100年住めるマンションにするための長期修繕計画のプロ

宇野俊明

宇野俊明 うのとしあき
宇野俊明 うのとしあき

#chapter1

国土交通省のガイドラインを上回る60年間の長期修繕計画を作成

 美観や安全性を高め、マンションの資産価値を維持しながら長く快適に住み続けるには、定期的にメンテナンスを施すことが肝要です。高額な修繕費用を捻出するには、工事をする時期や項目、費用を洗い出し、計画性をもって各住戸から修繕積立金を徴収していく必要があります。
 「宇野俊明マンション管理士事務所」の代表であり、マンション管理士の宇野俊明さんは、長期修繕計画を作成するエクセルシステムを開発しました。

 「分譲マンションを購入する際、販売会社より長期修繕計画を提示されますが、販売価格を抑えるために修繕積立金は低く見積もることが多いんです。マンションは10~15年くらいではあまり傷みませんから、最初の大規模修繕はたいていスムーズに終わりますが、問題はそのあとです」

 機械式駐車場やエレベーターなど、お金がかかる設備の更新が次々と必要になってくる上に、材料費も人件費も年々上昇しているため予定通りにいかなくなると言います。

 「分譲時のプランでは工事費が足りないことが後々判明し、修繕積立金が大幅に引き上げられることになり、住人が慌てるという事態に陥ります」

 国土交通省の長期修繕計画に関するガイドラインでは、「30年以上かつ大規模修繕工事が2回含まれる期間」で策定することが求められています。宇野さんのシステムでは、その2倍の期間、60年を一単位とするフォーマットとなっています。

 「60年でいろいろな設備の更新工事が一回りするんです。60年のサイクルをきちんと回せたら次の60年も見通しが立ち、100年以上住めるマンションとなるでしょう」

#chapter2

簡単に修正ができ、コストをかけずに長期修繕計画の見直しが可能

 長期修繕計画のかじ取りをするのがマンションの理事会です。しかし、多くの場合持ち回りで役員を担当しているため、管理会社から提示された工事の妥当性が判断できず、管理会社の思惑通りになりがちと、宇野さんは指摘します。

 「自分の家の家計簿を他人任せにしているようなもの。管理組合員である住人および理事が、積極的に計画に関わることが大事です」

 宇野さんは中立的な立場で現地調査を行い、建物の劣化状況を精査したうえで長期修繕計画を作成して納品。総会での説明も担い、組合員の合意形成に尽力します。

 「独自に開発したシステムで簡単に計算できることから、相場の半額から7割程度で作成できます。さらに、当方は国家資格のマンション管理士ですから、『適切な管理計画がなされているマンション』として地方公共団体から認定を得ることもできます」

 国土交通省のガイドラインでは5年ごとの見直しが推奨されており、外注するとその都度料金が発生します。宇野さんはエクセルシートで納品するため、理事会のメンバーで計画の修正が可能。修正方法についてもレクチャーし、費用をかけずに見直しができると話します。

 「物価変動指数を工事費に反映でき、実態に即した計画を作れることや、60年間の修繕積立金と工事費用の収支をグラフで分かりやすく表示できることも特色です。赤字を回避するにはどうすればいいか、修繕積立金の上げ幅や工事時期の先送りなど、シミュレーションが容易にできるのです」

#chapter3

長期修繕計画のノウハウを伝えるため開業し、断熱改修もアドバイス

 「私は家電量販店を営む家に生まれました。家業を通して冷暖房の空調機器や照明などの設備に興味を持ち、新店舗の建設計画を担う中で、建築に関する知識を身に着けました」と宇野さん。
 
 その後システム会社を経て、外壁塗装会社や建築設備のメンテナンス会社に勤務。設備設計や長期修繕計画について知見を深め、マンション管理士の資格も取得。数多くの世帯が集合する暮らしの場を整備する専門性を備えました。

 「メンテナンス会社では、大手ゼネコンやビルメンテナンス会社の下請けもやっており、依頼されて、各地のマンションや施設、学校などの長期修繕計画を作成していました。大手でも、屋根や外壁、給排水管、廊下や階段といった共用部ごとに定められたガイドラインに沿って作るのが難しかったようです」

 区分所有者が高齢化し、マンションに永住したいと考える人が約6割に及ぶという国土交通省の調査も。宇野さんは、長期修繕計画のノウハウを住人やマンション管理士など多くの人に役立ててほしいと開業。問い合わせが増えている断熱改修についてもコンサルティングしています。

 「かつてアメリカに住んでいた時に、古い建物を手入れしながら使い続けていることや、街並みや景観に関するこだわりに驚きました。管理が行き届いたマンションが増えれば、街全体の価値も上がるのではないでしょうか。人生100年時代と言われるようになった今、建物もコンディションを整えて健康を保ち100年を目指しましょう」

(取材年月:2024年12月)

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宇野俊明

100年住めるマンションにするための長期修繕計画のプロ

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マンション管理士

宇野俊明マンション管理士事務所

国交省のガイドラインに沿った長期修繕計画の作成や修正ができるシステムを開発。物価変動指数を反映した工事費の概算や月々の修繕積立金額による収支バランスなどの、シミュレーションが簡単にできます。

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