環境・バイオマスに特化した技術コンサルティングのプロ
笹内謙一
Mybestpro Interview
環境・バイオマスに特化した技術コンサルティングのプロ
笹内謙一
#chapter1
SDGs(持続可能な開発目標)達成に向け、脱炭素に取り組みたい企業は多いでしょう。「PEO技術士事務所」代表取締役の笹内謙一さんは、環境・バイオマスエネルギーに特化した技術コンサルティングを行っています。
主にサポートしているのは、木質バイオマス発電の導入です。木材チップや間伐材などを燃料とする木質バイオマスは、木々が生育時に二酸化炭素(CO2)を吸収することから、燃やしても排出量は増えないとされる再生可能エネルギーの一つ。笹内さんは、中立の立場で、技術調査や事業性の評価などを行います。
全国の事業者や自治体から依頼を受けると、必ず用地候補に足を運び、あわせて導入設備の現物を確認。欧州メーカーの装置を検討する場合は、海外まで調査に赴き、現地でどのように使われているかを把握した上で、国内の環境に適用できるかどうかを判断します。
「バイオマス発電は、導入場所のほか、燃料の供給体制や発電と同時に生じる熱の利用先、地域との連携など、複雑な要件が多数あり、技術の選択が成功に大きく左右します。目利き力がなければ、どの技術が自分たちの事業に合うかを判断しにくいもの。実際にメーカーが提案するままに導入し、『想定と違った』と悩む声も多く寄せられています。私どもは設備を販売せず、メーカーにも左右されないため、客観的な視点で事業に適したソリューションを提案できます」
また、バイオマス発電に利用できる補助金の提案や申請支援も担い、これまで100%の採択率を誇ります。大手メーカーに対する発電装置の開発支援や、金融機関・投資家向けの技術デューデリジェンスなどでも、豊富な実績があります。
#chapter2
近年、再生可能エネルギーで発電した電力の買い取り価格を国が保証する〝固定価格買い取り制度(FIT)〟により、価格が優遇されている「小規模の木質バイオマス発電」が注目されています。特に太陽光発電事業者の新規参入が目立つとか。
「太陽光に比べてバイオマス発電は維持管理が難しく、簡単に利益を出せるものではありません。技術査定の上、ミスマッチが生まれないよう計画中止をアドバイスすることも。運用改善サポートも手掛けていますが、導入のハードルは高いと知ってほしいですね」
もともと、工業炉メーカーでエンジニアとして勤務していた笹内さん。工業炉の設計を経て、バイオマスガス化発電装置の開発に約20年間従事していました。
「社内の新規事業として立ち上げから行ったので、開発はトライアンドエラーの繰り返しで、数々の失敗も経験しました。同じ轍(てつ)を踏まないよう、積み上げてきた経験知をもとに、成功への近道を示せます。また当方には、環境や機械、化学など各専門分野の技術士が在籍しており、豊富な技術の知見に自信があります」
笹内さんは開発に携わった当初、「バイオマス」の言葉も知らなかったと言います。
「知識を得るためその分野に強い人とつながりたいと考え、学会にも所属しました。そこで農業や林業、環境など各分野の専門家とのネットワークを築けたことは、貴重な財産です。一人の力でできることは限られるので、ギブアンドテイクの関係を大事に、今でも連携を続けています」
#chapter3
バイオマス分野の専門家として、最前線の技術動向などを紹介する国内外のセミナーにも登壇し、業界の発展に力を尽くす笹内さん。事務所を設立したのは、メーカーではできない、中立的な立場でバイオマス発電の普及に貢献したいと考えたからです。
「日本は国土の約7割を森林が占める世界有数の森林大国で、木質バイオマスのポテンシャルは高いと言えるでしょう。ただ、林業の衰退により、木材の総需要量の約6割を輸入に頼っているなど、課題も多くあります」
燃料調達の観点から、笹内さんが期待を寄せるのは、地域資源を活用しやすい小規模のバイオマス発電です。採算性では大規模に劣るものの、限られた量の燃料でも稼働できる点がメリットとか。
「例えば山間地域では、燃料に地元の間伐材などを使うことで、エネルギーの地産地消を目指せます。各地にエネルギー源が分散すると、災害など不測の事態にも電気と熱が自給自足でき、BCP(事業継続計画)対策にも有効です。また、手入れが滞った人口林には高齢の木々が密集し、CO2吸収量も低下します。地域の木材を適正に使うことは、森林の保全にもつながるのです」と力を込めます。
「バイオマス発電を検討する事業者は、『地域に貢献したい』という思いを持って取り組まれている方がほとんど。だからこそ安定的に運営を継続できるか、まずは慎重にリスクを見極める必要があります。その判断材料となる技術的な地固めを私どもが担い、夢の実現をお手伝いします」と呼び掛けます。
(取材年月:2023年1月)
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Profile
環境・バイオマスに特化した技術コンサルティングのプロ
笹内謙一プロ
技術士
株式会社PEO技術士事務所
プラントメーカーで約20年の木質バイオマス発電の開発経験をもとに中立の立場で技術コンサルティングを行います。事業者向けの技術調査や補助金申請支援、金融機関向けの技術デューデリジェンスなどで豊富な実績。
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