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土づくりや肥料にこだわり、イチゴ本来のうまみやコク、甘さを引き出した6品種を展開

イチゴが本来持つうまみやコク、甘さを追及するプロ

山田飛鳥

山田飛鳥 やまだあすか
山田飛鳥 やまだあすか

#chapter1

群馬生まれの「やよいひめ」、珍しさが人気の「ななか」「ジューシー」を栽培

 群馬県前橋市で、イチゴ農園「あすかファーム」を営む山田飛鳥さん。テニスコート約7面に相当する19aのビニールハウスで、年間約13tのイチゴを育てています。

 「根を深く張り、強い苗にするため、地面に直接植え付ける土耕栽培にこだわっています。養分や水分をバランスよく含んだ土に整えることで、イチゴが本来持つうまみやコク、甘さを引き出しています」

 山田さんは現在、6品種を栽培。群馬県生まれの「やよいひめ」、生産者が少なく珍しい逸品として人気を集める「ななか」「ジューシー」、「あまおとめ」「あすかルビー」「恋みのり」です。

 「当園では、枝葉が落ちて腐食・堆積し、栄養分が豊富な山の土に近づける土づくりをしています。土壌の中にすむ、多様な微生物の働きにより病原菌を抑制する力などを養い、できる限り農薬の使用回数を減らしています」

 イチゴに群れる害虫を防ぐため液体肥料を使用して、3~4日に1回、機械を使って苗を洗浄。大地の恵みを吸収できるように雑菌などを洗い流し、健康な状態を保ちます。

 「手間をかけて丁寧に手入れし、生育を促すことで大きくて実のしまった粒をかなえています。詳しくは企業秘密で言えませんが、味・香りともに豊かな果実にするため肥料を厳選し、これだというものを与えています」
 
 出荷シーズンは、毎年12月上旬から5月末まで。農園の直売所や付近のスーパーのほか、自社のホームページやECサイトで展開しています。

 「おかげさまでECサイトを通じて全国からご注文を頂戴します。当園の名前も知れ渡り、前橋市のふるさと納税の返礼品にも登録されています」

#chapter2

農林大学校卒業後、いちご農家で2年間経験を積み「あすかファーム」を創業

 山田さんは1997年に前橋市で生まれました。県立高崎北高校を経て群馬県立農林大学校に進学し、農業の基礎を学びます。卒業後は、前橋市にあるイチゴ農園「松井ファーム」で研修を受けました。

 「母方の祖父が農業をしていたので、私も農家になろうと考えていました。前橋市では、石倉根深葱(いしくらねぶかねぎ)や、上泉理想大根(かみいずみりそうだいこん)といった伝統野菜の生産が盛んですが、野菜があまり好きではなく。何かいい作物はないかと模索する中で、果物なら差別化が図れるのではと思い至り、需要の高さも見込んでイチゴ農家になる道を選びました」

 2年間の研修で実践的な栽培技術を習得。2020年5月に「あすかファーム」を立ち上げます。

 「『松井ファーム』の代表のもとへ、ある地主さんから『空いている農地とビニールハウスを使ってくれませんか』と打診がありました。代表が親切にも、私が使えるよう話を通してくださり、独立することになったのです」

 開業に向けて周到に準備していたわけではありませんでしたが、借り受けた土地や設備は少し手を入れればすぐに使えるような状態でした。山田さんはさっそく作付けをスタートしますが、コロナ禍に見舞われます。

 「店頭や近隣の店で販売していましたが、外出を控える人が多く、売り上げが伸び悩んでいました。ご自宅にいながら購入できるよう、ECサイトで通販を始めたことが功を奏し、徐々にお客さまを獲得してリピーターも増えていきました」

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#chapter3

4種類食べ比べセットなどを用意。クリスマスやお正月のデザート、贈り物に

 「やよいひめ」は大粒でフルーティー。「ななか」は味が濃く、コーヒーと合わせるのもおすすめ。「ジューシー」はハーブのように香り高く、スイート。「あまおとめ」は糖度が高く、酸味は少なめ。「あすかルビー」は果肉が少し固めで果汁たっぷり。「恋みのり」は程よい甘味と酸味でアールグレイとマッチします。

 山田さんのもとでは、4パックや2パック、1パックなどを用意し、中でも4種類食べ比べセットが好評だと言います。

 「クリスマスやお正月など、ご友人やご家族が集う場でデザートとしてお召し上がりください。また、お歳暮やお年賀などの贈り物としてもご活用ください」

 上質な品を求める人に自分の味を届けるため、日々観察と改良を重ね、環境づくりから出荷に至るまで妥協を許さない山田さん。「季節や天候によって微妙に変わる味わいを、どう安定して最高の状態に仕上げるか。品質を探求するのが楽しいのですね」と笑顔を見せます。

 「これまでたくさんのイチゴを食べてきましたが、自分が一番おいしいと思える味を常に追い求めています。理想は、たった数粒で満足できるほど濃厚でコクのある味です」

 将来的には、世界各国の一流ホテルのラウンジで提供されるような優れた商品にすることを展望。すでに国内の有名ホテルで採用実績もあります。

 「口に含んだ瞬間だけでなく、芳醇な余韻を堪能していただくのが目標です。おもてなし品として喜んでもらえるよう、さらなる高みを目指します」

(取材年月:2025年10月)

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イチゴが本来持つうまみやコク、甘さを追及するプロ

山田飛鳥プロ

イチゴ農家

あすかファーム

19aの農地で6種類のイチゴを栽培。濃厚で甘くコクのあるイチゴを栽培するために、あえて土の力を生かす土耕栽培にこだわり、選び抜いた肥料で苗を丁寧に育て、ひと粒ひと粒に大地の恵みを凝縮させています。

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