PROFESSIONAL
STORIES

Mybestpro Interview

吹奏楽で群馬を元気に。プロ奏者の楽団が各種イベントで演奏し吹奏楽指導をサポート

トランペット演奏と吹奏楽指導のプロ

佐復吉弘

佐復吉弘 さまたよしひろ
佐復吉弘 さまたよしひろ

#chapter1

プロフェッショナル吹奏楽団「サマーシンフォニックウインドオーケストラ前橋」を始動

 群馬県前橋市を拠点に関東一円で活動するトランペット奏者の佐復吉弘さんは、「サマーシンフォニックウインドオーケストラ前橋」の代表を務めています。

 「戦後から長年にわたり、鑑賞の場として移動音楽教室が開かれるなど群馬・前橋は音楽が盛んで、私の母校、前橋商業高校吹奏楽部は過去に全国大会で3年連続金賞を受賞しています。私自身を育ててくれた恩返しとして地域を元気にしたい思いで、市にゆかりのあるプロ奏者らに呼び掛け、プロフェッショナル吹奏楽団を結成しました」

 メンバーは、国内外のコンクール受賞者や音楽教室の講師ら35人で構成。発足した2019年の秋には、前橋出身の指揮者や作曲家も迎え、地域の音楽祭でコンサートを開催しました。

 「吹奏楽部に所属する地元の中高生たちも共演し、『憧れのプロと同じ舞台に立てて感激した』『先輩たちの素晴らしい演奏が聴けて感動した』と好評でした。コロナ禍の影響で取り組みはいったん休止状態になりましたが、本格的に始動しています」

 各メンバーは、コンサートをはじめ、イベントやショッピングモール、ブライダルシーン、懇親会、企業CMなど、オファーに応じて多彩なパフォーマンスを披露。個人、団体に向けた楽器指導、吹奏楽部の地域移行支援も担います。

 「群馬ではプロを目指す学生は多いものの、プロ楽団の卓越した演奏を聞く機会は少ないのが現状です。部活の予算も少ないため、プロから習う場面も多くはないと聞いています。吹奏楽をこよなく愛する有志とともに、体験や学びの場を届けたいと考えています」

#chapter2

子どもたちが楽器を続けられるよう「サマーウインドアンサンブルまえばし」も設立

 佐復さんは10歳の時にトランペットを始め、中学・高校では吹奏楽部に所属。東京音楽大学に進学し、卒業後はロックバンドのレコーディングに参加したり、コンサートオペラに出演したり、演奏家として充実した日々を送っています。

 並行して後進の指導にも力を入れ、音楽教室で講師を務め、子どもたちが楽しく学べるよう工夫しています。
 「白衣を着た『Dr.さまた』に扮し、手軽に手に入る小道具を使ってトランペットを教えるセミナーを定期的に実施しています。例えば、風車のおもちゃや水道のホースで腹式呼吸の練習をしたり、ボールを的に向かって投げて音を遠くに飛ばすイメージをつかんだり。子どもたちの反応も良くて、すぐに音を出せるようになるんですよ」

 遊び心を忘れずに生徒と向き合う佐復さんですが、危機感も持ち合わせていると言います。
 「群馬県の吹奏楽団体では演奏技術の衰退や人材の流出が進んでいます。楽器を奏でる喜びや合奏の魅力に出会った子どもたちが上達を目指し、実践する場が失われてしまうのは残念です」

 県内では、小学校に金管クラブがあるものの、進学先の中学校には吹奏楽部がない地域もあるそうで、子どもたちが楽器を続けられるよう「サマーウインドアンサンブルまえばし」というアマチュア楽団も設立しました。

 「小中学生を中心に、大人の方まで幅広い層で団員を募っており、年代を超えて集える吹奏楽団です。加えてプロとアマが交流し、技術を伝えることも目的としています」

佐復吉弘 さまたよしひろ

#chapter3

吹奏楽によるコミュニケーションで協調性や人間力を備えた人材を育成

 トランペッターとして、さらには楽団の主宰者、教室の講師として音楽の裾野を広げる佐復さん。自らの経験から吹奏楽は「異文化コミュニケーションの場」と語ります。

 「自分とは違うパートの人と息を合わせて音を調和させるために、お互いの役割を考えて意見を交換したり、他の人の楽器でも扱い方や運び方に気を使ったり、大人へと成長する過程で思考力や協調性を身に付けることができます。人間力が養われ、多様性を重んじる現代に合ったグローバルな人材を育めるのではと期待しています」

 吹奏楽が社会の課題解決にも役立つと考え、企業に楽器演奏を通じた研修を提案しているそうです。
 「息をしっかり吸って思い切り吹くことで、深呼吸のようにストレス解消につながります。また楽器を習うことで集中力が高まって仕事の質が上がり、表現を追求する中で感性が豊かになってアイデアを生む創造力が発揮され、生産性や業績が向上するきっかけになるのではないかと思っています」

 若者の育成にも力を注ぐ佐復さんは、「サマーシンフォニックウインドオーケストラ前橋」の団員であるプロ奏者たちが群馬県内各地域で活躍できる場を創出するため、コンサートなどへの出演・レッスン依頼も随時受け付けています。

 「群馬で育ったプレーヤーが地元で働き、楽団の演奏会を通じて地域に還元するサイクルを生み出していくことが目標で、私自身が団員たちのモデルケースとなれるように活動していきます。私たちにお手伝いできることがあれば、ぜひお声がけください」

(取材年月:2024年5月)

リンクをコピーしました

Profile

専門家プロフィール

佐復吉弘

トランペット演奏と吹奏楽指導のプロ

佐復吉弘プロ

トランペット奏者

サマーシンフォニックウインドオーケストラ前橋

吹奏楽を軸とした楽器の演奏やイベント出演や、子どもたちへの指導などを行うプロ吹奏楽団。吹奏楽部の地域移行支援も手掛ける。吹奏楽を通じた人材育成にも力を注ぐ。

\ 詳しいプロフィールやコラムをチェック /

掲載専門家について

マイベストプロ群馬に掲載されている専門家は、新聞社・放送局の広告審査基準に基づいた一定の基準を満たした方たちです。 審査基準は、業界における専門的な知識・技術を有していること、プロフェッショナルとして活動していること、適切な資格や許認可を取得していること、消費者に安心してご利用いただけるよう一定の信頼性・実績を有していること、 プロとしての倫理観・社会的責任を理解し、適切な行動ができることとし、人となり、仕事への考え方、取り組み方などをお聞きした上で、基準を満たした方のみを掲載しています。 インタビュー記事は、株式会社ファーストブランド・マイベストプロ事務局、または上毛新聞社が取材しています。[→審査基準

MYBESTPRO