PROFESSIONAL
STORIES

Mybestpro Interview

特許取得の清掃システム『グリピカ®』で、厨房の衛生管理にかかる手間・時間・コストを削減

特許排水設備清掃のプロ

深町五一

深町五一 ふかまちごいち

#chapter1

グリストラップの廃油を環境にやさしい石鹸水に変える『石鹸化工法®』を開発

 厨房から出る汚水・生ごみ・油分を下水道などに流す前に一時的に貯留し、水と油脂を分離する『グリストラップ』。飲食店をはじめ、保育園や病院、老健施設、コンビニエンスストアなどで導入されています。

 「自治体は定期清掃を指導していますが、汚泥、動植物性残渣、廃油などがたまり酸化した汚れを落とすのは大変です。環境負荷や廃棄物処理・運搬コスト、排水処理設備の管理コスト、何より経営者・従業員さまの手間を軽減し、調理やサービスに集中してもらうため、グリストラップを簡単かつスピーディーに清掃するシステム『グリピカ®』をつくりました」

 そう話すのは、『日本エコシス』の代表・深町五一さん。独自の『石鹸化工法®』を開発し、特許を取得。専用の石鹸化ケミカル剤『グリピカさらら』を廃油に混ぜて加水分解を起こし、石鹸水に変化させます。

 「排出された石鹸水は微生物の働きにより分解され、自然にかえります。繰り返し使用することで油汚れを軟化して徐々に除去し、排水管の詰まりも予防します」

 また、槽内を清掃する機械『グリピカロボ®』はハンディータイプ。ビルの高層階や広いショッピングモールなどでも取り扱いしやすく、少ない人数で効率的に作業できます。

 「グリストラップ内の汚水を『グリピカ®』で洗浄した後の石鹸水は環境負荷が低く、下水道法と水質汚濁防止法の基準を満たすことができます」

#chapter2

49歳から清掃業に挑戦。国内外100社以上が『グリピカ®』の代理店に

 2000年、飲食チェーンで店長を務めていた49歳の深町さんは失職。失意の中で今後を思案し「社会に必要で、誰もやりたがらない仕事をしよう」と決意。飲食店の経験と、かつて祖母が石鹸で洗濯していた思い出から、『グリピカ®』のアイデアを思いつきます。

 「アルバイトで生計を立て、4年かけて『石鹸化工法®』システムを開発しましたが、模造品が出たことが何度かあり、弁理士に依頼しました。数年がかりで厳しい審査を通過し、2012年に特許を取得できました」

 群馬県前橋市で創業。グリストラップ清掃を請け負うほか、メンテナンス会社、清掃業者など100社以上の代理店を擁します。国内では北海道から九州、フィリピンなど海外にもネットワークは広がりつつあります。

 「失業してから現在まで、多くの方々の支えと協力を頂いて今日まで来ました。原点はやはり現場です。廃油や汚水が石鹸水に変わると鼻をつく臭いが消え、軽く擦るだけで目に見えてきれいになる。お客さまに立ち会っていただくと感動してくださる。これが一番うれしいですね」

 しかし「仕事はあまり好きになっちゃダメ。半分は嫌いなくらいがいい。心から満足してしまうと次の展開が生まれないから」と提言します。

 「自分と同じように苦労している人がいると思うと、解決に向けた手だてを模索しますよね。例えば清掃業は慢性的な人手不足ですが、今より腕力が要らず、臭いが少なく、短時間でできる仕事にすれば、女性も気軽に働きやすい。多角的に物事を考えるよう心掛け、常に改良点を探しています」

#chapter3

水環境を守るため、清掃の自動化にも取り組み『グリピカ®』の普及を目指す

 深町さんらは清掃の自動化に注力。機械のオペレーションをAI(人工知能)が担うシステムの開発を目指しています。

 「自動化にすると仕事が無くなるという人もいますが、私はそうは思いません。グリストラップは国内だけで約100万基あると言われ、現場の担い手が足りない状況です。少子高齢化による労働人口の減少を鑑みると、むしろ早急に省力化・省人化を進めなければニーズに応えられなくなると予測しています」

 代理店に向けた研修制度の拡充にも力を入れ、実務の精度と職務に対するモチベーションを高めていきたいと言います。

 「清掃のレベルを上げるには、『廃油汚染から水環境を守る』という基本方針を共有し、浸透させることが大事。1週間の本社研修を通して、1社ごとにグリストラップの専門家を1人ずつ育てていくことを目標に、プログラム構築に励んでいます。将来的には、群馬県内に研修センターを設立することも視野に入れています」
 
 店舗や施設の運営にあたり、事業者の責任として周辺環境に配慮する姿勢が求められていることにも言及します。

 「本管下水の普及により、今後は最終処理場への負荷が増加すると思われます。各飲食店のグリストラップを石鹸化工法で清掃することで、この問題に貢献したいと考えています。また最近はゲリラ豪雨で下水管があふれる例が散見されますが、日頃から汚水の浄化に努めれば、健康被害などのリスク低減にもつながります。『グリピカ®』を活用した衛生管理を代理店さまと手を携えて普及することで、地域に笑顔の輪が広がると信じています」

(取材年月:2024年8月)

リンクをコピーしました

Profile

専門家プロフィール

深町五一

特許排水設備清掃のプロ

深町五一プロ

グリストラップ清掃システムメーカー

株式会社日本エコシス

廃油を環境負荷の少ない石鹸水に変える『石鹸化工法®』で、厨房排水設備を時短・簡単・きれいに清掃。生分解性に優れた石鹸水は環境にやさしく、排水管の閉塞を抑え、排水管の清掃コストを軽減することが可能です。

\ 詳しいプロフィールやコラムをチェック /

掲載専門家について

マイベストプロ群馬に掲載されている専門家は、新聞社・放送局の広告審査基準に基づいた一定の基準を満たした方たちです。 審査基準は、業界における専門的な知識・技術を有していること、プロフェッショナルとして活動していること、適切な資格や許認可を取得していること、消費者に安心してご利用いただけるよう一定の信頼性・実績を有していること、 プロとしての倫理観・社会的責任を理解し、適切な行動ができることとし、人となり、仕事への考え方、取り組み方などをお聞きした上で、基準を満たした方のみを掲載しています。 インタビュー記事は、株式会社ファーストブランド・マイベストプロ事務局、または上毛新聞社が取材しています。[→審査基準

MYBESTPRO