暗記力に頼らない英語指導で英語をロジカルに解き明かすプロ隅広幸利

暗記力に頼らない英語指導で英語をロジカルに解き明かすプロ

隅広幸利

「なぜ？」の疑問に応え、生徒の労力を最小限にする理解重視の英語学習

　「英語といえば、まずは単語や文法の暗記から」。従来の方法では、膨大な量をひたすらインプットする作業に疲弊する人も少なくありません。広島県呉市にある英語指導塾「English School ELL」の代表講師・隅広幸利さんは、暗記という生徒まかせの学習方法に異を唱え、自らメソッドを開発。東京大学をはじめ難関校への合格を後押ししています。

　「勉強に費やせる時間には限りがあります。特に受験生ともなれば他の教科も網羅しなければなりません。当方は生徒さんの英語学習の労力を最小限にすべく仕組みを徹底的に研究し、すべての英語の事項を最小単位の1にすることにこだわってきました。単語でも文法でも、英語の『本質』を知ればどんな問題にも応用可能です」

　例えば「行く」を表す動詞“Go”は“Go to Tokyo”と表現するのに、「訪ねる」を表す動詞“Visit”は“Visit Tokyo”。なぜtoは不要なのか。隅広さんは、どんなささいな疑問も「英語はそういうものだから」で片づけたりはしません。生徒の疑問に納得のいく答えを提供するのが英語講師として譲れないプライドです。

　「英語を型として覚えるのは限界があるので、疑問が生じた時点で仕組みを論理的に説明します。多少時間はかかっても、生徒さんが理由をきちんと理解できれば今後同じような“to”のパターンで迷うことはなく、結果的に勉強時間の短縮が図れます」

　隅広さんは、高校・大学受験コースと、TOEICや英検などの資格対策コースを開講。基本は12人までの集団授業ですが、個別指導やオンライン指導も実施。無料体験授業もあり、「今までのもやもやが解消した」と感激、ほとんど全員が入塾を決めるそうです。

前職は数学講師。英語の仕組みを徹底的に分析・体系化し、見えてきた『本質』とは

　英語学習において独自のメソッドを確立した隅広さん。その挑戦は意外にも「暗記嫌い」がきっかけ。

　「前職は数学講師で、根っからの理系です。整理や分析が得意な半面、非効率的な『暗記』には抵抗があり、語学が好きではなかったのですが、当時、英語講師が不在時に生徒さんからの英語の質問に答えられず。悔しくて、ひそかに英語を学び直すことにしたんです」

　時間も体力も限られる大人の勉強は、効率がカギ。暗記は避け、持ち前の分析力で英語の法則性を徹底研究。「なぜこの前置詞が使われるのか」「なぜこの語順に？」と理論を体系化する過程で、品詞に着目します。こうしてすべての英文は名詞・動詞・形容詞・副詞というたった四つの言葉で成り立つという英語の『本質』に至りました。

　「来訪時に多いのが『中学までは英語が得意だったのに、高校になってついていけなくなった』という声です。中学では暗記できる程度の文法しか扱いませんが、高校ではそれが細分化され、扱う量も難易度も一気に上がる点が要因の一つです」

　例えば“as～as”は「同じくらい～」と同等の意味で用いると教わる構文ですが、高校になると用法が一気に複雑になり、頑張ってこの形を『覚えた』人ほど混乱してしまいます。単なる暗記は生徒の努力をも裏切る恐れがあるのです。

　「一度覚えたものを忘れて、新しいことを覚えるのは意外と大変ですから、なるべく早くから英語の『本質』を知ってほしいですね。英文法という土台を一貫した指導で習得できれば、日本の英語力はさらに向上すると思います」

勉強のハードルを下げる適切なサポートで向学心を育み、飛躍を後押し

　「先生の授業を広島にとどめておくのはもったいない」、東大に合格した元教え子の熱烈な推薦を受け、隅広さんはスクール以外でも活動。東大卒で弁護士、医師、公認会計士と三大難関国家試験に合格した河野玄斗氏が東京で主宰する「河野塾」でも講座を担当するなど、全国の生徒の学びも支えています。

　「言葉は日々少しずつ用法や意味が変わるため、探求が欠かせないところが語学の難しさであり面白さです。私は『一生勉強』を自身の目標としており、授業の合間には数学を解くことも。それを見た生徒さんは驚きつつも『先生でも勉強するんだ』と、勉学にいそしむ意義を感じ取ってくれているようです」

　模試のように順位付けされる場面では、友人らと比較して安心感を得ようとしがちですが、見るべきはあくまで自分。照準を常に自身に当てて高みを目指せるよう、自らの背で向学心を示しています。

　「英語嫌いだった自分が地道な努力で人生を変えたように、生徒さんにも誰のためでもない自分のために努力できる人になってほしい。ただ、ハードルが高すぎてもつらいだけ。効果的な飛び方を教えることでそのハードルを低く見せ、背中を押す。それが講師の務めだと思っています」

　一人でも多くの生徒が英語力を伸ばせるように、ゆくゆくはメソッドを引き継ぐ後継者も育てたいと語る隅広さん。語学をツールとして、それぞれが望む世界で飛躍できるよう、教授力を磨いています。

（取材年月：2025年9月）

英語は暗記教科ではない！理系思考で『英語の本質』を論理的に解き明かす！

「なぜ？」の疑問に応え、生徒の労力を最小限にする理解重視の英語学習

前職は数学講師。英語の仕組みを徹底的に分析・体系化し、見えてきた『本質』とは

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