クライアントの思考を整理し、目標達成へと導くコーチングのプロ藤田文枝

クライアントの思考を整理し、目標達成へと導くコーチングのプロ

藤田文枝

問い掛けを通して相手の中にある答えを引き出し、行動へと促す

　「社会の変化が激しく、将来の予測が不可能といわれる今日、ビジネスの現場でも、学習塾でも、求められるのは自ら考え行動できる人の育成です。どんなに相手に動いてほしいと思っても、本人が気付かない限り、動いてはくれません。コーチングを学び、問い掛けで気付きを促すことで、相手が自ら変化していくことを知った時は、まるで目からうろこが落ちるようでした」

　そう語るのは、群馬県太田市でクライアントの目標達成をコーチングで支援する「PLATZ」の代表・藤田文枝さん。対話を通して、クライアントの頭の中にある「もやもや」を言語化し、取るべき行動を明確にする思考整理トレーナーです。

　コーチングとは、対話を通じて相手の思考を引き出し、自発的な成長や目標達成を促すコミュニケーションスキル。「答えは相手の中にある」という原則に基づき、質問や傾聴によって、その人が自ら答えを導き出せるよう働きかけます。

　2014年から学習塾を開いてきた藤田さんは、コーチングに出合い、指導法を従来の「教える」スタイルから、生徒のやる気を引き出す「自立学習」へと転換しました。生徒の個性を尊重し、やりたいことの実現を後押しする「総合型・学校推薦型選抜」に対応したコースも新設。子どもの受験に不安を抱える保護者向けの教育相談会も実施するなど、教育の現場に積極的にコーチングを取り入れています。

　2025年夏には、コーチングについて学びたい人のために「銀座コーチングスクール」の群馬校も開校。セカンドステージやキャリアアップを目指す人、変化を求めている人など、多様な受講生が学びを深めています。

「聴く」「認める」「質問をする」を繰り返し、目標達成のための手段を探る

　「相手の話にしっかりと耳を傾け、相手を認めて安心感を与えることがコーチングの第一歩。さまざまな問い掛けを行い、信頼関係を築いた上で、相手が望む着地点を設定し、そこに到達するまでに何をすればよいのかを一緒に探っていきます」と藤田さん。

　かつてスポーツが得意だった高校生が、けがをして大きな挫折を味わいました。学業でも遅れを取り、父親から進学を諦めるように言われ、大学に進学して憧れの大会に出場する夢が絶たれる状況に陥っていました。そんな彼に母親はどんな言葉を掛けてよいのか分からず、藤田さんを訪ねてきたのでした。

　「まずは、彼の心の中にたまっている思いを整理してもらうために、現状にどのような不満を持っているのか、その背景を聴くことから始めました。『本当はどう思っているの？』と尋ねると、『進学して教員になりたいけれど、行ける大学がない』という答えが返ってきました。そこで、教員になるという目標を設定し、達成のためにどんな選択肢があるかを一緒に考えたのです」

　結果として第一志望の大学には届かなかったものの、教員になる道を見つけ、今では「子どもの個性を開花させる教員になりたい」と将来の夢を語っているとか。

　「『もうできない』と何度も弱音を吐いていましたが、そのたびに彼の話を受け止め、『でも、どうなりたいの？』と聞いて、未来の姿を想像させました。クライアントの状況に応じて、適切な言葉を選びかけることも、コーチに求められる大切なスキルです」

コーチングスクールのネットワークを活用し、コーチとしての資質やスキルを磨ける環境を整備

　「銀座コーチングスクール」では、職場や家庭などでコーチングを活用したい人から、プロのコーチとして独立したい人まで、それぞれのニーズに応えたカリキュラムをそろえています。

　コーチはクライアントの話を深く聴き、成長を支援する存在。だからこそ、質問力を磨く以上に、コーチ自身の在り方が重要だと藤田さんは強調します。

　「相手の可能性を信じる気持ちがなければ、導くことはできません。自分の感情や思考、価値観に左右されず、ありのままの相手を受け入れられる心（自己基盤）が備わって初めて、クライアントから信頼を得ることができます。そのため、当スクールでは、対応事例の研究やディスカッション、演習などを通して自己基盤や、「聴く」「認める」「質問する」のスキルを習得していきます」

　また、全国に40以上の拠点がある「銀座コーチングスクール」のネットワークを活用し、受講生や卒業生のコミュニティで、コーチングの練習相手を探せるのも同校の特長です。

　「コーチングでは、その人の感情や行動の根っこにある信念（コアビリーフ）を探していきます。それが分かれば、新たな選択肢を見つけて行動に移すことができます。どんなに願っていても、自分が考えて行動したことでなければ実現はあり得ません。思考が変われば、物の見方も変わり、人生が開けます。コーチングでその第一歩を踏み出しませんか」

（取材年月：2025年10月）

相手に気付きを与え、思考を整理するコーチングでビジネスや受験をサポート

問い掛けを通して相手の中にある答えを引き出し、行動へと促す

「聴く」「認める」「質問をする」を繰り返し、目標達成のための手段を探る

コーチングスクールのネットワークを活用し、コーチとしての資質やスキルを磨ける環境を整備

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