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廃棄物処理施設の環境アセスメントを、環境保全と循環型社会の構築に貢献

循環型社会に貢献する環境アセスメントのプロ

山本哲朗

山本哲朗 やまもとてつろう

#chapter1

技術士の資格と豊富な実務経験を生かし、専門的見地から環境への影響を予測

 廃棄物処理施設の建設にあたって実施される生活環境影響調査(環境アセスメント)は、公害問題に対処すべく定められた制度です。住民の不安感を払しょくするために重要なプロセスで、施設に対する理解を得ることにもつながります。

 「専門的見地から環境アセスメントを進め、生活環境の保全と循環型社会の構築に貢献します」と話すのは、福岡県久留米市の「Morten(モートン)技術士事務所」代表の山本哲朗さん。廃棄物処理施設の設置・変更における環境リスクの調査、予測・評価に従事し、適切に運用する施策を立てています。

 「環境アセスメントは、処理能力が日量5トンを超える破砕施設や、時間当たり200キロ以上を処理する焼却場など、施設の種類や規模に応じて義務付けられています。一般にはなじみが薄い手続きですが、安全性を担保しなければ、ごみ処理などの事業ができなくなってしまうのです」

 科学技術に関する高度な専門知識を持ち、技術士の資格を保有。建設コンサルタント会社などで積んだ豊富な実務経験を生かし、施設が稼働すれば周囲にどのような影響を及ぼすかを分析。山本さんが作成する生活環境影響調査書は、提出先の自治体担当者からも「分かりやすい」と評判です。

 調査は環境省の指針に基づいて行い、必要十分な範囲とすることで、クライアントの費用負担が膨らまないように注意を払っています。
 「全国からご用命いただきますが、環境アセスメントについて詳しくないお客さまがほとんどです。概要について丁寧に説明しますので、まずはご相談いただければと思います」

#chapter2

公共事業などのアセスメントに従事し、スキルを生かすために事務所を開設

 大学時代は土木工学を学び、生物環境の研究室に所属していた山本さんは、教授の推薦で大手建設コンサルタント会社に就職。全国各地に赴任し、公共事業のアセスメントに携わりました。

 その後、故郷の福岡県に戻り、久留米市の環境調査会社に勤務。環境アセスメントを一手に引き受けていましたが、転機が訪れます。

 「会社の方針で難易度の高いアセス業務から撤退し、簡易な環境調査に事業を集中することになったのです。培ったスキルや技術士の資格を生かして案件を引き継ぎたいと思い、勤務先の許可をもらって2020年に事務所を立ち上げました。しばらくは兼業でしたが、アセス業務が忙しくなったため2022年に退職し、独立しました」

 山本さんは依頼を受けると、現地視察や資料調査で学校や病院、住居などの位置を把握し、事業計画に即して調査項目を選定。都道府県や市などの行政機関と意見を交わし、扱う廃棄物や立地特性に応じて騒音や振動、水質、悪臭、大気質といった項目について調査計画を策定します。現地調査を経て周辺地域への影響を予測・評価し、生活環境影響調査書として取りまとめます。

 「結果を踏まえて、壁を高くするなどの環境保全対策を検討し、提案いたします。手だてを講じる上では事業の利便性が保てるように考慮します。例えば、騒音の基準をクリアするために破砕機の場所を移動させたものの、動線が悪くなってしまってはいけませんからね。また住民説明会にも立ち会い、お客さまが地域と共存できるよう伴走支援します」

#chapter3

SDGsでリサイクルの重要性が高まる中、破砕施設のアセスメントに注力

 短くて1年、焼却場や最終処分場などの大規模な施設は3年以上かかることもある環境アセスメント。時間や手間を費やす仕事ですが、それだけにやりがいを感じると山本さんは語ります。

 「廃棄物処理施設の種類や規模、地域の状況により調査項目や頻度は変わりますが、一つ一つを着実にこなし、住民説明会を無事に終えたときの達成感は大きいですね。自治体の担当者ともコミュニケーションを重ねることで、事業性を確保しつつ地元住民の安心感を醸成するという目的で協力関係を築いていけるのも、この仕事のおもしろいところです」

 顧客からの信頼も厚く、年末のあいさつ回りで「来年もよろしくお願いします」と伝えると、得意先から「来年と言わず、孫の代までよろしく」と返されることもあるとか。県庁や市役所でも「山本さんのアセスメントなら心配ない」と言われるそうです。

 SDGs(持続可能な開発目標)の達成が世界的な課題として注目される中、廃棄物のリサイクルや処理を担う施設の重要度は年々増しています。
 「特にコロナ禍以降は、経済活動の活性化と相まって需要が伸びています。海や川、山や森を守るためにも、施設の新設や設備の更新を要望されるお客さまもいらっしゃいます」

 環境に配慮する意識が高まる時流を鑑み、今後は破砕施設を建設する際の環境アセスメントに力を入れたいと意気込みます。
 「産業や暮らしを営む上で重要な役割を務める事業者さまが社会的責任を果たせるよう、サポートしていきたいですね」

(取材年月:2024年11月)

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循環型社会に貢献する環境アセスメントのプロ

山本哲朗プロ

技術士

Morten技術士事務所

技術士の資格と豊富な実務経験を生かして環境への影響を予測し、生活環境影響調査書を作成します。費用負担を考慮し、必要十分な調査を実施。住民説明会にも立ち会い、事業者を伴走支援します。

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