市場動向を踏まえ根拠ある査定を心がける美術品のプロ
澤田賀央
Mybestpro Interview
市場動向を踏まえ根拠ある査定を心がける美術品のプロ
澤田賀央
#chapter1
「親が大事にしていた器はいくらなのか。会社の応接室に飾られている書画を受け継ぐべきか。相続や事業承継の場面で、美術品の扱いに悩む皆さまのお力になります」
そう語るのは、広島市中区にある「沢田美術」の代表・澤田賀央さん。美術品の売買、真偽や良否の鑑定、市場価格に基づく査定を手掛け、茶道具、骨とう品、掛け軸、絵画、陶磁器など、幅広く取り扱っています。
「美術品は、価値が高くなるほど贋作(がんさく)のリスクも高まります。当方は、創業以来『本物』を扱うことをモットーに掲げ、どの美術商が見ても『間違いない』と言われる品を的確に見極める、目利きには自信があります」
信用第一で真摯(しんし)な仕事を積み上げ、近年は税理士や弁護士からの依頼も増加。個人の遺産・遺贈品にまつわる評価額表の作成や、企業の資産整理に関する相談にも応えています。
各方面から信頼を集める眼識は、目と足を使って培ったもの。現在も全国の美術商が集うオークションに足を運び、コレクターのニーズや業界における相場の把握に努めています。
「現場でトラブルになりやすいのは、値付けです。特に購入時と買い取り時の価格に大きな差があると、疑問や戸惑いが生じます。適正価格だとしても、一方的に金額を告げるだけでは、納得感は得られません」
澤田さんは、市場の規模や動向、作品や作者の来歴などを丁寧に説明し、査定額の根拠を明示。売るか、売らないか、即決を促すこともありません。
「ご両親の形見など、お客さまにとって大切な品です。じっくりとご検討いただくことで、安心感につなげています」
#chapter2
「沢田美術」は澤田さんの父が1970年に創立し、幼少期から希少性や芸術性を備えた品々が身近にある環境で育ちました。家業を継ぐ決意を固め、高校卒業後に大阪の美術商に入ります。
「5年間住み込みで、日夜、数々の逸品と向き合う生活を送りました。美術商の世界ではよくある光景で、識別眼は触れてきた作品の数で決まると言われています。文化的、歴史的背景を学ぶことも重要ですが、直接見て、触る。これに勝る修行はないと感じます」
知見を深め、1999年に2代目社長に就任。王朝によって異なる様式美など、中国美術に対する関心が高まっているのをいち早く察知し、北京や上海に赴いてネットワークを構築。海外のアートフェアにも出展して仕入れルートや販路を拡充しました。
中国人の富裕層らが日本に渡った自国の骨とう品などを買い戻す動きが活発になると、中国美術の取引を強化。国内外の市場を熟知することで適切に価値を判断し、理解ある愛好家へつないでいます。
「偽物を見抜くコツを聞かれると『自分の名前を紙に書いてください』とお答えしています。私がそっくりに模写しても、本人であればどちらが自分のサインか見分けられるはずです。なぜならあなたが『本物』だから。目利きも同じで、本物だけが放つ唯一無二の存在感や精緻に施された技巧を、自分のものにする必要があるんです」
鑑定は、テクニックを超越した一種の能力。理論を身につけるだけでなく、真作を所有し、触れ続けることで本質を捉える洞察力を養っています。
#chapter3
オンラインサービスが普及し、美術業界でもネットオークションによる売買が活性化。アートと気軽に出会える一方で、贋作が出回りやすい環境でもあると、澤田さんは警鐘を鳴らします。
「オリジナルか否か迷った際は、所有者はコレクターかギャラリーか、誰が、いつ、どこで購入したのか、過去の履歴などが判断材料になることもあります。お客さまと血の通った対話を重ねる中で、自然と知識が育まれる場でありたいと考えています」
親身なコミュニケーションを通して、一人一人と絆を結ぶ澤田さん。オークションでも「あの人が好きそうな焼き物だ」と、商品の向こうに顧客の笑顔を描く日も多いそう。本物を愛でる喜びを、多くの人と分かち合いたいとの思いで、2025年、東京都港区に出店を果たしました。
「都内は美術商が集まる激戦区です。刺激をもらい、自らを鼓舞する武者修行のつもりでチャレンジしました。地元のお客さまからは『東京へ進出したんだって?すごいね』と応援していただき、この地で築いてきた基盤の厚さを改めて実感しています」
東京で磨いた感性を、原点である広島に届けることを展望。時代を超え、壮大な物語を紡ぐ美術品を「慈しむ楽しさ」を地域に還元していきたいと意欲を見せます。
「当店は茶器を得意とする美術商です。店内には茶室を設け、茶事やお稽古、作家さんの個展や展示場としてもご活用いただけます。『本物』を鑑賞する幸せを共有し、豊かな時間を提供できたらうれしいですね」
(取材年月:2026年2月)
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市場動向を踏まえ根拠ある査定を心がける美術品のプロ
澤田賀央プロ
美術商
株式会社沢田美術
相続や資産整理に伴う美術品の鑑定・売買に対応。市場動向を踏まえた根拠ある値付けと丁寧な説明で納得感のある取引を支援し、本物が正しく受け継がれる環境を整えます。
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