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食事や晩酌のお供にして幸せなひと時を過ごしてもらうため、奥深い日本酒の魅力を発信

楽しみ方や魅力を伝え、日本酒の普及に尽力するプロ

石関克則

石関克則 いしぜきかつのり
石関克則 いしぜきかつのり

#chapter1

純米酒専門バーを運営し、100種類以上の銘柄を提供

 「起源は古く、神さまにもささげられる日本酒は国酒の一つであり、米の磨き具合や麹米や麹菌などによって趣が異なる奥深いお酒です。『酔いが回りやすい』『次の日に残りやすい』悪いイメージの誤解を解き、辛口、甘口といったお好みに合わせた選び方、上手な飲み方をお伝えします」

 そう話すのは、群馬県高崎市で純米酒専門バー「JapaneseBarKATSU」を営む石関克則さん。店内に100種類以上の銘柄を用意。「日本酒談義をしながら飲めるカウンターをメインにグループでテーブル、気軽に飲める立ち飲みエリアも併設しており、飲んで美味しいと思ったお酒を買うこともできる、あらゆるお客さまのニーズに応える日本酒専門店です。初心者~ベテランまでどなたでもご利用いただけます」

 「純米酒にこだわっているのは、うまみとコクが強い濃醇な味わいを体験してほしいから。サトウキビなどを原料とする醸造アルコールを使わずに、水と米、米こうじだけで醸しているんですよ」

 石関さんは、数万種の日本酒を試してきた豊富な知識をもとに、来店客にお酒の特長を丁寧に説明しています。

 「同じ蔵で造られたお酒でも、米の品種や酵母が異なると味も変わります。山田錦や雄町など、それぞれの違いを飲み比べてほしいですね」

 数ある銘柄のなかでも、「生酛(きもと)造り」と呼ばれる伝統的な製法で醸された貴重な品をぜひ味わってほしいと言います。

 「蒸した米をすりつぶして液体に近い状態にし、乳酸菌が育ちやすい状態にして蔵に住み着いている酵母で発酵させます。人工の乳酸を添加する一般的な製法と比べて手間と時間がかかりますが、丹精込めた仕上がりは格別です。生酛造りと似た製法の『山廃(やまはい)仕込み』もお勧めで、どちらも自然本来の力強さや野性味をご堪能いただけます」

#chapter2

和らぎ水と一緒にゆったりとたしなみ、人肌、ぬる燗などお燗の魅力も紹介

 「日本酒は酔いやすいイメージをお持ちの方が多いですが、お酒と水を1対1の割合で交互に飲むのが正しいたしなみ方です。『和らぎ水』といって、ゆっくりゆったりいただくことを日本酒造組合中央会も推奨しています。他のアルコール類を飲む際も同様で、深酔いを軽減できます」

 「近年は冷酒ブームですが、日本酒に適した飲み方は実はお燗(かん)です。温かいお酒は消化が良く、ポカポカと温泉のようにリラックス感も得られます。刺し身など魚料理の味を引き立ててくれるのもお燗なんですよ」

 一口にお燗と言っても、30度「日向燗」35度の「人肌燗」、40度の「ぬる燗」、45度の「普通燗」50度の「熱燗」55度以上の「飛び切り燗」など5度刻みで呼び名があります。この温度差はお酒の種類によって違い、なめらかだったり切れがあったり、温度帯によって引き出される風味や香りもまた「おつ」だと語る石関さん。

 開業前はJR職員で25年にわたり勤務し、当時好きだった芋焼酎のバーを開こうと43歳で脱サラしたのを機に、日本酒に目覚めます。

 「悪酔いした経験から日本酒に苦手意識があり、長らく口にしていませんでした。開店準備を進めていたあるとき、お正月用の商品を選びに酒店に入った瞬間、1本の日本酒が目に留まりました。ラベルのデザインもすてきで輝いて見えたんです」

 購入して自宅で妻と一緒に飲んだところ、軽快で爽やかな飲み口に驚き、魅了されたのが、静岡県焼津市にある老舗の酒蔵で造られた逸品でした。

石関克則 いしぜきかつのり

#chapter3

自宅用や贈答用に購入できるように、バーの2階では純米酒専門の酒店も運営

 焼酎よりも日本酒に興味が向き、さまざまな銘柄を買い求めた石関さん。2000年初め頃の当時は日本酒の消費量が落ち込み、酒蔵の数も減っている状況でした。

 「需要が減っている理由をひも解きたくて、いろいろと調べました。データや文献を通じて、特定の銘柄に人気が集中し、日本各地に優れた地酒があるのに知られていないことも分かりました。私と同じように悪酔いしたことから良い印象が持てず、敬遠していることなども愛好が減っている原因につながっていると考えました」

 伝統ある国酒の低迷にやるせなさを感じ、「日本酒を復活させたい」と強く思った石関さんは、2011年9月に開業。直後の「全国きき酒選手権」で群馬県代表として団体初優勝したことも話題を呼び、広く知られる存在になりました。

 バーの2階では純米酒専門の酒店を経営し、自宅用や贈答用に購入できるほか、JR高崎駅ビル内でも駅の利用客に向けた日本酒バーChoinomiKATSU(チョイノミカツ)を運営しています。

 「食事のお供や宵のひと時に日本酒を取り入れて、多くの人に幸せな時間を過ごしてほしいと願っています。晩酌が楽しみになると仕事の励みにもなるでしょう。おいしいお酒とおいしいおつまみでしっぽりと1日の疲れを癒やしたり、友人や同寮と語り合ったり、そんなライフスタイルを提案していきたいですね」

(取材年月:2024年12月)

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楽しみ方や魅力を伝え、日本酒の普及に尽力するプロ

石関克則プロ

純米酒専門バー

JapaneseBarKATSU

純米酒専門バーを運営。100種類以上の銘柄を提供しています。貴重な「生酛(きもと)造り」「山廃(やまはい)造り」の商品も。2階の純米酒専門酒店では自宅用、贈答用も販売しています。

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