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パイプの曲げ、プレス加工、溶接を手掛け70年以上。品質にこだわり1本からでも受注可能

熟練職人の技で顧客の要望を形にするパイプ加工のプロ

石川英利

石川英利 いしかわひでとし
石川英利 いしかわひでとし

#chapter1

ミドルサイズのパイプ加工を得意とし、自動車・建設機械メーカーなどに納入

 「パイプの曲げ、プレス、溶接、検査を一貫して手掛け、1本からでも喜んで承ります」と語るのは、群馬県太田市の「石川工業」の3代目当主・石川英利さん。ミドルサイズと呼ばれる直径が10~30㎜程度、肉厚は1~3㎜程度の加工を得意とし、主に自動車や建設機械メーカーへ納入しています。

 「ご発注が1本でも1000本でも変わりません。お客さまにとって大切な製品ですから一つ一つ入念に作り込み、工程ごとにチェックして確実に次工程に流します。高い精度が求められる自動車部品に携わる中で培ったノウハウで、品質維持を徹底しています」

 石川さんのもとでは、明確な図面が用意されていないときも簡単なラフ図からヒアリングを行い、顧客が望む形に仕上げるように、努力や工夫を行います。「わが社は70年以上の歴史を持ち、オリジナルの加工機械も数多く備えている上、職人歴10年以上のベテランも複数在籍しています。テクノロジーと熟練の技を駆使し、唯一無二の製品を作り出します」

 時には、サイズが大きいなど要件が難しいケースもあるそうですが、むげに断ることはしません。「自社で無理なら協力会社に打診します。あるいは曲げ加工は外注し、プレスや溶接は当方で行うこともあります。お客さまのために私どもにできることは全てやり切ります」

 顧客からは「小ロットや試作品も請け負ってくれる」「NOとは言わず、『この部分はできないけれど、ここはできます』と明示して手はずを整えてくれる」「一度相談を投げかければ、何らかのリアクションがある」といった声が寄せられます。

#chapter2

自動車部品メーカーを経て家業へ。2013年にバトンを受け継ぎ3代目に就任

 石川さんは1975年に太田市で生まれました。大学を卒業後、東京の自動車部品メーカーに就職。約7年の勤務を経て家業へ入りました。

 「幼い頃から祖父や父に、『将来はおまえが家を継ぐんだぞ』と言われて育ちました。正直にいうと進路が決められるのは嫌でしたが、地元を離れ会社勤めをしてみると、長きにわたり事業を営む祖父や父のすごさがよく分かりました。日々懸命に働く家族を助けたいと30歳を前に戻ってきたのです」

 次期社長候補として入社した石川さん。自社の内実について隅々まで把握すべく、現場作業から始まり事務方まで一通りの業務を経験し、2013年に父親からバトンを受け継ぎます。

 「父とはよく意見が対立しましたが、それも会社を思えばこそでした。私が社長になるに当たって、自分なりに『こうしたい』というビジョンを伝えるため話し合いの場を設けたところ、『それならやってみろ』と私に託してくれたのです」

 いざ代表に就いた石川さんですが、「就任当初はとても大変でした」と振り返ります。2008年のリーマンショックの影響で付き合いがあった取引先の75%がなくなり、長引く不況のなか新規開拓に奔走したと言います。

 「事業の存続が危ぶまれる局面ではありましたが、諦めたくはありません。私はかなりのポジティブ人間であり、できない理由を考えるより、一つでもできる理由を見つけて全力で走り続けるタイプ。数は減りましたが、いただいた依頼をしっかりとこなし、信頼の構築に努めてきました」

#chapter3

住宅、高齢者・温浴施設などの階段やスロープに用いる手すりも製作

 職人らを率い、「パイプ加工において日本一」を目指す石川さん。コスト面も含め、顧客のニーズをくみ取り細やかに提案することで実績を積んできました。

 「柔軟な対応を常に心掛けています。当社の主要な取引先である自動車業界は、IoT化、自動化、電動化、カーシェアリングが進み“CASE”と呼ばれる大変革期を迎えています。搭載する部品が変わり、進化を続けていくでしょう。私たちも、環境の変化に適応していかねばなりません」

 培った技術を応用し、個人宅や高齢者・温浴施設などの階段やスロープに設置する手すりの製作にも取り組んでいます。
「規格品では合わずお困りの方に向けて長さなどを細かく調整し、ジャストフィットするサイズを提供したいと思います。今後は協業いただける工務店さんを募集したいです」

 さらに、地域貢献にも注力。地元の太田市は、大手自動車メーカーが製造拠点を構え、自動車の街として栄えてきましたが、近年はスポーツの振興にも力を入れています。

 「例えば、スポーツ大会への協賛を考えています。起伏に富んだ地形を生かし、太田市で毎年開催しているトレイルランニングの大会には、2015年の第1回から協力しています」

 1944年に創業した家業を守りながら、活動の幅を広げる石川さん。「お客さまの要望に応じてパイプをオーダーメードすることで“ものづくり”を支え、ご自宅や施設の設備を整えることで、地域の皆さまのお役に立ちたいですね」と熱意を見せます。

(取材年月:2024年8月)

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専門家プロフィール

石川英利

熟練職人の技で顧客の要望を形にするパイプ加工のプロ

石川英利プロ

製造業

石川工業株式会社

10~30㎜のパイプの加工を得意とする。オリジナルの加工機械を保有し、職人歴10年以上のベテランも複数名在籍。機械の力と匠の技で唯一無二の製品を作り出す。大ロットはもちろん、パイプ1本の加工も歓迎。

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