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速く乾いて長く持つ!“ポリウレア”による防水・防食施工

事故を防ぎ、建造物を長持ちさせる、防水・防食のスペシャリスト

池田利昭

事故を防ぎ、建造物を長持ちさせる、防水・防食のスペシャリスト
ポリウレアのコンクリートへの施工風景

#chapter1

約20年前に開発された新しい技術 “ポリウレア”

 一般的に防水・防食施工といえばウレタンやアスファルトを使ったものがほとんどでしょう。そんな中、「当社では“ポリウレア”による防水・防食施工を行っています」と教えてくれたのは、有限会社スタンスの代表取締役 池田利昭さん。スタンスでは、十数年前から防水・防食の施工を事業として請け負っており、数年前にポリウレアに出会ったそうです。「ポリウレアは、イソシアネートとポリアミンの化学反応で生成されるウレア結合を基本とした樹脂化合物です。もともと海外の軍事用に開発されていた技術が、約20年ほど前から防水・防食の材料としても使われるようになりました」

 ポリウレアによる施工のメリットは3つあると池田さん、「まずは塗布後すぐに硬化するため、施工時間が大幅に短縮されることです」。具体的には、スプレーで塗布した後、数十秒~数分後には手で触れられるくらいに硬化。数時間後には、歩行ができるようになるそうです。残りのメリットについては「優れた強度と耐久性です。ポリウレアは400%(ST)という高い伸び率を持ち、従来の硬質ライニングではなし得なかった基材の形状変化に追従。特にコンクリートには高い効力を発揮します。さらにJIS規格や塗料摩耗試験において、他の材料と比較しても格段に高い耐摩耗性を記録。その結果、長期間にわたり屋外でも安定した強度を保つことができるのです」。実際、ポリウレアを塗布した卵とスチールのブロックを見せてもらいましたが、言われなければもとの素材が分からないくらいの硬さがありました。(YouTubeで「ポリウレア」と検索しても、多くの動画を見ることができます)

#chapter2

全国でも数少ない、“ポリウレア”の施工会社

 スタンスは、飲食店などの店舗設計から施工まで行う会社として設立。20年以上にわたり100店舗以上の施工を行ってきましたが、いつも防水・防食には悩まされていたといいます。「やはり乾くまでに時間が掛かるので、それだけ工期が長引いてしまいます。それを少しでも短縮できないかというのは、長年の課題でした」。そんな時に、出会ったのが“ポリウレア”。メーカーの総代理店を訪れ、自分たちでその効果を体験したことで、「これは使う価値がある!」とすぐに取り入れることにしたそうです。

 現在ポリウレア材の取り扱いメーカーは海外に数社ありますが、日本国内ではまだまだ利用している施工会社は少ないといいます。「ポリウレアに課題があるとすれば、コストの面だと思います。これまでの一般的な防水・防食施工に比べて少し割高なので、簡単にこれが一番いいとも言い切れません。ただ、強度や耐久性を考えれば十分にメリットはあります。当社の事例でも、あるフィルムメーカーさまの工場で薬品による腐食で何度も液漏れを起こしていた水槽がありましたが、ポリウレアで施工をして以来、まったく液漏れを起こさなくなったと、たいへん喜んでいただいています」

ポリウレアのコンクリートへの施工風景

#chapter3

排水処理ピットなどでも、その効力を発揮する“ポリウレア”

 日本国内ではまだ施工会社の少ないポリウレアですが、その効果には十分な実績があります。例えば、東日本大震災の際に破損した福島第一原発の汚水タンクと防液堤の修繕にもポリウレアが使われています。「ポリウレアは、建物の屋上や飲食店の厨房、駐車場などはもちろん、さきほどのフィルムメーカーさまのような薬品を利用されている工場や製造業の排水処理の地下ピットなど、さまざまな場面に有効であると自信をもっていえます。さらにその高い強度と耐久性から、防水・防食以外にもブロック塀の倒壊防止やトンネルの剥落防止など、事故を防ぐという観点からも注目されています」

 地下の排水ピットなどでは、工場からの汚水がコンクリ―トや鉄筋を溶かすことが、環境破壊にもつながると、たびたび問題視されています。その点ポリウレアはそれ自体に有害な物質が含まれていないというだけでなく、耐久性が高いため、長期的には吹き替え工事の必要がほとんどなくなり、産業廃棄物が軽減されるなど、さまざまな面でもエコにつながっていきます。「このポリウレアを使った防水・防食施工を薦めることで、少しでも社会や環境に役立てば」とも話してくれた池田さん。新しいものをつくるよりも、今あるものを直しながら使っていくことが求められる時代。そしてそれがさらにエコにつながるのであればなおさら、防水・防食の際にはポリウレアを検討してみる価値はありそうです。

(取材年月:2020年8月)

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専門家プロフィール

池田利昭

事故を防ぎ、建造物を長持ちさせる、防水・防食のスペシャリスト

池田利昭プロ

建築工事業

有限会社スタンス

20年ほど前に海外にて開発された「ポリウレア」という材料を使います。ポリウレアは、20~30秒で硬化、1時間後には歩行可能。耐久性も高いため、メンテナンスコストの削減にもつながります。

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