暮らしにプラスアルファの笑顔を届ける食肉卸のプロ坂本慶悟

暮らしにプラスアルファの笑顔を届ける食肉卸のプロ

坂本慶悟

九州産の黒毛和牛など各種肉類を扱い、食の専門家としてコンサルにも注力

　「暮らしに“Plusの喜びと感動”を」をモットーに、福岡市内をメインに精肉や食料品の卸売りを手掛ける「MEAT　PLUS」代表の坂本慶悟さん。

　店舗に併設する食肉加工場には、目利きを持つ「お肉のコンシェルジュ」が在籍。九州各地の黒毛和牛をはじめ、各種肉類を取りそろえ、小売店やプロの料理人のリクエストに応じて、少量からオーダーカットしています。

　「提携する生産者からまとまった量を仕入れることで、常時安定した品質・供給量を確保しています。週末は一般のお客さまにも卸売価格で販売し、店頭に並んだ希少部位やカット前のブロック肉などから“お肉の展示場”としても親しんでいただいております」

　坂本さんは食の専門家の立場から、カフェなどの飲食店オーナー、食品関連の企業に向けたコンサルティングにも注力しています。

　「食材を調達したりオリジナル品を開発したり、製造を請け負うOEMも小ロットから引き受けます。新規出店の際はコンセプトやメニューの策定といったプランニングから参加し、厨房機器や衛生管理、内装に至るまでトータルにプロデュースします」

　また、自社商品を全国に向けてWEB販売してきたノウハウを生かし、企業が顧客向けにギフトとして進呈する商品の製造・販売・発送代行も行っています。

　「例えば成約の際の特典やキャンペーンの賞品、季節のごあいさつなどに、肉や加工品の豊富なラインアップから予算や数量に合わせてチョイスし、先方にお届けします。“お抱えのお肉屋さん”として、煩雑な作業を一括管理することで企業活動に貢献します」

事業に広がりをもたらしたのは、日々の出会いを大切にする独自のスタイル

　坂本さんは、スーパー内の5坪のスペースで小売業からスタート。10年足らずの間に仲卸業として販路を広げつつ、生鮮食品専門の直営スーパー「MEAT PLUS」を構えるまでに成長しました。

　一貫していたのは、ただ拡大路線を目指すのではない独自のスタイル。
　「スタッフは20代30代が中心。チャットツール、SNSによる受発注を導入するなど、業務の効率化を推進しています。タイムロスを抑えるのはもちろん、従業員にとっても、データ管理がしやすく担当者を固定する必要がないので、自分なりの働き方を優先できます」

　また経験に関係なく社内プレゼンの機会を設け「こんな鍋セットがあったら」「一押しのスイーツはコレ」という声から商品化したものも多数。「お店を開業したいいう意欲的な提案があれば全力で応援したい」と言うほどの柔軟性が、事業の広がりをもたらしてきたようです。

　取引先との向き合い方も同じく、寄せられる相談がたとえ専門外であっても親身に耳を傾け、解決に向けて奔走するうち、異業種の事業者とも利害を超えた関係性が築かれていったと言います。
　　
　「一見、本業に関係なくても、私個人や会社としてできることを模索する中で、結果的にビジネスにつながった例もあります。人と人との交流なしには、現在のような多彩な取り扱いアイテムや事業展開はなかったでしょう」

　看板に記した店名は、meat（お肉）とmeet（出会い）の意味も含めた“ミートプラス”。日々、思いを心に刻んでいるそうです。

うまみが凝縮された牧草牛の認知度アップや、業界のイメージアップも推進

　誰もが健やかな毎日を送るために、食の分野から応援する坂本さん。力を入れているのが「九州産牧草牛」の普及です。
　
　「豊かな自然環境のもとで放牧され、手入れの行き届いた良質な牧草のみを食べて、ストレスフリーに育った牛は、高カロリーの穀物肥育牛に比べて必要以上の脂肪が少ないのが特徴です。お肉本来のうまみが凝縮されていてヘルシー。近年の健康志向もあり、欧米でも注目されています。当方では宮崎県の『鏡山牧場』と提携し、希少なお肉の認知度アップを進めています」

　商品や店舗の企画開発などを通じてクライアントのブランド力や顧客満足度を高め、経済活動の一端を担う中で、自身が身を置く食肉業界の閉鎖的なイメージの払しょくにも努めています。

　「生鮮食料品を取り扱う一企業として衛生管理を徹底し、責任を持ってサービスや商品を提供することにまい進してきました。消費者や取引先から信頼を築き、多くの若者が夢や希望を持ってチャレンジできる、そんな可能性に満ちた業界の形を追い求めたいと考えています」

　家庭では二男一女のパパでもある坂本さん。家族の食生活や地域の課題にも関心を寄せています。

　「子どもたちの未来を明るいものにするために、忙しい親世代を手助けできるようなシステムをはじめ、地域の遊び場づくりや親子がふれあう機会の創出など、何かできることはないかと思案中です。皆さまの食卓に、おいしさと一緒に笑顔を届けていく取り組みを続けていきたいですね」

（取材年月：2024年9月）

“お肉の展示場”から食卓や地域社会へ届ける、笑顔とプラスアルファの感動

九州産の黒毛和牛など各種肉類を扱い、食の専門家としてコンサルにも注力

事業に広がりをもたらしたのは、日々の出会いを大切にする独自のスタイル

うまみが凝縮された牧草牛の認知度アップや、業界のイメージアップも推進

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